「できない」とは
「できない」には、以下の意味があります。
- 物事を始めたり、完成・達成することが不可能であること。
- 何かをする能力などが劣っていること、その能力がないこと。
「できない」は、「出来ない」と漢字表記することがあります。動詞「出来る」の未然形「出来」に、打消の助動詞「ない」が付いた形で、「出来る(できる)」を否定した意味を持つものです。
「できない」の使い方
1の意味「不可能」
「できない」は、「できる」の否定形ですから、多義語である「できる」で表現される文章の意味が不可能であることを表す場合に使います。しかし、例えば、「用事ができる/用事ができない」のように、すべての「できる」を否定することが可能というわけではありません。
「用事ができる」は、文脈によって、用事をすることができるということと、用事が発生するということの両方の意味があります。しかし、「用事ができない」は、用事をすることができないという意味しかないからです。
以上のようなことを踏まえて、以下では、「できる」と「できない」を対比させた例文をご紹介します。
【例文】
- 仕事と家事・育児の両立ができる/できない。
- 英語ができる/英語ができない。
- 君に協力できる/できない。
- 毎年、庭で枇杷の実ができる/今年は、庭の枇杷の実ができない。
- 近所に新しいコンビニができる/近所に新しいコンビニができない。
- もうすぐ宿題ができる/宿題がまだできない。
2の意味「能力がない」
あまり例がありませんが、「能力がない」という意味では、例えば、「仕事ができない」という場合、仕事をするのに外部的な障害があってできないということと、そもそも仕事をする能力がない(または、劣る)ためにできない場合があります。
前者では、「サーバーがダウンしたためにパソコンが使えず仕事ができない」といった例が挙げられます。後者では、「彼は口先ばかりで、仕事ができない」というような場合です。このような人のことを「できない人」という言い方をすることもありますね。
「できない相談」
「できない相談」とは、最初から応じる余地のない相談、合意できるはずのない相談のことです。無理を承知で相手に難題を吹っ掛けたり、相談されたけれどもそれに応じる意思や能力がない場合に使われる慣用句です。
【例文】
- 滞納した1年分の家賃を全額支払ったら契約解除を撤回すると言われても、それはできない相談だ。
- できない相談と承知の上で、お願いにあがりました。
「できない」の類語
「難しい」
「難しい(むずかしい)」は、実現が不可能に近いこと、困難だということです。「できない」は、ほぼ完全に否定する形ですが、「難しい」には、実現できる余地があるかもしれないというニュアンスがあります。
【例文】
- この問題点を解決することは極めて難しいと思われます。
- 難しいことにチャレンジすることは大事なことです。
「不可能」
「不可能(ふかのう)」は、実現が可能でないこと、ありえないことで、「できない」とほぼ同義の言葉です。「できない」も「不可能」も、よく使う言葉ですが、日常会話で「不可能」を使うことはそれほど多くなく、文章などで使用されることが多いようです。
【例文】
- ナポレオンの言葉に「余の辞書に不可能という文字はない」というものがある。
- この最先端技術は、従来、不可能と言われていたことを可能にするものです。
「無理」
「無理(むり)」は、理由や道理が立たない、強引に物事をするということですが、「できない」の類語としては、実現が困難ということです。
【例文】
- 世話になった先輩の頼みなので無理を承知で引き受けたが、今になって後悔している。
- 君一人でその仕事は無理だから、優秀な助手を付けてあげよう。