「烏滸」とは?意味や使い方をご紹介

「烏滸」という文字、すぐに読むことができましたか?「烏滸」は、「おこ」と読みます。読み方はわかっても意味が全く想像できないという方もいると思います。この「烏滸」は「おこがましい」の「おこ」なのです。この記事では、「烏滸」の意味や使い方を詳しくご紹介しています。

目次

  1. 「烏滸」の意味
  2. 「烏滸」の使い方
  3. 「烏」が使われている言葉
  4. 「烏滸」のまとめ

「烏滸」の意味

「烏滸(おこ)」には、次の2つの意味があります。

・馬鹿げていること。滑稽なさま。
・ふとどきな様子。不敵なさま。


もともとは中国の言葉で、黄河や揚子江の港に集まる騒がしい人のことを意味していました。「滸」は水辺やほとりのことを指しており、水辺にいるカラスのようにうるさい人々を「烏滸」と呼んでいたようです。

日本では、はじめ「をこ」「うこ」と平仮名表記されていましたが、平安時代になり「烏滸」「尾籠」「嗚呼」という当て字がされるようになります。この頃の「烏滸」は、愚かや愚鈍の意味と、人を笑わせる行為や非常識な振舞を意味していました。

ここから、物まねや滑稽な仕草の歌舞の芸と、それを演じる人々を「烏滸」と言ったり、面白おかしい話を「烏滸話」、『鳥獣戯画』などの人を笑わせることを目的として書かれた絵を「烏滸絵」と呼ぶようになりました。

室町時代になると、愚鈍なものを表す表現「馬鹿」が使われるようになります。そして、江戸時代には「馬鹿」と言う言葉が広く使われるようになり、次第に「烏滸」は使われなくなってしましました。

「烏滸」の使い方

現在、「烏滸」という言葉を単独で使うことはほぼありません。「烏滸がましい(おこがましい)」、もしくは「烏滸の沙汰(おこのさた)」という表現で使われることがほとんでです。

ここでは「烏滸がましい」「烏滸の沙汰」の意味と、過去の文豪たちがどの様に「烏滸」を使って文章を書いたのか見てみましょう。

「烏滸がましい」

「烏滸がましい」の意味は、二つあります。一つ目は、身の程をわきまえないこと、差し出がましいことです。二つ目の意味は、いかにも馬鹿馬鹿しい、ばかげているという意味です。

「烏滸がましい」に身の程をわきまえないという意味が含まれるようになったのは、近代以降からで、それまでは馬鹿馬鹿しいという意味のみで使われていました。

「烏滸の沙汰」

「烏滸の沙汰」の意味は、ばかげていることや、とても愚かな様子のことです。

「烏滸」の引用

“されどかかる烏滸のしれもの果して喜んで記實の文を讀むを必とすべきか。”
『柵草紙の山房論文』:森鴎外
 
“探偵小説作家なぞと呼ばれて返事を差出すのは、如何にも烏滸がましい気がして赤面します。”
『涙香・ポー・それから』:夢野久作
 
“怯むな、怯むな。足利とんぼが血迷うて、執権どのへの畏れも忘れ、烏滸な手むかいに出たまでのこと。”
『私本太平記 あしかが帖』:吉川英治
 
“これまで、民衆を指導するなどと考えていたのは烏滸の沙汰である。”
『全体主義への吟味』:宮本百合子

※青空文庫出典

「烏」が使われている言葉

「烏滸」の他に「烏」が含まれる表現をご紹介します。

烏の行水(からすのぎょうずい)
意味:入浴時間が極端に短いことのたとえ

濡烏(ぬれがらす)
意味:日本人女性の理想の黒髪の色とされる色の名称。「烏の濡れ羽色」ともいう。

闇夜に烏(やみよにからす)
意味:見分けがつかないことのたとえ。

三羽烏(さんばがらす)
意味:三人組のこと。

烏合の衆(うごうのしゅう)
意味:統率の取れていない寄せ集めの集団や軍隊のこと。

白兎赤烏(はくとせきう)
意味:時間のこと。

烏飛兎走(うひとそう)
意味:あっという間に時間が過ぎることのたとえ。

烏白馬角(うはくばかく)
意味:絶対にありえないことのたとえ。

烏焉魯魚(うえんろぎょ)
意味:文字を書き間違えること。

「烏滸」のまとめ

江戸時代以降あまり使われなくなってしまった「烏滸」という言葉ですが、その意味や使い方をおわかりいただけましたか?現在は「烏滸がましい」や「烏滸の沙汰」という言い回しでのみ使われており、「烏滸」という言葉自体を目にすることはなくなってしまいました。

使用頻度の少ない「烏滸」ですが、知識の一つとして心の肥やしにしていただければ幸いです。


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