「理由」とは?
「理由(りゆう)」の意味は、大きく分けて以下の3つです。
- なぜそうなったかというわけ、根拠。また、なぜそのようにするのかという根拠や筋道。
- 口実、言い訳。
- 哲学用語として、真理・存在がなりたつ基礎となるもの。実在的関係における結果に対する原因。
1と2の意味は似ていますが、2は「言い訳」ですから、多少の「こじつけ」や「つじつま合わせ」が含まれている可能性は否めません。
「理」は、ここではことわり、物事の筋道、という意味で用いられています。「由」も多義語ですが、「理由」においてはよりどころ、いわれ、わけという意味があります。すなわち「理由」は、「わけ」意味を重ねて強調した言葉と言えるでしょう。
「理由」の使い方
「理由」は、「わけ、根拠」の意味では事象、物体、人(生き物)など、実に幅広いもの対象として使えますが、「口実」の意味で使える主語は人間だけです。
文例
- 僕がよく神社に行く理由は、実はいい転職をしたいための神頼みなんだ。
- 理由はどうあれ、氷河がどんどん溶け出していることは事実だ。
- 経済的な理由で、大学進学はしないつもりです。
- 君はいつだって、なんらかの理由をつけてミスを認めようとしないね。
「理由」の類語
「わけ」
「わけ」は、漢字では「訳」と表記します。意味が細かく分けられている場合もありますが、特に「理由」の類語と考えられる意味は次の2つです。
- 物事の道理、筋道、事情や理由。
- 起こったことの原因やいきさつ。
「理由」の類語として挙げられる言葉は多数ありますが、なかでも「わけ」はもっとも幅広い世代に馴染みのある一般的な言葉といえましょう。
【文例】
- マコちゃん、どうして教科書をなくしたって嘘をついたの?ママにそのわけを教えてくれる?
- 時々、わけもなく無性に海が見たくなるのはなぜだろうか。
「ゆえん」
「ゆえん」は、「わけ、理由、いわれ」を指します。漢字では「所以」と表記されますが、ひらがなで用いられることの多い言葉です。
少々古めかしい印象ですが、書き言葉として文書などに広く使われています。反対に、会話の中で用いられることはほとんどないでしょう。
【文例】広大な自然とグルメの宝庫であることが、北海道が観光地として人気を集めるゆえんだろう。
「事情」
「事情」は(じじょう)と読みます。単なる「物事の状態」を意味する場合もありますが、「理由」に近い意味としては、物事がある状態になった原因、ことの次第などが該当します。
「理由」「わけ」と並び、広く用いられる言葉ですが、ビジネスシーンなどで「事情」を用いると、内輪の言い訳的なニュアンスにとられる場合もありますので、「理由」を用いたほうが無難でしょう。
【文例】結婚式の日程を早めたのには、彼にアメリカへの転勤辞令が出たという事情があったからなの。
「根拠」
「根拠(こんきょ)」は、行動や言動を成立させるよりどころという意味において、「理由」の類語と言えるでしょう。
文例:君は「勉強しなくても受験に成功する」と言っているが、その根拠を示してほしい。
「事由」
「事由(じゆう)」は、事柄の起きた原因のことを指します。日常生活や会話ではまず使われないため、馴染みない人も多いことでしょう。
「理由」が事、物、人などさまざまなものを対象に用いられるのに対し、「事由」は「事柄」の原因にのみ使います。法律用語としては、事柄のあとに「事由」をつけて、「破産事由」「離婚事由」などのように用います。
文例:この裁判の争点は、「法定離婚事由」に当てはまるかどうか、というところだ。