「率先」とは?
「率先(そっせん)」とは、次のようなことを指す言葉です。
- 人より先に立って、全体を引っ張るように行動すること。
- 自分から進んで、積極的に行動すること。
「帥先(そっせん)」と書かれることもありますが、一般的には「率先」の文字のほうが使われています。
「率」とは?
「率」は、「人を導く」、「人を引きつれる」という意味を持つ漢字で、「引率(いんそつ)」や「統率(とうそつ)」などの言葉にも使われています。そのため、「率先」を「卒先」と書くのは誤りです。
率先する能力を表す「率先力」という言葉では、「しゅっせん(りょく)」と読まれることがあります。ただし、一般的には、「そっせんりょく」と読まれるほうが多くなっています。
「率先」使い方
- 今度の体育祭が高校生活最後の体育祭になるので、いろいろなことに率先して取り組もうと思っている。
- 職場の上司は、面倒な仕事でもいつも率先して取り組んでいるので、部下からの信頼が厚い。
- お正月に親戚が集まったときに、いとこのところの幼稚園児が子どもたちの中で率先してお片づけをしていて、大人たちみんなからほめられていた。
「率先」の関連語
「率先」類義語
「率先」の類義語に、「音頭取り(おんどとり)」があります。「音頭」は、たくさんの人が歌を歌ったりするときに、人より先に歌いだして全員を導くことを言いますが、そこから人の先に立って物事をする人のことを言うこともあります。
「音頭取り」には次の二つの意味があり、2.の意味が「率先」と似た意味になります。
- 歌の音頭を取ること。とくに、盆踊り歌で音頭を取るときに使われる。
- たくさんの人たちの先頭に立って、行動すること。
【例文】
オンラインで仕事をするようになり、職場の人たちと顔を合わせる機会が減ってしまった。そのことを気にした課長が、オンライン飲み会の音頭取りをしていた。
「率先」対義語
「率先」の対義語に、「追随(ついずい)」があります。意味は、次の通りです。
- 他人の意見などに、後から従ってついていくこと。
- 他の人が成しえた業績や成果などに追いつこうとして、それをまねすること。
【例文】
彼の卓越した技術は、他の人の追随を許さなかった。
「率先垂範」とは?
「率先」を使った四字熟語でよく使われるものに、「率先垂範(そっせんすいはん)」があります。「率先垂範」は、人の先に立って、模範になるような行動をすることを言います。「垂範」は、「模範を示す」という意味です。
【例文】
新しくサッカー部の部長になった佐藤君は、率先垂範の働きでチームをまとめあげていった。
率先垂範と山本五十六
山本五十六(やまもといそろく、1884~1943)は、連合艦隊司令長官も務めた日本の海軍の軍人です。山本は、上杉鷹山の言葉を下敷きにして、次のような言葉を残しています。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。
この言葉は、「率先垂範」がどれだけ大切であるかを述べたものとしてよく知られています。そして、人材育成の指標となる言葉として、ビジネスシーンなどで使われることがあります。
「率先」を使った四字熟語
「率先垂範」のほかに「率先」を使った四字熟語には、次のようなものがあります。
率先励行
「率先励行(そっせんれいこう)」は、人の先に立って、努力し、励むことを言います。「励」ははげむこと、熱心に努力することを言い、ここから「励行」は、決められたことを実行するという意味を持ちます。
【例文】
インフルエンザが流行する季節になり、学校では感染を防ぐため、保健委員がうがい手洗いを率先励行することになった。
率先躬行
「率先躬行(そっせんきゅうこう)」は、人の先に立って、自分から進んで物事を行うことを言います。「躬」は、「みずから」という意味で、「躬行」は自分で実際に物事を行うことを言います。
【例文】
我が家では、父が率先躬行して部屋の片づけをするので、家の中はいつもきれいに保たれている。