「感じる」とは
「感じる」はサ変動詞「感ずる」が上一段したかたちですので、どちらも意味は同じです。しかし、「感ずる」は文語的な表現ですので、一般的には「感じる」が用いられます。
「感じる」の意味
「感じる」には、大きく分けて以下のような意味があります。
- 刺激を受け取る。刺激から何らかの情報を認識する。
- 何らかの気持ちを抱く。心に刻む。
- ある物事に強く反応して、心が動く。
- 病気になる。感染する。
「感じる」の使い方
1.刺激を受け取る
1の意味の「感じる」が用いられるのは次のようなケースです。「寒さを感じる」のように体外からの刺激を認識する場合と、「空腹を感じる」のように体内からの刺激に反応する場合。そして、「センサーがガス漏れを感じる」のように計測機器などが反応する場合にも使われます。
[例文]
- バラの棘に触れ、痛みを感じて思わず手を引っ込めた。
- 視線を感じて振り返ると、見知らぬ男が立っていた。
- 最近、胃のあたりに刺すような痛みを感じる。
- 地震計が揺れを感じたようだ。
2.気持ちを抱く
2の意味の「感じる」は、喜怒哀楽などの感情が生まれる、あるいは、責任や疑念といった考えが生じることを表します。
[例文]
- 仲良しの友達が転校してしまったことに寂しさを感じる。
- 人気のある作品だが、私はその映画には面白味を感じなかった。
- 失業で苦境に立たされたときに助けてくれた彼には恩義を感じている。
- 営業自粛などによる倒産や失業を避けるため、金融支援の必要性を感じる。
3.心が動く
3の意味の「感じる」は、上記の意味2と少し似ていますが、2よりももっと大きな心の動きを言います。感動する、衝撃を受けるといったニュアンスです。
[例文]
- 演奏に深く感じたように、彼女は終始目を閉じていた。
- 彼の心意気に感じて、アシスタントとして採用した。
- 友人が肺がんを患ったことに感じるところがあり、禁煙することにした。
4.病気になる
現在では、4の意味で「感じる」を用いる機会はあまりありません。どちらかというと古い言い回しなので「感ずる」が用いられていることが多いようです。
[例文]
- インフルエンザに感じたため、数日寝込んだ。
- いつコロナウイルスに感じるか分からないから用心に越したことはない。
「感じる」の類語
「感じる」は、さまざまな場面で使用できる言葉ですから、つい多用してしまうこともあるでしょう。しかし、「感じる」を表す言葉はほかにもたくさんあります。
1.刺激を受け取る
【検知】<けんち>
「検知」にはさまざまな意味がありますが、そのひとつが計測器の反応から情報を得るという意味です。「防犯センサーが侵入者を検知した」のように用いられます。
【触り】<さわり>
感覚器官が何かに接触したときの印象や、人と接したときの印象という意味です。「肌触りの良いシーツは気持ちが良い」「このプリンの舌触りは好みではない」のように、複合語としてよく使われていますね。
【察知】<さっち>
雰囲気などからそれと気づくこと、得られた情報を元に予想して感じ取ることといった意味です。「彼らの間の険悪な空気を察知した」「私の苛立ちを察知して彼が私を連れ出した」のように用いられます。
【知覚】<ちかく>
「知覚」には複数の意味がありますが、「感じる」に類するのは、感覚器官を通して得られる情報を元に、体外や体内の状態を認識するという意味です。「目で知覚したとおりの物が必ずしもカメラに写るわけではない」のように使う言葉です。
2.気持ちを抱く
【味わう】<あじわう>
「味わう」には食べ物の味を楽しむなどのほかに、実際に体験して身にしみるという意味も持つ言葉です。「子供が生まれた喜びを味わう」「誹謗中傷の苦しみを味わう」のように使います。
【印象】<いんしょう>
見聞きした物が人に与える感覚、心に強く残る姿や痕跡などの意味です。「彼からはとても活発な印象を受けた」「決意に満ちた表情が印象に残っている」のような言い回しでもよく使われる言葉ですね。
【覚える】<おぼえる>
「覚える」には様々な意味がありますが、「感じる」に類するのは「ある感情や感覚を心や体に感じる」という意味です。「彼女の笑顔に親しみを覚えた」「連勤を終えてさすがに疲れを覚えた」「彼の説明には疑問を覚えた」のように用いられます。
【催す】<もよおす>
「催す」には複数の意味がありますが、その中の一つは、ある状態にさせる・ある気分をかき立てるという意味です。「感じる」の1の意味にも通じるところがありますね。「昼食後に眠気を催した」「舞い散る落ち葉に寂寥感を催した」のように使います。
3.心が動く
【感極まる】<かんきわまる>
これ以上はないくらいに感動することを表す言葉です。「息子の晴れ姿に感極まって涙が止まらない」「憧れの人との対面に感極まって言葉が出てこなかった」のように用いられます。
【感銘】<かんめい>
深く心に刻み込んで忘れないという意味です。「彼の彫刻に感銘を受けた」「彼女の研究への志に感銘を受けた」のように、「感銘を受ける」という言い回しでよく使われますね。
【心に響く】<こころにひびく>
深く感動するあまり印象に残るなどの意味です。「胸に響く」「心打たれる」なども同じ意味ですね。「先生の言葉は若き日の私の心に響いた」「心に響く演奏に涙が溢れた」のように用いられます。
【応える】<こたえる>
「応える」には様々な意味がありますが、「感じる」に通じるのは、外部からの刺激を強く受けるという意味です。「友人の死が応えてずっと塞ぎ込んでいる」「事業の失敗が応えたが、一層奮起した」のように使います。
4.病気になる
【罹患】<りかん>
病気にかかるという意味です。「現地の流行病に罹患する」のように用いられます。
【患う】<わずらう>
「患う」にはさまざまな意味がありますが、「感じる」に類するのは、病気になるという意味です。「昨年大病を患った」「心臓を患って手術を受けた」のように使います。