「とりとめのない」の意味
「とりとめのない」とは、はっきりとした結論やまとまりのないことを意味する言葉です。「とりとめのない」を漢字で書くと、「取り留めの無い」となります。
「とりとめのない」の語源
「とりとめのない」は、まとめるという意味を持つ「取り留める(取留める)」という動詞の未然形「取留め(取り留め)」に、打消しの「ない」という助動詞が付いたものです。
また、「とりとめのない」に似た言い回しに「とりとめがない」と言うものがありますが、この二つは同じ意味で、どちらも正しい日本語表現です。
「とりとめのない」の使い方
「とりとめのない」は、「とりとめのない話」や「とりとめのない空想」などの使い方をし、まとまりや目的が無いことを表現するときに使います。例文を見てみましょう。
「とりとめのない」の例文
- 毎週水曜日は幼稚園に子供を送った帰りのママさんたちが、コーヒー一杯で何時間も「とりとめのない話」をし続けるので、お店としては正直迷惑だ。
- 夫の実家に帰省すると、上げ膳据え膳でとても良くもてなしてくれるのだが、義母の「とりとめのない愚痴」を永遠聞き続けるという苦行が待っている。
- 思春期特有の「とりとめのない不安感」を、ただのホルモンバランスの乱れと決めつけるのは、あまりにも乱暴な考えだ。
芥川龍之介の「とりとめのない」
「とりとめのない」という言葉を使った有名な文学表現の一つに、芥川龍之介の『羅生門(らしょうもん)』の一節があります。
芥川は、他の多くの作品でも「とりとめのない」という言葉を使っているので、もしかしたら「とりとめのない」という言葉は好きなフレーズの一つだったのかもしれませんね。
『羅生門』
芥川龍之介『羅生門』より
『偸盗』
芥川龍之介『偸盗』より
『女体』
芥川龍之介『女体』より
「とりとめのない」の類語
「とりとめのない」と似た表現のいくつかをご紹介します。
- 他愛のない(たわいのない)…まとまりがないこと。幼く思慮分別がないこと。
- 目的のない…はっきりとした目的のない様子。
- なんとなく…言動などに、はっきりとした理由や目的がない様子。
- しどろもどろ…話し方や話の内容がひどく混乱している様子。
- まとまりのない…まとまる様子が見られない様子。収まりが付かない様子。
- 漠然と…ぼんやりとしてはっきりしない様子。