「川床」の意味と読み方
「川床」には次の2つの意味があります。
- 河床(かしょう)。川の底となっている地面。川が流れているところの地盤。
- 川沿いに立地する飲食店の軒先から、河川側にせり出した桟敷席のこと。
1の意味で用いる「川床」は「かわどこ」と読みます。一方、2の意味の「川床」は、地域によって「かわゆか」と読む場合と、「かわどこ」と読む場合とがあります。
「川床」と「納涼床」
2の意味の「川床」は、一般的には「納涼床」(のうりょうゆか・のうりょうどこ)と呼ばれます。避暑を兼ねた会食の場として古くから日本人の間に定着しており、現在でも京都市などでは多くの人に親しまれている夏の風物詩のひとつです。
納涼床が特に有名なのは、京都市中心部を流れる鴨川です。飲食店の多い上木屋町・先斗町・西石垣・下木屋町の川沿いには、約100にも及ぶ桟敷があり、会席料理を中心に、寿司・洋食・中華料理・鉄板焼き・焼肉・喫茶など、さまざまな料理を楽しめます。
京都市内の「川床」
鴨川では、納涼床のことを「床」(ゆか)と呼ぶのが習わしとなっています。「川床」(かわどこ)と称しているのは、同じ京都市でも北部に位置する貴船町です。
貴船町の納涼床の特徴は、手を伸ばせば川面に届くのではないかと思われるほど低い位置に桟敷席があることです。「川床」(かわどこ)と呼ぶようになったのは、桟敷がまるで「床の間」(とこのま)のようだからだと言われています。
貴船町は「京都の奥座敷」とも称される有名な避暑地で、「川床」は約20の飲食店によって毎年夏に川沿いに設置されます。多くの観光客が訪れ、京料理や流しそうめんを楽しむ人気のスポットです。
「川床」を設置する地域は鴨川、貴船町だけではありません。京都市の高尾もそのひとつです。数こそ多くないものの、清滝川に面した旅館やホテルが「川床」(かわどこ)を設けています。
京都以外の「川床」
2009年からのスタートと、京都ほどの歴史はないものの、観光客から注目を集めているスポットが、大阪市にある北浜テラスの「川床」です。大阪市のものは「かわゆか」と読むのが正しいとされています。
大阪市の中心部を流れる土佐堀川の中州である中ノ島を望む対岸に位置しているのが北浜テラスで、毎年春から夏にかけて15店舗ほどの「川床」が営業を行っています。
大都市である大阪市の中心部にふさわしい、お洒落なカフェやバー、イタリアンレストランなどが飲食を提供しており、新しい観光名所として北浜テラスは人気を博し、同時に「かわゆか」という読み方も広まっていきました。
「川床」の使い方
最初に説明したとおり、「川床」には2つの意味があるので、意味ごとに例文を紹介します。
【1の意味の例文】
- 川床に堆積した土砂を取り除くための工事が行われた。
- 川はすっかり干上がって川床がむき出しになっていた。
【2の意味の例文】
- 昨年の夏は川床で京料理を満喫した。
- 川床と言えば、夏の京都を思い浮かべる人が多いだろう。
「納涼床」を予約するときは?
京都市の納涼床は大変有名で席が取りにくいため、利用するには事前に予約をしておくのが一般的です。その際、鴨川であれば「床」(ゆか)、貴船町であれば「川床」(かわどこ)を予約したい旨を店に伝える必要があります。
鴨川の飲食店に「川床(かわどこ)の予約をしたい」と伝えても、「床(ゆか)のご予約ですか?」と聞き返されることが頻繁にあるからです。
京都市の飲食店、特に鴨川沿いの店舗は伝統を重んじる傾向が強いため、予約時は「床(ゆか)」と「川床(かわどこ)」を混同しないように気を付けたほうがよいでしょう。