「変化」とは
「変化(へんか)」とは
「変化(へんか)」とは、物質の性質や状態、人の感情などが、時間や場所・環境といった要因によって、別の性質や状態に変わることです。また、文法では、活用(単語の語形が人称・数・格などに応じて変わること)を「変化」と言います。
「この世の中のすべてのものは常に変化して、とどまるものはない」という仏教の「諸行無常」や、鴨長明の『方丈記』の一説、「行く川のながれは絶えずして、しかももとの水にあらず」なども、一つの真理として「変化」のことを言っています。
また、哲学的な観点から、「変化」は、一般的に「一つの存在の様態から他の存在の様態への移行」と定義づけられています。「変化」は、「実体(本当の姿)」を前提としていて、ギリシア哲学では、「不変」の概念が発展して初めて「変化」が問題にされたと言われています。
「変化(へんげ)」とは
一方の「変化(へんげ)」には、以下のような意味があります。
- 神仏などが、いろいろなものに姿かたちを変えて現れること。また、その現れたもの。権化(ごんげ) 。
- 動物や植物、霊魂などがいろいろなものに姿かたちを変えて現れること。また、その現れたもの。化け物。お化け。
- 人が姿かたちを次々と変えること。
「変化(へんか)」と「変化(へんげ)」の使い方
「変化(へんか)」の使い方
物の性質や状態、人の感情などは、様々に変化します。物の「変化」で言うと、水が気体(水蒸気)や固体(氷)に変わり、巨大な岩石も粉々に崩せば小さな石ころにも変わります。このような「変化」は、自然の作用によるものもあれば、人為的なものもあります。
人の感情について言えば、好きだったこと(もの)が嫌いになったり、怖かった物事に対して平気になることも「変化」の一つです。ほかにも、人間関係や国家関係といったものにも「変化」はあります。
【例文】
「変化(へんげ)」の使い方
「変化(へんげ)」ですぐに思い浮かぶのは、妖怪変化や七変化といった言葉ではないでしょうか。「妖怪」も「変化(へんげ)」も化け物のことで、キツネやタヌキが化けたもの、植物の精(精霊)や「おばけ」と言われる一つ目小僧や一本足の唐傘お化けなどが挙げられます。
「七変化」は、 歌舞伎などの早変わり(一人の俳優が連続して踊り分ける舞踏形式)のことです。神仏の「変化」では、人々を救済するために、現世に仮の姿となって現れたものとして、キリスト教のキリスト、仏教の釈迦などが、仏や神の化身(つまり、変化)とされています。
【例文】
- 戦国武将の上杉謙信は、毘沙門天の変化(化身)と言われているそうだ。
- 「鶴の恩返し」の鶴も変化の一つです。
- ギリシア神話には、ゼウスがエウロパ姫をさらおうとして白い牡牛に変化した話がある。
「変化(へんか)」の類語
「変化(へんか)」の類語は、変動・変容・変異・転変・消長など多くの言葉がありますが、その中のいくつかをご紹介します。
「変動」
「変動(へんどう)」は、物事が大きく移り変わることです。社会情勢や自然の大きな変化を「変動」で表します。また、統計数値の変化などでも「変動」を使っています。
【例文】
- 地球の気候変動について、特集番組が組まれた。
- 過去50年の人口変動をグラフにしてみた。
「消長」
「消長(しょうちょう)」は、物事の勢いが衰えたり、盛んになったりすることです。「盛衰(せいすい)」というほうがわかりやすいかもしれません。
【例文】
- この国は長い歴史の中で様々な消長を経て発展してきた。
- 中国の陰陽の思想は、陰と陽の関係が絶え間ない陰陽の消長の中にある。
「変化(へんげ)」の類語
「化身」
「化身(けしん)」は、神仏が、人々を救うために人の姿でこの世にあらわれること。または、その姿のことです。「変化(げんげ)」の1の意味と同じです。
【例文】
- 古代エジプトには、自分が神の化身だという王がいた。
- 白蛇は、弁財天の化身として日本各地で信仰されている。
「権化」
「権化(ごんげ)」は、仏や菩薩が、人々を救うためにこの世に現れた仮の姿のことです。それとは別に、人間の性格や考え方などがそのまま人になったように形容する(例えば、悪の権化など)言葉でもあります。
【例文】
- 本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)は、八百万(やおろず)の神々が、仏の権化(権現)であるとする。
- 彼は、正直の権化みたいな男で、まったく融通が利かない石頭だ。