「箱入り娘」とは？意味や使い方をご紹介

「箱入り娘」（はこいりむすめ）とは、家からほとんど外に出さないようにするほど親から大切に育てられている娘という意味です。

「箱入り」とは、貴重品や宝物などを箱に入れて保管していることです。また、その様子からその物を非常に大切にしていることを表すようにもなりました。「箱入り娘」という語は、「娘」を宝物のように大切にして、家の中に居させている比喩的な表現です。

親にしてみれば、大切な娘を世間に揉まれるような辛い目にあわせたくない、悪い男性に目をつけられて相手の魅力に惹かれ、一生を台無しにさせたくないという強い気持ちからこのような言葉が生まれたのかもしれません。

「箱入り娘」は、裕福な家庭で大切に育てられて、自ら働く必要のない独身の女性を表すイメージがあるかもしれません。

現代では、女性が社会進出する機会も多く、仕事で経験を積む方も多く、「箱入り娘」を単に親に大事にされている娘という意味で使う場合もあります。

たとえば、SNSではハッシュタグに「箱入り娘」として、幼少期の女の子を大事に育てている様子を披露している親御さんも見られます。また、ダンボールなどの箱やかごに入って遊ぶ娘さん、もしくは、犬や猫などのペットを娘に見立てて写真を投稿している方も多く見られます。

• 社長のお嬢さんは箱入り娘で、変な虫がつくと困るからと、縁談は親類が全てお膳立てするらしいよ。
• 箱入り娘というと、家族以外の人と交流がないイメージがあるようだ。
• 職場のA先輩はよくご両親の話をするので、親から大事にされた箱入り娘なんだなと思った。
• Bちゃんは「箱入り娘」というタイトルで、娘さんが育つ様子をブログに載せている。
• Cちゃん、いくら「箱入り娘」とSNSに投稿したくても、無理にミーちゃんとタマちゃんを箱に入れたらだめだよ。

「箱入り娘」は、昔ながらの木製のスライドパズル（駒を水平方向に動かしていくパズル）としても有名です。

一般的な「箱入り娘」は、小さな箱を家に見立て、「娘」とその家族「父」「母」「兄弟」「姉妹」などの名前が書かれた大小のサイズの駒が入っています。一番奥まった所にある娘の駒を入り口まで持ってきて外に出すと成功です。

箱には隙間があり、その空間を利用して、他の邪魔な家族の駒を左右や、奥から手前などに水平に動かし、娘の駒を入り口に向けて動かしていきます。一見簡単にできそうでも小さな駒が邪魔になり、なかなか思い通りに「娘」を脱出させられないのが特徴です。

「深窓の令嬢」（しんそうのれいじょう）とは、身分の高い名家の生まれで俗世間から守ろうと大切に養育されてきた女性のことです。「深窓の麗人（れいじん）」「深窓の佳人（かじん）」とも言います。「麗人」も「佳人」も美しい女性のことです。

「深窓」は、家の奥深い所にある窓のことで、ここでは部屋のことです。普段家の奥まった部屋にいて、世間に染まらないように大切に育てられていることを表しています。「令嬢」は、身分が高い家の娘のことです。

【例文】

• 彼の見合い相手は、しとやかで礼儀作法も身についた深窓の令嬢だ。
• お花の先生は深窓の令嬢として育ち、言葉遣いや身のこなしが上品で憧れの存在だ。

「乳母日傘」（おんばひがさ）とは、子供が大事に、または、過保護に育てられるという意味です。子育てをするのに「乳母」を雇ったり、眩しい日差しを受けないように日傘を差したりといったことをする様子から由来しています。

大事に世話をされる点では「箱入り娘」と通じるところがありますが、「乳母日傘」は主に幼児の養育の様子を表し、男の子、女の子の区別なく使えます。

【例文】

• あの子は乳母日傘で育てられた。
• 小さい頃は体が弱かった彼女は、乳母日傘でわがままいっぱいに成長した。

「温室育ち」（おんしつそだち）とは、世の中の苦労を知らずに大事に守られて育ち、ひ弱な感じがすること、もしくは、そのように育てられた人のことです。「箱入り娘」と違い、男性にも女性にも使えます。

「温室」は、ビニールハウスなどの植物の栽培の際に厳しい寒さから守るためにビニールやガラスで作られた設備です。人が大切に保護されて育てられたことを比喩的に表現しています。

【例文】

• 彼は温室育ちなので、厳しい競争にさらされる場所には向いていない。
• 見かけは温室育ちのお嬢さんだが、実際は打たれ強い女性だった。