「申し送り事項」とは
医療ドラマなどで、看護師チームが勤務交代する際に入院患者一人一人の状態を声に出して伝えているシーンがよく見られますね。その内容が申し送り事項です。
「申し送り事項(もうしおくりじこう)」とは、言い伝えるべき事柄、つまり、仕事などで前任者から後任者へと伝える必要のある情報のことです。
「申し送り事項」の伝え方
「申し送り事項」の伝え方はさまざまです。面と向かって言葉で伝えることもありますが、引継書(ひきつぎしょ)といった文書を作って紙面やデータとして残したり、複数のメンバーで情報を共有することもあります。
上で説明したとおり、「申し送り事項」は「情報」ですから正確に迅速に伝える必要があります。そのため、シーンに合わせて、担当者がが交代するとき(時間交代・人事異動・退職など)に、作業や事務処理をスムーズにするような伝え方を採用しているのです。
「申し送り事項」の使い方
- 転勤にあたって、後任者のために申し送り事項を文書に残すよう上司から指示された。
- 夜勤組からの申し送り事項では特に注意点はなかったXX号室の患者の容体が急変した。
- 領土問題は、歴代内閣の申し送り事項となっている。
「申し送り(申し送る)」の類語
「申し送り事項」の「事項」はある物事の中の一つ一つの事柄や内容のことです。そこで、ここでは「申し送り(申し送る)」の類語を紹介します。
「引き継ぐ」
「引き継ぐ(ひきつぐ)」とは、前任者から仕事などを受け渡す、後任者が仕事などを受け継ぐという意味です。
「申し送る」は必要事項に対して使いますが、「引き継ぐ」は伝言で伝えられることだけでなく、家業や伝統、志(こころざし)、血統などに対しても用いる点では異なります。
【例文】
- プロジェクトの内容はちゃんと後任者に引き継いでおくようにと、上司から厳しく言われた。
- 東海道新幹線は、開業当時の0系車両から数えて7代目のN700A系車両に引き継がれている。
- 江戸時代に始まった武士道という道徳観は、現在まで引き継がれ、海外でも知られている。
- スペインの建築家ガウディのサグラダ・ファミリア聖堂建築は、1883年の着工以来延々と引き継がれている。
「伝達する」
「伝達(でんたつ)する」は、情報や意思(気持ち)などを言葉や文書で相手に伝えることです。情報を伝える点で「申し送る」の類語と言えます。
【例文】
- 通信技術が発達していなかった時代、遠方の人へ情報や意思を伝達する方法は手紙だった。
- ボディランゲージは、言葉を使わずに手ぶり身振りなどで意思を伝達する方法だ。
「バトンタッチする」
「バトンタッチ」は、仕事や地位などを後任者に引き継ぐことです。陸上競技のリレーで前の走者が次の走者にバトンをパスする様子から、このような意味で使われるようになりました。
「バトンタッチ」で引き継ぐ物の中には仕事や情報も含まれますが、地位や責任といったものにまで及んでいるところでは「申し送る」とは異なります。
【例文】
- 小泉政権から安倍政権へバトンタッチしたときには、多くの国民が期待したが、国の情勢が良くなったかは疑問だ。
- 定年延長で70歳まで働くのもいいが、早く若者にバトンタッチすることも大事だろう。