「仕事」とは
幼稚園児に、「パパ(ママ)のお仕事はなに?」と聞くと、「パン屋さん」とか、「先生」などと答えが返ってきます。
このように、「仕事」という言葉は小さな子供でも知っていますね。しかし、「仕事」には、次のように多くの意味があります。
「仕事」の意味
- 職業。生計を立てる手段。
- 何かを作り出す、また、目的を達成するための行動。
- 行動したことやその結果。業績。
- 悪事をしたり、たくらんだりすること。しわざ。所業。
- 針仕事。縫い物。裁縫(さいほう)。
- (物理学)物体に外から力が加わって移動したときに、移動方向への力の成分と移動距離との積のこと。
日常的には、1が最も多く、2や3もよく使われています。また、4も時々使うことがあります。5の意味での用法は少々古く、現在一般的に使われることは少なくなっているでしょう。
6については、学校の理科や科学の授業でも習いますが、社会に出てしまうとほとんど使いません。以下では、意味ごとの使い方をご紹介します。
「仕事」の使い方
1の意味「職業」
現在、大部分の人は仕事をして生計を立てているでしょう。1は、従事する職業を意味するときに使われます。
【例文】
- 就職難で大学を卒業しても仕事が見つからず、アルバイトをしながら、ハローワークに通っている。
- 将来は、金融関係の仕事をしたいと思っています。
2の意味「目的を達成するための行動」
2の意味では、職業そのものではなく、自分(あるいは、チームや会社など)が取り組んでいる物事のことを「仕事」と呼んでいます。「家の仕事(=家事)」や「PTAの仕事」「ボランティアの仕事」などというふうにも使いますね。
【例文】
- 課長から新しいプロジェクトの話を振られたけど、今やっている仕事にケリをつけないと受けるのは難しいと思う。
- 子供が高熱を出して医者に連れて行ったと妻からメールが来て、心配で仕事が手につかない。
3の意味「業績」
3の意味では、2の意味の「仕事」の結果のことを「仕事」と言っています。この使い方には評価を表す言葉が一緒に使われています。
【例文】
- 古民家を訪ね歩いて、昔の大工のいい仕事をたくさん記録に残そうと思う。
- お客さんから、「あなたの仕事には大変満足しています。ありがとう」とお礼状をいただき、うれしかった。
4の意味「悪事」
4の意味は、あまりピンと来ないかもしれません。しかし、ドラマや小説などではよく使われています。現実社会でも犯罪捜査などでは使われているようです。
【例文】
- 最近、この近辺で発生している窃盗事件は手口から見て、奴の仕事とみて間違いないだろう。
- 振り込め詐欺は、ほかの共犯者のことを知らない犯人が、それぞれの役割だけを分業して仕事をするから、黒幕にたどり着くのは難しい。
5の意味「針仕事」
最近は、自分で服を作ったり、破れを繕ったりすることが少なくなり、傷んだら買い替えるとか古着ショップやオークション、フリーマーケットで売ることが流行っています。一方で、仕立て直しとか服の修理をする店も見かけます。
【例文】
- 子供のころ、母が破れた靴下やズボンに継ぎあての針仕事をしていたことを思い出す。
- お気に入りの洋服が破れてしまったので、服の修理屋さんに仕事を頼んだ。
6の意味「物理学」
物理学における「仕事」とは、物体に力を加えて動かすことです。『物体に力を加えて、その力の方向に動かしたとき、力は物体に「仕事」をした』という定義が有名です。
イギリスの物理学者 J.P.ジュールによって発見された「ジュールの法則(電流によって導体内に発生する熱量に関する法則)」を覚えている人も多いでしょう。
ジュール(J)は、エネルギー、仕事、熱量、電力量の単位として、様々な分野で使われています。
「仕事」の類語
「職業」
「職業(しょくぎょう)」は、生計を維持するために、日常的に従事する仕事のことです。1の意味の仕事と同義ですね。「職業に就く」「職業に貴賤(きせん)なし」「職業安定所」などと使います。
「勤め」
「仕事」の類語としての「勤め(つとめ)」は、仕事をすること、勤務すること、あるいはその仕事や勤務そのものを意味します。これは、1、2の意味の類語ですね。「会社勤め」「役所勤め」「勤めに出る」「勤めに精を出す」など、いろいろと使えます。
「労働」
「労働(ろうどう)」は、からだを使って働くこと。特に、収入を得る目的を持ってからだや頭を使って働くことです。これは、2の意味の類語ですね。「肉体労働」「知的労働」「時間外労働」「自動車工場で労働する」などのように使います。
「業績/成果」
「業績(ぎょうせき)」や「成果(せいか)」は、いずれも仕事を成し遂げた実績・結果のことです。これは、3の意味の類語です。「わが社の業績」「活動の成果」「好業績をあげる」「研究の成果を出す」などと使います。
「仕業」
「仕業(しわざ)」は、おこないや行為という意味です。「この間の放火は奴の仕業だ」というように4の悪事の意味での仕事に使われます。また、いたずらなどで、「子供の仕業」という使い方もあります。
なお、「仕業(しぎょう)」と読むときは、機械の操作をしたり車両を動かしたりすることを意味します。