「存在」とは?
「存在」とは、簡単に言えば、在ること・居ること、または、在るもの・居る人を指しています。哲学においては「存在」は最も根本的な概念です。意味は、あること、あるもの、有、とされていますが、未だに完全に定義することができていないとされる言葉です。
「存在」の使い方
哲学用語はさておいて、一般的に「存在」は次のように用いられます。
(A男)
彼はあの小説で文壇に存在を認められるようになったんだ。
(B美)
あの映画を見ると、いやがおうにも、自分の心の中に存在する差別や偏見に気づかされるの。
(C太)
彼は誰からも尊敬される偉大な存在だ。
「存在」を含む言葉
「存在価値」
自己啓発本などでは、「自分が何かに貢献している」「自分が誰かに必要とされている」といった話題がよく登場しますね。これは自分の存在価値を感じられるという具体例です。
このように、その存在を意義あるものとして認めるような、人や物事の持つ価値のことを「存在価値」と言います。価値とは言っても、物価のように数値で表すものではなく、「ある」か「ない(ゼロ)」かで表されます。
自分に存在価値を感じられるかどうかは生きる気力にも関わる問題です。ですから、自分を必要としてくれる人や場所を求め、自分が何かをもたらすことができるように努力するのでしょう。存在価値の有無は人間にとって大きな意味を持っているのです。
「存在感」
「存在感」は、人やものが確かな存在であると印象づける感じという意味です。「圧倒的な存在感」や「強い存在感のある女性」などのように使われています。存在感がある人というのは、ただ居るだけでも場の空気を変えるような力がありますね。
「存在感」があることは「(周囲から)一目置かれている」、逆に、存在感がないことは「影が薄い」などと表現します。
「存在論」
「存在論」とは、哲学の基礎的な部門で、紀元前のアリストテレス以来、形而上学の中枢に位置し続けている学問です。どのような学問かといえば、人間はいったい、どこから来るのか、なぜ存在するのか、存在するとは何かを考えること。
「存在論」は存在学、本体論、オントロジーとも呼ばれます。2000年以上に渡って研究が続けられるほどに、人間にとって「存在」とは問い続けずにはいられない問いであることが分かるでしょう。
「存在」の類語
「所在」
「所在」には、①物や人が存在すること・在りか、②すること・行為、③身分・地位境遇といった意味があります。「存在」の類語に当たるのは①の意味です。
- 責任の所在を明確にする必要があります
- 犯人の所在は現在までのところ、分かっていません
- 一人残された彼は、所在なげに立っていた
「存在」はあるモノがあるかないかを表し,それがどこにあるかを示すのが「所在」です。
「既存」
「既存」は、文字通り、すでにあることを意味します。本来の読みは「きそん」ですが、「きぞん」と読む人が増え、2014年からはNHKが第1379回放送用語委員会にて、両方の読みを同等の扱いとすることを決めました。
- オリンピックの開催にむけて、既存の施設を利用することが検討された。
- 既存の権利の届出には、印鑑証明書が必要です。
- 既存顧客のフォローとともに、新規顧客の獲得が課題ではないでしょうか。
「存在」はあるかないかに、一方で、「既存」はもうあることに重点が置かれています。
「現存」
「現存」とは、現在、実際に在ることを意味する言葉です。なお、「現存」はもともと「げんそん」と読まれてきましたが、2013年第1376回のNHK放送用語委員会で、「げんぞん」も同じ扱いにすることに決められました。
- 西院伽藍は現存する世界最古の木造建築物郡で、ユネスコの世界遺産に登録されています。
- 現存する樹木の世界ランキングトップ1は樹齢600年から800年と推定されています。
- 現存する世界最高齢の記録が更新されました。
「存在」はあることそのものを問題にしており、「現存」はたった今、在ることに焦点があります。