「不要」と「不用」の違いとは?それぞれの意味や使い分けをご紹介

「不要」と「不要」ともに「フヨウ」と読む熟語です。さて、「フヨウになった椅子をフヨウ品として大型ごみの日に出すことにした。」当てはまる漢字は「不要」ですか?「不用」ですか?今回は、混同しやすい「不要」と「不用」について、意味や使い分けをご紹介します。

目次

  1. 「不要」とは?
  2. 「不要」の使い方
  3. 「不用」とは?
  4. 「不用」の使い方
  5. 「不要」と「不用」の使い分け

「不要」とは?

「不要(ふよう)」とは、「必要でないこと、またそのさま」を表す名詞・形容動詞です。熟語としての成り立ちは、「要」という漢字を「不」で打ち消す形になっています。

「要」は、「ヨウ」という音読みと「-る」「かなめ」という訓読みを持つ漢字です。以下に挙げるような意味を持ちます。

  • かなめ。大切なところ。(要所、要点、重要)
  • いる。入り用である。もとめる。(要求、必要)
  • まとめる。あらまし。(要旨、概要)
  • まちぶせする。(要撃)

「不要」という熟語の中で、「要」は2番目の「入り用である」という意味で用いられています。「入り用でない」=「必要でない」ということですね。

「不要」の使い方

「不要」という言葉を使った例文を挙げてみます。2020年のコロナ禍で、急に目にする機会が増えた言葉の1つですね。

  • 家計の引き締めを図るために、家計簿をつけて不要の出費を減らすことにした。
  • このような情勢下では、不要不急の外出は厳に慎むべきだ。

「不用」とは?

「不用」という単語も、「不要」と同様に名詞または形容動詞として用いられます。以下に挙げるような複数の意味を持ちますが、現代においては後半2つの意味で用いられることは極めて稀です。

  1. 使わないこと。必要がないこと。また、そのさま。不要。
  2. 役に立たないこと。また、そのさま。無用。
  3. 怠惰であること。
  4. 性質や行いが悪くて、世間で用いられないこと。

1の意味にあるように、「不用」はしばしば「不要」の同義語としても用いられる言葉です。辞書によっては、「不用」の項目を設けずに、「不要」の表記の1つとして扱っているものもあります。

「不要」と「不用」を使い分けることを意識する場合、「不用」の最も一般的な用いられ方は、2番の意味での用法です。3番目や4番目の意味で「不用」が見られるのは、主に古典作品の中においてのこととなります。

「不用」の字義

「不用」という熟語は、「用」を「不」で打ち消す構成になっています。「用」は、「ヨウ」を音読みに、「もち-いる」「はたら-き」「もっ-て」を訓読みに持つ漢字です。この漢字は、以下のような意味を持ちます。

  • もちいる。使う。役立てる。(用意、使用)
  • はたらき。ききめ。(作用、効用)
  • しなければならない仕事。(用件、所用)
  • 必要な金銭や品物。(用度、費用)
  • 使いみち。使われる目的。(薬用、浴用)
  • 大小便をする。(用便)
  • もって。…によって。

「不用」の使い方

「不用」をという言葉を用いた例文を紹介しましょう。1~4の番号は、それぞれ前段の「不用」の意味の番号に対応しています。

  1. オフィスを掃除して、不用な(不要な)書類を処分することにした。
  2. そこまで専門的な道具をそろえても、素人には不用なものだろうに。
  3. 心も不用になり、学問をも怠りなんず。(義経記・一より)
  4. 余りに不用に候ひしかば、幼少より西国の方へ追ひ下して候ふが(古活字本保元・上より)

「不要」と「不用」の使い分け

意味を考えると、「不要」と「不用」はかなりの部分が重なる言葉です。前述の通り、辞書によっては「表記上の問題」と解釈されているものもあります。

とは言え、「不要不急の外出」とは書きますが、「不用不急の外出」という表記はあまりされません。また、「不要品」と「不用品」が異なったニュアンスを持つと感じる人も多いです。

両者の違いを敢えて際立たせるならば、「不要」は「余計なもの」「必要でないもの」を表す場面で、「不用」は「使わないもの」「役に立たないもの」を表す場面で多く使われると言えます。

「不要」は「使わない」、「不用」は「使えない」と表現するとわかりやすいかも知れませんね。冒頭の例文を漢字に直すなら、「不要になった椅子を不用品として大型ごみに出すことにした」が適切でしょう。

関連するまとめ


人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ