「命令」の意味
「命令」(めいれい)とは、「上位の者が下位の者に言いつけること、その内容」という意味の言葉です。
より細かい意味としては、「法執行機関、行政機関、司法機関等の担当者、もしくは会社の上司などがその権限に基づいて特定人や特定組織に何事か命ずること」も「命令」と呼びます。(例:裁判所への出頭命令など)
しかしいずれの場合でも、ある立場・役割における責任者や管理者が、社会的・組織的な意味合いにおける下位の者に「何かを言いつける」という意味は共通です。よって、マーカーを引いた「命令」の意味を基本として覚えておきましょう。
「命」と「令」
「命」と「令」の字は、両方とも「言いつける」という意味を持っています。同じ意味の字をふたつ重ねた言葉と言えますね。
「命令」の使い方
「命令」という言葉は、主に「命令する」「命令を出す」「命令を下す」といったかたちで使います。受動側としては、「命令を受ける」「命令を実行する」「命令通りにする」といった使い方がよくみられます。
基本的な考え方として、人間ひとりひとりはみな対等であり、上位者も下位者も存在しません。しかし組織や社会などの「決まり(規則)」の中では、「命令」を出す者とそれに従う者をあらかじめ決めておいたほうが全体の利益に適(かな)う場合もあるのです。
特に、軍隊や警察組織などでは、誰が誰に従うかという「命令系統」がはっきりと決められています。原則として、組織としての「命令」は上から下への一方通行であり、よほどのことがなければ逆らうことは許されません。
例文
- 軍曹は、兵士たちに「明日は午前七時に配置につくように」と命令した。
- 衛生状態の悪い飲食店に、市役所は業務改善命令を発布(はっぷ)した。
- わがまま社長の勝手気ままな命令にはうんざりだ。(※組織としてではない、個人の欲望による命令を非難する文脈)
- 有能な上司はいい。命令がいつもすばやく、合理性があってしかも的確だ。私たち下の人間はおかげで楽に仕事ができる。
「命令」の類語
「命令」の類語は下記のようにたくさん挙げることができます。「命令」は原則として目上の者が発出するものであることを踏まえて、「お達し」「ご用命」などのように丁寧語の「御」が頭につく場合もあることを覚えておきましょう。
- 仰せ(おおせ)…目下の者に何かを命令すること、またその内容。(由来は「負おせ」から)
- 達し(たっし)…役所や上位者からの命令・通達。
- 沙汰(さた)…命令、指示。(やや古風)
- 下知(げち)…指図すること、言いつけること。
- 指図(さしず)…言いつけて何かさせること。
- 指示…命令を与えること。(直接「命令する」と言うより少し柔らかい)
- 指揮…多くの人に指図すること。
- 指令…組織の中での命令。
- 命(めい)…命令。
- 下命(かめい)…命令を下すこと、またその内容。
- 依命(いめい)…官庁などで、命令によること。
- 用命(ようめい)…用を言いつけること。(どちらかといえば「私的な命令」)
- 特命(とくめい)…特別の命令。
- 社命(しゃめい)…会社から社員に出す命令。
「命令」ほどの強制力が必要でない場合
もし「命令」というほどの強制力が必要でない場合は、下記のような言葉を用いましょう。基本的には自分を少し下げて相手を立てる言葉ですが、実質的には「命令」に近いニュアンスで使用されることもないわけではありません。
- 求め…相手に要求する、望む。
- 願い…ねがうこと、願望。乞い求める。
- 頼み…力を貸してもらえるよう、相手にすがること。
- 要求…他に向かって強いて願い求めること。
- 要望…実現するように願い求めること。(「要求」より低姿勢)
- 要請…願い求めること。(「要望」より低姿勢)
- 注文…こうしてほしいと相手に望むこと。
- 催促(さいそく)…早くするようにと要求すること。
- 催告(さいこく)…相手に一定の好意をするように催促すること、またその通知。