「穏当」とは?意味や使い方をご紹介

「穏当な意見」「そのほうが穏当である」などの表現に見られる「穏当」(おんとう)。普段何となく使うことがあるという方も、この機会に使い方をしっかり確認しておきましょう。今回は「穏当」の意味や使い方を、「妥当」や「順当」との使い分けも含めつつご紹介します。

目次

  1. 「穏当」とは?
  2. 「穏当」の使い方
  3. 「穏当」「妥当」「順当」の使い分け
  4. 「穏当」の字義解説

「穏当」とは?

「穏当」(おんとう)には、以下の二つの意味があります。

  1. おだやかで、道理にあてはまっていること。
  2. おとなしいこと。

1番目の意味は主に何らかの判断・決定・意見・処理などについて「無理がなく、波風を立てないさま」というニュアンスで用いられ、2番目の意味は主に人の性格を表す言葉です。

「穏やか」(おだやか)という字が入っていることからもわかるように、どちらの意味でも穏和で、波風立てない様子を表します。現代でも、この二つの意味はどちらも同程度に見聞きすることがありますので、使い方の確認に移りましょう。

「穏当」の使い方

判断・決定・意見・処理などについて

「穏当」は、主に何らかの判断・決定・意見・処理などにおいて、「(それがベストというわけではないにせよ)理屈も通っており、無理がない」というような、やや消極的な裁定を行う意図で用いられます。

社会関係や人間関係では常に機械的・合理的な「正解」を判断・実践できるわけではありません。さまざまな都合に配慮しつつ、「これが無理のない範囲の、波風立てない判断といえるだろう」というニュアンスで用いられるのが「穏当」です。

「適切で、それ以外にはない」や、「普通に考えたら結論はこうなるだろう」のような、物事の適・不適や是非が明確な場合には「穏当」は使えません。その場合は後述する「妥当」や「順当」を使いましょう。

人の性格・物事について

人の性格や物事について「穏当」という場合には、単純に「穏やか」や「おとなしい」の言い換えとして用いて問題ありません。

とくに人の性格に対して使用されることが多く、基本的になポジティブな意味です。(性格や気性が)「荒い」「激しい」の対義語であると考えれば良いでしょう。

例文

  • 自分ひとりで対応を決定することも何ら問題なかったはずだが、彼は穏当に上司に確認を求めた。
  • 社内規則によれば、その従業員の行いは解雇基準に達していた。しかし会議の結果、もろもろの事情を考慮して、今回は警告にとどめようという穏当な結論が下された。
  • 大学生が運転するバイクにひかれたAさんは、相手が未来ある若者で、深く反省もしていることから、賠償金は求めず治療費だけ請求するという穏当な判断を伝えた。
  • 彼は性格も穏当で、めったに気性を荒げることがない。

「穏当」「妥当」「順当」の使い分け

「穏当」と意味・用法がよく似ている言葉に「妥当」(だとう)「順当」(じゅんとう)があります。これら3つの言葉の違いをまとめると、以下の通りです。

  • 穏当…道理にあてはまってはいるが、あくまでも無理のないさま。
  • 妥当…実情によくあてはまること、適切であること。
  • 順当…道理上、当然なこと。そうあるべきこと。

「妥当」は実情に照らして適切で、ある程度の客観性もあること。「順当」は、「穏当」と同じように「道理」(物事のあるべき筋道)を基準としていますが、判断や選択をさしはさむ余地はなく、結論は決定的です。

例文

  • 【妥当・穏当】実力から考えれば君がリーダーを務めるのが妥当だが、今回は穏当に、長年会社に貢献している彼にその役割を譲ってほしい。
  • 【妥当】駅前であることを考えれば、これくらいの家賃を払うのは妥当だろう。
  • 【順当】大会ベスト4の常連である強豪校が、今年も順当にトーナメントを勝ち上がった。

「穏当」の字義解説

「穏」と「当」の字はどちらも常用漢字ですが、実は両方とも他の字の省略形や俗字として生まれた字です。それぞれの字の意味を確認しておきましょう。

「穏」

「穏」(オン)は、もとは「穩」と書き、「稲」を表す「のぎへん」と、「かぶせる手、工具、受ける手、心臓」を表すつくりから成り、稲(穀物)の穂を両手でもんで籾(もみ)を集める意を表しました。

のちに「温」(オン)の字の読みに通じてこれと同じ意味を持つようになったとされ、「安穏」(あんのん)、「平穏」(へいおん)などの熟語に見られるように、「穏」は「おだやか」「やすらか」の意味で使われるようになりました。

「当」

「当」(トウ)の字は、もとは「當」と書き、「尚」(広くむきあう、みあう)と「田」(田畑)から、耕作地などとして土地がかみあうことを示し、ここから「あたる、あてる」「それだけの価値がある」という意味が生じたと考えられます。

現在では「釣り合う、かなう」(例:相当)、「あてはまる」(例:適当)、「あの、その」(例:当人)、「さしあたり」(例:当分)など多様な使われ方をされていますね。

「穏当」の「当」は、穏やかなさまが「あてはまる」や、何らかの判断や選択がその結果と「釣り合う」さまを意味すると考えましょう。


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