「沙汰」とは?意味や使い方をご紹介

「沙汰(さた)」とは「ご無沙汰(ごぶさた)しております」とあいさつをするときの、あの「沙汰」のことです。普段よく使う言葉ですが、意味までご存じの方は意外に少ないかもしれません。では、「沙汰」の詳しい意味や使い方について解説していきます。

目次

  1. 「沙汰」の意味
  2. 「沙汰」の由来
  3. 「沙汰」を使った言い回しと用例①
  4. 「沙汰」を使った言い回しと用例②
  5. 「沙汰」を使った言い回しと用例③

「沙汰」の意味

意味は驚くほど多数あります。

 

  1. ものの良しあしを判定すること。淘汰。
  2. ものごとの理非を決めること。評定。裁断。
  3. 政務を処理すること。
  4. 定めること。処置。
  5. 主君、あるいは政府などからの指令や指図。
  6. 便り。知らせ。音信。
  7. うわさ。評判。
  8. 行い。しわざ。事件。

現在ではさまざまな成句の中に組み込まれており、「沙汰」だけを意識して使うことは少なくなりました。ですが「2. ものごとの理非を決めること」「5. 主君、あるいは政府などからの指令や指図」の意味での使用例は、TVや映画の時代劇で耳にすることがあります。「追って沙汰をいたす」のような感じです。

「沙汰」の由来

「沙」は砂の意味だと解釈することが多いようです。しかし「沙げる」を「よなげる」と読んで動詞として使えば、「水につけてすすぐようにして選び取ること」の意味になります。「汰」も訓読みでは同じく「よなげる」と読め、意味も「水で洗って混入物や不要のものを取り除く」ということとなります。『晋書』(中国・唐の時代の歴史書)の「孫綽伝」では「沙之汰之,瓦礫在後」(これをよなぎこれをよなぐ。がれきあとにあり)との記述があります。この時点での意味は「砂を水ですすぐようにして、細かいものを選び分ける」でした。

その後、時を経るにつれ、最初の意味が展開、分岐していきました。いつ、どうなったのかを説明するためには、大胆な解釈が必要となります。一般的に言われているのはまず「選び分けること」から転じ「善悪の裁定をすること」へ、さらに「(その裁定を)処置すること」の意味となり、そして「良しあし(裁定)を踏まえた評判のこと」へ。そこから「便り・知らせ」や「行い・しわざ」まで展開してきたようです。

「沙汰」を使った言い回しと用例①

「沙汰」を単独で使うケースから説明していきます。「沙汰」の意味をあまり意識せず、もはや成句の一部となっている言い回しを多く使います。

 

  • 地獄の沙汰も金次第=お金があれば、大体のことは何とかなってしまうという意味。
  • 正気の沙汰ではない=まともな精神の人間がやるようなことではないという意味。
  • 沙汰の限り=普通の判断の限界を超えてめちゃくちゃなこと。
  • 取り沙汰される=世間で噂されること。

日常会話では、「あの派手な大盤振る舞いは、正気の沙汰じゃないね」「結婚を機に退職するのではないかと、取り沙汰されている」のような使い方をします。

「沙汰」を使った言い回しと用例②

久しぶりに会った知人に対して「ご無沙汰です」と言ったり、手紙のあいさつとして「ご無沙汰しております」と書いたりします。「ご」は丁寧に言うときの接頭辞で、「無沙汰」は「沙汰」が「無」いことです。つまり、しばらくの間知らせがなかったことに対するお詫びとして言う言葉です。

実際の手紙では「しばらくご無沙汰しておりますことを、大変申し訳なく思っております」などと書きます。

ただし、語順を変えて「沙汰無し」という言い回しにすると、「(人から)連絡がないこと」「(問題を)不問に付すこと」「人に知らせないこと、内緒にすること」のような意味も出てきます。

「沙汰」を使った言い回しと用例③

「沙汰」とさまざまな言葉をセットにして使うケースは、数限りなく存在します。例を挙げてみました。

現在の日常会話の中で

現在の言葉では「表沙汰」「裁判沙汰」「警察沙汰」「色恋沙汰」「暴力沙汰」「刃傷沙汰」「音沙汰」「沙汰やみ」「手持ち無沙汰」などがあります。

日常では、「部内の揉め事が表沙汰になるのは避けたいね」「ささいないざこざが、暴力沙汰にまで発展した」「朝早く出て行ったっきり、まるで音沙汰なしだよ」といった会話をよく耳にします。

古い表現では

古い表現としては「沙汰だし」「沙汰がまし」「沙汰聞き」「沙汰好み」などがあります。現在ではなかなか意味が伝わりにくい使い方です。

歴史用語では

また、歴史用語としても数多く登場し「沙汰付(さたづけ)」「沙汰書(さたがき・さたしょ)」「沙汰始(さたはじめ)」「沙汰所(さたどころ)」「沙汰人(さたにん)」「沙汰雑掌(さたざっしょう)」「沙汰未断(さたみだん)」などがあります。いずれも近世以前に使われていた、政治関連の言葉です。

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