「所感」とは
「所感(しょかん)」とは、人が物事に接したときに感じる想いのことです。また、仏教用語で、過去の行為によって現在の結果が生じること、あるいは、その結果を意味します。ほかに、ものを手に入れることという意味を載せている辞書もありますが、現代では使われていません。
「所」には、住所(住むところ・住んでいるところ)や居所(居るところ)のように「場所」を意味するほか、所信(信じるところ)や所持(持っているもの)といった感情や動作などの作用を表す「~するところの。~するもの」といった意味があります。
この後者の意味の「所」に、かんじる・心が動く・心にひびく・心に受けるといった意味の「感」が結びついて、所感(感じるところ)となるわけです。「感想」と似ていますが、感想に加えて、今後につながる意見などを含むものが「所感」です。
「所感」の使い方
「所感」は、一般の会話で使われることはあまりなく、ビジネスや公式の場で使われることが多い言葉です。冒頭の年頭所感やスピーチ、あるいは、業務報告書などに記入するような場合に使います。
例文
「所感」の類語
「感想」
「感想(かんそう)」は、読んで字のごとく、見聞きした物事について心に感じたり、想(思)ったりしたことです。「所感」を含む思いや考えなどのことを指す場合もあります。小学校のころ、読書感想文などで苦労した人も多いのではないでしょうか。
【例文】
- 子供のころ、出版社の読書コンクールに出した感想文が金賞に選ばれ、お母さんと一緒に表彰式に出席した。
- 新人研修終了後の懇親会で、社長から、社会人として、そして社員としての感想を述べるように言われた。
「所見」
「所見(しょけん)」は、物事を見た時の意見や考え、その物事に対する判断などのことです。「所感」と同じように意見などを含みますが、特に医師のような専門的知見に基づく判断などに使われることの多い言葉です。
【例文】
- 医師の所見によれば、血糖値が平均を上回っているが、それほど心配するようなものではないとのことだった。
- 今回発生した問題について、担当部署の責任者の所見をお聞かせ願いたい。
「所存」
「所存(しょぞん)」は、心の中で考えていることです。「所感」と同じように、一般的な会話で使われることはなく、公式の場でのスピーチや書簡の中で使われる、やや古めかしい言葉です。「○○する所存であります」といった表現がよく使われています。
「存」には、存在や生存のように、ある・いるといった意味のほかに、思う・考えるという意味があり、思うところということから、上記の意味を持っています。
【例文】
- 今回の勝利におごることなく、一層精進していく所存です。
- ご連絡をいただきましたら、すぐにお伺いする所存です。
「意見」
「意見(いけん)」は、物事に対する考えや主張などのことです。客観的な意見もありますが、自分の感じたことを元にした主観的な意見もあり、「所感」の類語と言えるでしょう。なお、相手に対して説教するという意味もあり、「意見する」といった表現で使われます。
【例文】
- 君の意見は主観が入りすぎて、説得力に欠けている。もっと、客観的な資料に基づいた意見を言いなさい。
- いつも対立する二人の意見が珍しく一致した。
- 大学を卒業しても働かずブラブラしている息子に意見した。