「不手際」とは?
「不手際」とは、手際が悪いこと、物事のやり方や対処法が良くないことを意味する言葉です。
「手際」とは、対処すべき物事への技量・応力、腕前、処理能力などのこと。また、ものごとの出来栄えや処理方法を意味する場合もあります。
「不」は否定を意味する字ですので、「不手際」は上記のように、物事への対処における失態を意味する言葉になります。
ビジネスシーンでの「不手際」
社会生活において、「不手際」はきわめて重要な言葉です。顧客や取引先企業などとのやりとりのなかで、なんらかの「不手際」を起こした場合、その対処の仕方が悪いと、二重三重に信用をなくし、自らのみならず会社の不利益となってゆくからです。
「不手際」のポイント
ポイントは、「不手際」が、自分に非がある際に用いる言葉であることです。つまり、ミスを犯したことへの謝罪の文言に「不手際」と明記しておくことで、自ら非を認めているという明確な意志表明ができます。
もう一つのポイントは、「不手際」には、自らをへりくだるニュアンスがある点です。ビジネス上の謝罪文にこの言葉が頻繁に登場するのも、これが理由の一つでしょう。
顧客や目上の人物、取引先に対して、最大限の謝罪の意を尽くす際においては、「ミス」「失敗」「誤り」などを使わず、「不手際」という言葉を用いることがビジネスのうえで重要です。
謝罪における「不手際」の使い方
「不手際」を用いた謝罪の例文をいくつか挙げてみます。
- このたびは、弊社の不手際により、ご注文頂いた商品が未発送のままとなっておりましたこと、深くお詫び申し上げます。
- 先日のご訪問において、提出させて頂きましたサンプルが他の商品ものであったことが判明致しました。今後このような不手際が起こりませんよう、再発防止に努めます。心よりお詫び申し上げます。
- 当店の従業員の不手際により、山本さまのコートに染みをつけてしまいましたこと、大変申し訳ございませんでした。クリーニング代を負担させて頂きますことで、ご容赦頂きたく、よろしくお願い申し上げます。
「不手際」の類語と使い方
【失態】
物笑いの的になるような失敗やしくじりをすること、失敗によって面目をそこなうこと。(例:幸雄は、付き合って間もない恋人の前で、派手に転んで鼻の頭をすりむくという失態を演じた)
【落ち度】
失敗やあやまちのこと。(例:今回の顧客からのクレームは、営業部の説明に落ち度があってのことだ)
【過失】
怠慢や不注意によって生じた失敗・しくじりのこと。(例:A社の顧客リストが流出したのは、明らかに営業部の過失だ)
【粗相】
軽率さ、不注意による失敗やあやまちのこと。(例:本日の来客は大株主の方々なので、くれぐれも粗相のないように)
【手違い】
手順や手配のあやまり。(例:地域担当の郵便配達員の手違いによって、100通ほどの郵便物が他地域のものと入れ替わり、遅配が生じた)
【失敗】
目的への対処や方法をあやまって、達成できないこと。なにかをしそこなうこと。(例:自由研究のテーマに植物の生育記録を選んだものの、水やりを怠って枯らしてしまい、失敗に終わった)
【不首尾】
なりゆきがうまく行かないこと。結果がよくないこと。(例:社運をかけて役員たちはB社との合併交渉にのぞんだが、不首尾に終わった)