「付す」とは?意味や使い方をご紹介

「付す」(ふ-す)という言葉をご存知でしょうか。主に「~に付す」というかたちで使いますが、日常的な会話ではほとんど見聞きする機会がないでしょう。「荼毘(だび)に付す」であれば聞き覚えがあるかもしれません。ここでは、「付す」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「付す」とは?
  2. 「付す」の使い方
  3. 「~に付す」という慣用句
  4. 「付す」を英語で言うと?

「付す」とは?

「付す」(ふ-す)は、「付する」ともいい、以下の意味で使われます。

  1. つけ加える。つけたす。そえる。
  2. あずける。わたす。あたえる。交付する。付与する。
  3. 任せる。そのように取り計らう。
  4. ついていく。従う。

基本的には「付く」(つ-く)という言葉に見られるように、二つの物がくっつくさまや、ある物を他の物の後に従わせる/及びつかせる、ある物をある位置に置かせる(そのようにする)、といった意味が基になっていると捉えて問題ないでしょう。

「附す」と書いてもOK

「付す」は「附す」と書いてもよく、まったく同じように使うことができます

「付す」の使い方

「付す」のそれぞれの意味ごとに、使い方をご紹介します。

1.つけ加える・つけたす・そえる

「付す」の使い方のひとつは、「つけ加える・つけたす・そえる」です。「付ける」と言い換えても、大抵の場合は通用するでしょう。

【例文】

  • 詳しい資料は、巻末に付す。
  • 届けられた商品には、「丁寧に扱ってください」との注意書きが付されていた。
  • 最後に一言だけ、付しておきたい。「どうかお元気で」。

2.あずける・わたす・あたえる・交付する・付与する

「あずける・わたす・あたえる・交付する・付与する」という意味の「付す」は、国や役所などが書類や物などを与える、といった文脈で使われることが多いです。

【例文】

  • 彼は戦争の英雄として、初めて「〇〇賞」の称号を付された。
  • この者に、〇〇証明書を付す(付する)。
  • 整理のため、これらの書類に提出順の番号を付します。

3.任せる・そのように取り計らう

「任せる・そのように取り計らう」という意味の「付す」は、しっかり使い方を覚えておかないと、とっさに意味を取り損ねてしまうかもしれません。

「ある物にある物を付ける」という意であるのはこれまでの使い方は変わりませんが、「それに及びつかせる」「その位置にあるようにする」ことから、「それに任せる」「そのようにする」という意味合いが出てきます。

例えば、「荼毘(だび)に付す」と言った場合、「荼毘」は「火葬・葬式」の意ですから、「死者の弔いを火葬(という手段)に任せる、そう取り計らう」といった意であると考えれば良いでしょう。

【例文】

  • この件は、極秘事項に付されており、私は知る由がなかった。
  • 裁判長は、被告の行いを不問に付すとの裁決を下した。
  • この決定はわたしの立場では難しいため、重役会議に付す。

4.ついていく・従う

「付す」の最後の使い方は、「ついていく・従う 」というシンプルなものです。しかし、現代ではあまり使われる機会がないでしょう。

【例文】

  • 隊列の後ろに付す。 

「~に付す」という慣用句

「付す」には、以下のように慣用句として知られる言葉がいくつかあります。

  • 一笑(いっしょう)に付す…笑ってとりあげない。
  • 驥尾(きび)に付す…後進の者が、すぐれた先達(せんだつ:その道の先輩、案内者、指導者)に付き従って、ことを成し遂げたり功を立てたりすることをいう。蠅が駿馬の尾について、千里も遠い地に行く故事成語から。
  • 等閑(とうかん)に付す…いい加減にして放っておく。なおざりにする。

「付す」を英語で言うと?

「付す」はご紹介してきた通り多義語であるため、それひとつで簡単に変換可能な英単語はありません。状況に応じて、「付す」が具体的にどのような行いを指すのかを検討しましょう。

「つけ加える」意であれば「attach」や「add」、「あずける」「あたえる」であれば「give」や「deliver」、「任せる」「そのように扱う」であれば「refer」「entrust」といった単語が選べるでしょう。ただ「ついていく」であれば「follow」です。


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