「妥当」とは?意味や使い方を類語も含めてご紹介

「妥当」は、日常会話ではあまり登場しない少々堅苦しい表現かもしれませんが、社会生活、わけても仕事の場では頻繁に使われる言葉です。類語も多々ありますから、この機会にまとめて理解し、使いこなしましょう。今回は「妥当」の意味と使い方を類語を含めてご紹介します。

目次

  1. 「妥当」とは?
  2. 「妥当」の使い方
  3. 「妥当」の類語

「妥当」とは?

「妥当」(だとう)という言葉を、頻繁に見聞きしているという人も多いかもしれません。日常会話ではもっと平易な類語が用いられがちですが、社会生活、仕事などでの交渉ごとや会議などでは、重要ワードのひとつです。

「妥当」の意味は、実情によく当てはまっていること、また、そのさま。無理がなく、ぴったりと適切であること、また、そのさま。

また、哲学用語としてある判断が認識の上での価値を有すること、という意味もあるのですが、使用範囲が限定的ですので今回は一般的な意味にしぼって解説を行います。

「妥当」の使い方

「妥当」は、「~は妥当だ」というかたち(例:A君の課長昇進は妥当だ)と、「妥当な~」(例:A君の課長昇進は、妥当な線だ)という2つのかたちが基本的として使われます。

あまり頻度は高くありませんが、「~に妥当する~」(例:A君以外、課長昇進に妥当する人物は見当たらない)という用例もあります。

「妥当」の注意点

「妥当」は、他者や出来事に対して「最良の状況」であると評価する言葉ではないことに留意しましょう。

なるほど、確かにそうだ、と思えたり、無理なく頷ける状況は、たしかに良いことです。ただ、それを越える極めて優れたベスト、ではありません。そのため、まあ無難なところだろう、そこそこいい線だろう、というニュアンスで使われることも多い言葉です。

完璧ではないが分相応、という意味で使われる場合、それほど大きな名誉とは言い難いですね。たとえば、「このメンバーなら、君がリーダーなのは妥当かな」という言葉は、大いなる誉め言葉とはいえません。

消極的な称賛や評価といえるケースがあることも理解して、他者に対しては、「妥当」という言葉がそれこそ「妥当」であるかを判断したうえで用いましょう。

「妥当」の文例

  • 営業部でパワハラの告発が相次いだ件での、当該社員の処分と直属の上司の降格は妥当だ。
  • A社との契約内容は、まず妥当なものだといえる。
  • 君がプロジェクトに入るのは、まあ、妥当なところじゃないかな。
  • これほど一挙に海外進出を推進するのに妥当するメリットを示してほしい。

「妥当」の慣用句・四字熟語

  • 妥当性(だとうせい)実情などによく当てはまり、適切でうまく適合する度合いのこと。「妥当性が高い」「妥当性が低い」「妥当性がある」「妥当性に欠ける」などの言い回しで、ビジネスの場などで頻繁に登場する。
  • 妥当な線適切で納得のいく決着、落としどころ
  • 普遍妥当(ふへんだとう)どんなものにも、どんなときにも適切に当てはまること、どのような条件にあってもすべてに共通して当てはまる真理のようなもの。例としては、「正義」など。

「妥当」の類語

「相応」

「相応」(そうおう)は、つりあいがとれていること、ふさわしいこと、また、そのさまを表す言葉です。「身分相応」「身分不相応」という言葉は頻繁に見聞きしますね。仏教用語としての意味もありますが、そちらは「妥当」の類語ではありません。

「妥当」と同様に、たんに「釣り合う」「ふさわしい」ことを意味しますので、対応する対象によって、称賛にもけなすことにもなることに留意しましょう。

【文例】

  • 中村君は、県代表に相応する卓球選手だ。
  • トレーニングをさぼってばかりの鈴木選手が二軍落ちしたのは、相応の処分といえる。

「穏当」

穏当」(おんとう)は、2つの意味をもちますが、「妥当」の類語としては、おだやかで無理のないこと、理屈にかない、物事に無理のないこと、そのさま、の意味が該当します。

「妥当」との相違点は、「おだやかさ」のニュアンスがあることです。たとえば、過失で会社に不利益をもたらしながら、ある程度の減給ですめば、「穏当」な処分と言えましょう。理屈にはかない適切ではあれど、とくに厳しくはなく少々甘い、というところです。

文例:B子は残業の集計事務で計算ミスを犯したが、普段完璧な仕事をするため、穏当に注意のみで済んだ。

「適切」

「適切」(てきせつ)は、状況や目的にきわめてふさわしく、ぴったりと当てはまること、を意味する言葉です。「妥当」が一般的な適切さであるのに比べ、「ぴったり」「きわめてふさわしい」という積極的な評価の意味を含みます。

必然的に、ネガティブな意味合いで用いる場合も、そのレベルにきわめてふさわしい、という強調のニュアンスをもつことになります。

文例:高3の学年主任だった山本先生が、木村教頭を越えるかたちで校長に昇格したのは、まさに学園の適切な決断だった。


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