「名称」とは?意味や使い方をご紹介

「正式名称」などに使われる「名称」。どんな意味ですかと聞かれたら、「名前のこと」と答える方も多いのではないでしょうか。では、「名称」と「名前」にはどのような違いがあるのでしょうか?今回はこの「名称」という言葉について、意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「名称」の意味
  2. 「名称」の使い方
  3. 「名称」と「名前」の違い
  4. 「名称」の英語表現

「名称」の意味

「名称」(めいしょう)には、以下の2つの意味があります。

  1. 呼び名。名前。呼称。
  2. 名声。ほまれ。

このうち、一般によく知られているのは1の意味ですね。「正式名称」「この会の名称は~」などのように、広く「ものの名前(を表すもの)」として用いられています。

2の意味は、今日ではあまり用いられません。もしこちらの意味を使いたい場合には、「名声」「有名」「名誉」などと言い換えたほうが伝わりやすいでしょう。

「名称」の字義

「名」という字は、「夕」と「口」から成り、相手の顔がよく見えない夕方の暗闇において、人に自分の名を名乗るさまから、「名のる」「名をよぶ」「名づける」などの意味を持ちます。

「称」の字は、稲束を持ち上げて数えるさまを表し、「(物の量を)はかる」「かかげる」「適(かな)える、釣り合う」「となえる」などの意味を持ちます。

すなわち「名称」の字義は、「名をとなえる」であると言えます。一方、「名声」の意味で用いられる「名称」は、「名をかかげる」に由来すると考えられます。

「名称」の使い方

  • 「パソコン」の正式名称は、「パーソナルコンピューター」です。
  • 自衛隊の名称を変更すべきではないか、という与党幹事長の発言が注目された。
  • A案とB案、どちらが新劇場の名称にふさわしいか、今日の社内会議で結論を出す。

「名称」と「名前」の違い

「名称」と「名前」は、とても似た意味を持っていますが、微妙に示すものの違いがあります。

「名称」は、社会的に広く通用する正式な呼び名というニュアンスがあります。一方、「名前」は、社会的に正式なものであるかどうかに関係なく、略語でもあだ名でも、個人が勝手に使っている呼び名であっても、「名前」と言うことができます。

したがって、「名称」はほとんどの場合「名前」と言い換えることができます。ただし「正式名前」とは言いませんので、「正式な呼び名」について言及する際には「名称」を用いましょう。(※「正式な名前」という表現ならOKです)

人名は「名前」を用いる

「名称」は、社会的に広く通用する正式な呼び名と説明しまたが、人名については、どれほどの有名人であっても「名前」を用います。

人名には、所属を示す名、父や家を示す名、洗礼名、通名、子どもの頃だけの名、プライバシーを考慮した仮の名など、多様な要素が含まれており、必ずしもその個人を個人たらしめる必要条件を形成しているわけではありません。

このような性質から、人の名はあくまでも「他人からそう呼ばれている呼び名」として「名前」のみが使用され、「名称」が使用されることはありません。

「名称」の英語表現

「名称」を表す英語表現として、「formal name」「official name」があります。日本語と同様、「正式にはこう呼ぶ」と明確に示したい場合に、「formal」(正式な)や「official」(公式の)という形容詞を「name」(名前)につけるとよいでしょう。

また、省略された言葉が何の名称を表しているのか説明したいときには、「stand for~」(~を表す)という表現もあります。

例文

  • The official name of Kinkakuji is Rokuonji.【訳】金閣寺の正式名称は、鹿苑寺です。
  • Kyoto Protocol (formal name : Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change).【訳】京都議定書(正式名称:気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書)。
  • U.K. stands for the United Kingdom.【訳】U.K.は、イギリス連合王国[という名称]を略したものです。


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