「付す」とは?
「付す」(ふ-す)は、「付する」ともいい、以下の意味で使われます。
- つけ加える。つけたす。そえる。
- あずける。わたす。あたえる。交付する。付与する。
- 任せる。そのように取り計らう。
- ついていく。従う。
基本的には「付く」(つ-く)という言葉に見られるように、二つの物がくっつくさまや、ある物を他の物の後に従わせる/及びつかせる、ある物をある位置に置かせる(そのようにする)、といった意味が基になっていると捉えて問題ないでしょう。
「附す」と書いてもOK
「付す」は「附す」と書いてもよく、まったく同じように使うことができます
「付す」の使い方
「付す」のそれぞれの意味ごとに、使い方をご紹介します。
1.つけ加える・つけたす・そえる
「付す」の使い方のひとつは、「つけ加える・つけたす・そえる」です。「付ける」と言い換えても、大抵の場合は通用するでしょう。
【例文】
- 詳しい資料は、巻末に付す。
- 届けられた商品には、「丁寧に扱ってください」との注意書きが付されていた。
- 最後に一言だけ、付しておきたい。「どうかお元気で」。
2.あずける・わたす・あたえる・交付する・付与する
「あずける・わたす・あたえる・交付する・付与する」という意味の「付す」は、国や役所などが書類や物などを与える、といった文脈で使われることが多いです。
【例文】
- 彼は戦争の英雄として、初めて「〇〇賞」の称号を付された。
- この者に、〇〇証明書を付す(付する)。
- 整理のため、これらの書類に提出順の番号を付します。
3.任せる・そのように取り計らう
「任せる・そのように取り計らう」という意味の「付す」は、しっかり使い方を覚えておかないと、とっさに意味を取り損ねてしまうかもしれません。
「ある物にある物を付ける」という意であるのはこれまでの使い方は変わりませんが、「それに及びつかせる」「その位置にあるようにする」ことから、「それに任せる」「そのようにする」という意味合いが出てきます。
例えば、「荼毘(だび)に付す」と言った場合、「荼毘」は「火葬・葬式」の意ですから、「死者の弔いを火葬(という手段)に任せる、そう取り計らう」といった意であると考えれば良いでしょう。
【例文】
- この件は、極秘事項に付されており、私は知る由がなかった。
- 裁判長は、被告の行いを不問に付すとの裁決を下した。
- この決定はわたしの立場では難しいため、重役会議に付す。
4.ついていく・従う
「付す」の最後の使い方は、「ついていく・従う
【例文】
- 隊列の後ろに付す。
「~に付す」という慣用句
「付す」には、以下のように慣用句として知られる言葉がいくつかあります。
- 一笑(いっしょう)に付す…笑ってとりあげない。
- 驥尾(きび)に付す…後進の者が、すぐれた先達(せんだつ:その道の先輩、案内者、指導者)に付き従って、ことを成し遂げたり功を立てたりすることをいう。蠅が駿馬の尾について、千里も遠い地に行く故事成語から。
- 等閑(とうかん)に付す…いい加減にして放っておく。なおざりにする。
「付す」を英語で言うと?
「付す」はご紹介してきた通り多義語であるため、それひとつで簡単に変換可能な英単語はありません。状況に応じて、「付す」が具体的にどのような行いを指すのかを検討しましょう。
「つけ加える」意であれば「attach」や「add」、「あずける」「あたえる」であれば「give」や「deliver」、「任せる」「そのように扱う」であれば「refer」「entrust」といった単語が選べるでしょう。ただ「ついていく」であれば「follow」です。