「末筆」とは?意味や使い方をご紹介

「末筆」という言葉を使ったことがありますか。「末筆」は、主に手紙に使う言葉ですが、手紙を書くことが少なくなった現在では、この言葉を知らない人もたくさんおられるのではないでしょうか。この記事では「末筆」について、意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「末筆」とは
  2. 「末筆」の使い方
  3. 「末筆」の類語(手紙などで最後に書く言葉)

「末筆」とは

「末筆(まっぴつ)」は、手紙や文章の最後に付け加える短い文章のことで、最後になりますがという意味があります。「末」は、最後、「筆」は、ペンなどの筆記用具のことを表しています。作家の全集などに収録されている手紙や書簡などにも「末筆」が見られます。

「末筆」の使い方

「末筆」は、手紙などで主な用件を書き終わった後、最後に一筆付け加える短い文章の書き出しの言葉として使います。その場合には、「末筆ながら」とか「末筆ではございますが」といった表現を使うと後の文章が続けやすくなります。

内容は、相手の健康などを気遣うような文言であったり、伝言や季節のあいさつ、お詫びの言葉を書くこともあります。本のあとがきの最後に出版社や編集者、その他の協力者に対するお礼の言葉として使われているものも見られます。

手紙を書くことが少なくなったとはいえ、ビジネス文書などでは使う機会の多い言葉です。ただし、最近はメールでのやり取りが多くなっていますので、その場合は「末筆(ながら)」よりも、後述する「最後になりましたが」といった言葉を使うのが妥当でしょう。

例文」

  • 末筆ながら、奥様にもよろしくお伝えください。
  • 末筆ではございますが、まだまだ暑い日が続きますので、くれぐれも健康にご留意ください。
  • 末筆ではございますが、今回の不手際について重ねてお詫び申し上げますとともに、今後ともよろしくお願い申し上げます。
  • 末筆ながら、今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。
  • 末筆ながら、本書執筆にあたり、編集部の皆様のご尽力に心より感謝とお礼を申し上げます。

「末筆」の類語(手紙などで最後に書く言葉)

「末筆」は、手紙などの末尾の結びとして使われる言葉ですので、同じような使い方をする言葉をいくつかご紹介します。

「最後になりますが」

「最後になりますが」は、その言葉通りの意味で、「末筆」に置き換えて使える言葉です。「末筆」は、手紙などの文章にしか使えませんが、「最後になりますが」は、メール、スピーチや講演のほか、口頭でも使うことができます。

ただ、最後になったことだけではなく、大切なことを最後になって書く(お話しする)ことに対して申し訳ないといったニュアンスも含んでいる場合があります。

【例文】

  • 最後になりますが、僕は元気で頑張っています。
  • 最後になりますが、この集まりを企画担当していただいた方々にお礼申し上げます。

「追伸・P.S.」

「追伸(ついしん)」は、手紙などの本文を書いた後に付け加えて書く文章、または、その冒頭の言葉です。「二伸」と書く場合もあります。「追伸 ○○」と文章を続けて使います。英語では「postscript(追伸、追記)」の略である「p.s.」を使います。

「追伸」は、「末筆」のように相手に対する気遣いなどだけではなく、書き終えて、結びの言葉を書いた後に、改めて付け加えたり、補足する内容を書くときに使います。

【例文】

  • 母から届いた手紙には、別の便せんに書いた追伸同封されていた。
  • P.S. この手紙があなたのもとに届く頃、私は船上であなたのことを想っているでしょう。

「時節柄」

「時節柄(じせつがら)」は、時節にふさわしいとか、このような時節なのでという意味です。「時節」は、季節のことで、手紙の結びに使う決まり文句の一つです。相手の健康を気遣うような言葉を書くときは、「末筆」よりも「時節柄」のほうがよく使われます。

【例文】

  • 時節柄ご自愛ください。
  • 新型感染症が蔓延(まんえん)している時節柄、海外旅行は控えたほうがいいだろう。

「略儀ながら」

「略儀(りゃくぎ)ながら」は、正式な手続きや方法を省略したことを断る表現です。手紙で「略儀ながら、書面にてご挨拶申し上げます」と書くと、「本来は出向いてご挨拶を申し上げるべきところを書面でご挨拶することをお許しください」ということになります。


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