「指示」とは
「指示」の使い方
1の意味での使い方「指し示す」
人から道を聞かれたときには、指で進む方向を指し示したり、何か物や場所を探している人に、その物やそれがある場所などを指さして教えるようなときに「指示」を使います。
【例文】
- 交番でコンビニの場所を聞いたら、警察官が地図で場所を指示して教えてくれた。
- 美術館で学芸員が有名な絵画のいろいろな部分を指示しながら、その意味を解説していた。
- 先生が黒板に書いた指示代名詞「あれ・これ・それ」を指示しながら意味や使い方を説明している。
2の意味での使い方「命令・指図」
2の意味で「命令」や「指図」と言うと、上下関係を意識しがちですが、それほど強いものではありません。仕事などの方法を教え示すような場合や依頼のニュアンスを含んで使われることが多い言葉です。
【例文】
- 先輩の指示に従って、会議室のセッティングをすることになった。
- 事故で通行止めになっていたので、警察官の指示で迂回した。
- この問題について支店では判断できなかったので、本社に指示を仰いだ。
- 先生に指示された教材を実験室に運んだ。
「指示」の類語
「指図」
「指図(さしず)」は、「指示」と同じように、物事のやり方などを示して作業などをさせること、または、その内容のことです。「指示」は、示す、教えるというところに重点がありますが、「指図」は、人にさせることに重点があります。
また、「指図」には、指図証券のように証券に裏書した者を権利者として指定するという法律用語でもあり、古い使い方では、図面、見積もりという意味も持っています。
【例文】
- 監督の指図で工事が順調に捗(はかど)っている。
- うちの課長は、部下に対して顎で指図する癖があるから嫌われている。
「命令」
「指示」の2の意味の類語として、「命令(めいれい)」には、以下のような意味があります。
- 上の立場の者が下の立場の者に特定の物事をするように命じること、または、その内容のこと。
- 国の行政機関が制定する法の形式。法律を実施するため、または法律の委任をうけて制定される。令・内閣府令・省令および各外局で発する規則など。
- 行政機関が特定の人に対して、ある義務を課する具体的な処分。
- 裁判長や裁判所の機関たる裁判官が、その権限に属する事項について行う裁判の一種。
- (コンピュータ用語)コマンド。
上記1の「命令」が、職務上の上下関係も含めて一般的によく使う「命令」です。2から4は、国家権力などに基づく強制力を伴うこともある「命令」です。どちらも権限に基づくものが大半ですから、「指示」や「指図」よりも強い言葉です。
【例文】
- 業務命令に背いた課長が降格されたらしい。
- 社長命令で、急遽、支店長会議が招集された。
- 交通事故で裁判所の略式命令を受け、罰金を支払った。
「指摘」
「指摘(してき)」は、全体の中から重要な点や特定の事柄を取り上げて示すことです。良いところよりも、悪いところを取り上げる場合によく使われます。
特定の事柄を示すうえでは「指示」の1の意味ですが、その指摘の中には示したところを改善したり、修正することを前提としている場合も多いので、2の意味の「指示」の類語でもあります。
【例文】
- 陸上部のOBから、ランニングフォームの改善点を指摘された。
- 会計監査で帳簿の不備を指摘された。
「教示」
「教示(きょうじ/きょうし)」は、知識や物事の方法・手段を具体的に教えることで、「示教(しきょう)」とも言います。教えるという点は同じですが、「指示」には、具体的な中身まで教えるという意味はありません。
ビジネスでは、相手に教えを乞うときに「ご教示賜りたく」とか「ご教示いただきたく」といった表現をよく使います。
【例文】
- 教授の教示を受けて、卒業論文を仕上げることができた。
- 今回の失敗を挽回する手段をご教示いただけないでしょうか。