「称賛」と「賞賛」の違いとは?それぞれの意味や使い分けをご紹介

「称賛」と「賞賛」の2つの言葉は、どちらもよく見聞きしますが、みなさんはどのように使い分けているでしょうか。「賛」は共通ですから「称」と「賞」の字の違いがわかれば、意味の区別もつきます。今回は「称賛」と「賞賛」の意味の違いと使い方を、類語を含めてご紹介します。

目次

  1. 「称賛」と「賞賛」とは?
  2. 「称賛」の意味
  3. 「賞賛」の意味
  4. 「称賛」「賞賛」の類語

「称賛」と「賞賛」とは?

「称賛」「賞賛」は、どちらも(しょうさん)と読みます。共通する基本的な意味は、「ほめたたえること」です。とはいえ、「称」と「賞」の漢字が異なるのですから、なんらかの違いがあるはずです。

二つの言葉に共通する「賛」という漢字を、まずはここで解説します。「称賛」「賞賛」それぞれの言葉は、項目別に後述してまいります。

「賛」は、音読みが(さん)、訓読みが(たす-ける。ほ-める。たた-える)と読みます。おもな字義は、「①助ける。力を添える」「②同意する」「③ほめる。たたえる」です。「称賛」「賞賛」に用いられる「賛」は、③の意味によるものです。

「称賛」の意味

「称賛」の「称」の字の検証から始めましょう。「称」は、音読みが(しょう)、訓読みが(とな-える。たた-える。あ-げる。かな-う。は-かる)です。

字義は多義的ですが、「称賛」に関係する意味として2つ挙げられるのが、「①となえる。となえ。名づける。呼び名」「たたえる。ほめる」です。「称賛」は「となえる」、すなわち、「言葉に出して、ほめたたえる」という意味の言葉です。

実際に声に出さなくても、ほめたたえる思いがあれば、「称賛の拍手」などの言い方もできます。後述する「賞賛」よりも幅広く使われ、わけても新聞やテレビなどメディアにおける「しょうさん」の漢字表記は、すべて「称賛」で統一されています。

「称賛」の使い方

「称賛」を使うときには、その対象とする物事が、「ほめたたえる」に値するかどうかを考えて判断しましょう。たとえば、いつもより宿題を早めに仕上げた子どもを親が「称賛」するのは大げさですね。

小さな良いことに対しては「ほめる」が適切です。通信簿オール5などの場合には「称賛」でもよいでしょう。もっとも、「称賛」は、一般的には、組織、社会、国レベルで快挙を称えるのにふさわしい言葉です。

【文例】

  • 溺(おぼ)れていた子どもを川に飛びこんで助けた大学生に、岸辺で見守っていた人々は称賛の拍手を送った。
  • 宇宙ステーションでの長い任務を終え地球に帰還した宇宙飛行士たちは、世界中から称賛された。
  • 連日大口の契約を取ってくる鈴木君に、課員から称賛の声があがっている。

「賞賛」の意味

幅広く使われる「称賛」に比べ、「賞賛」にはある限定的な条件があります。それは、ほめる対象とするものごとに金品などの褒美(ほうび)が伴うことです。

「賞」の字は、音読みが(しょう)、訓読みが(ほ-める、め-でる)です。「賞賛」の意味は、「①褒美、たまもの」「②ほめる、ほめたたえる」です。すなわち、褒美を与えてほめたたえる場合に用いるのが「賞賛」なのです。

「賞賛」の使い方

褒美を与えてほめたたえるケースとしては、賞金・賞状が伴うノーベル賞をはじめとする様々な受賞が代表例です。コンクール、競技会、社内での成績コンテストなど、枚挙(まいきょ)にいとまがありません。

褒美が伴うとはいえ、たとえば子どもがテストで100点をとったのでお小遣いをあげる、などの場合にふさわしいとは言えません。

【文例】

  • 女優Aは、アカデミー主演女優賞を受賞し、各メディアで賞賛を受けた。
  • 営業の社内コンテストで一位の成績をおさめた中村君は、社長から賞状をもらい賞賛された。

「称賛」「賞賛」の類語

「ほめたたえる」という意味に着目して、「賞賛」と「称賛」共通の類語をご紹介します。

「礼賛」

礼賛(らいさん)素晴らしいこととして、ほめたたえること。また、ありがたく思うこと。ほめるレベルは強く、心からの尊敬や感謝を含みます。

【文例】ノーベル賞を受賞したB教授は、日本国民からの礼賛を受けた。

「絶賛」

絶賛(ぜっさん)このうえなくほめること。実績、行動の成果をきわめて高く評価すること。この言葉のほめるレベルは最大級です。よく、映画の宣伝に「絶賛上映中」とありますね。最大にほめられる状況のなかで上映の「真っ最中」というPR言葉です。

【文例】90才で富士登山に成功したC氏の快挙は、その精神力と健脚(けんきゃく)の両面において多くの人々から絶賛された。


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