「端正」とは
「端正」は、一般的に「たんせい」と読みます。「端」(きちんとしていること)と「正」(正しくすること・ととのっているさま)から成り立つ熟語です。これからも分かるように、「端正」の意味は以下の通りです。
【端正】
- 意味:姿や形や動作(姿勢や行儀など)が、乱れたところがなく、(正しく)きちんとしていること。また、そのさま。
- 対象:さまざま
意味は同じですが、今昔物語集の一節「太子を見奉るに、形端正なる事限りなし」などでは、「端正」を「たんじょう」と読んでいます。
「端正」の使用例
- 和服姿の祖母は、端正な着こなしの見本のような人だ。
- 茶道の先生の端正な身のこなしは、常々見習いたいと思う。
- 端正な佇まい(たたずまい)の建造物を見ると、時が止まったように感じる。
- 端正な日本庭園は、海外からの旅行者に紹介したい観光地の一つだ。
- 端正で品のよい字が書かれている手紙を受け取ると、内容以上に感動する。
「端正」と「端整」
「端正(たんせい)」と同音で、「端整」という言葉があります。「端正」の意味は次の通りです。
【端整】
- 意味:容姿(顔立ちと体つき)が整っていて美しいこと。また、そのさま。
- 対象:容姿に限定
「端正」と「端整」の意味は似ています。しかし、「端正」はさまざまな対象について用いるのに対し、「端整」は対象が容姿に限られるのがポイントです。
「端正な顔立ち」と「端整な顔立ち」
本来は「端整な顔立ち」の使い方が適切ですが、「端正な顔立ち」という使い方もされています。「端正」を使用した場合、整った顔立ちだけでなく、その人がもつ(行儀などがととのっている)品の良さなども含めて、表現していることも考えられます。
「端整」の使用例
- 美人女優で有名なAさんは、誰もが認める端整な顔だちだ。
- スポーツ選手のBさんは、端整な体つきをしている。
- 従妹に会うたびに、端整な目鼻立ちで羨ましいと思う。
「端正」の関連語
「端正」の類語
「端正」はさまざまな対象について使われるので、類語に挙げられる言葉は、対象により異なります。
- 装い…「端正な着こなし」の場合:折り目正しい。小奇麗な。
- 造形…「端正な門構え」の場合:洗練された。気品のある。
- 文章…「端正な文字・文章」の場合:達筆。流麗。
「端正」の四字熟語
【容貌端正】ようぼうたんせい
- 意味:顔立ちが整っていて美しいこと(きちんとしていること)。
- 例文:「容貌端正なうえ知性もある先輩は、憧れの的だ」
【挙措端正】きょそたんせい
- 意味:立ち居振る舞いや身のこなしが、美しく整っていること(きちんとしていること)。
- 例文:「挙措端正な人を見ると、見習いたいと思う」
「端正」とともに検索されるワード
「正しくきちんとしていること」の意味から、「端正」という言葉はさまざまな対象について、多方面で使われます。「端正」とともに検索されるワードを紹介しましょう。
『端正な折り紙』
『端正な折り紙』は折り紙の本の題名です。折り紙では色々な形を作成できますが、複雑になるほど折り方の正確さが重要になります。
そうして生まれた精巧な折り紙は、正に端正そのものです。この本には、国内および海外の有名折り紙作家による、オリジナリティあふれる50作品とその折り方が掲載されています。
「端正な服装」
「端正な服装」とは、清潔感があり、整った感じのする服装のことです。ビジネスシーンで好感を持たれるのは、端正な服装でしょう。
たとえ、カチッとしたスーツを着ていなくても、良い印象を与えます。逆に、スーツを着てもシワや汚れがある服では、好感は得られません。
「端正」のまとめ
「容貌端正」も「挙措端正」もほめ言葉なので、人から言われたら嬉しいと感じる熟語です。前者は人の努力で変えられませんが、後者は変えられることなので、本人が意識して行動に移せば、この言葉をかけられるような人になれるでしょう。
身のこなしや文章などは、ご自身の意識や努力により端正という言葉にふさわしいものが身に付くので、改善可能なものは、端正になるよう心掛けて行動をしたいですね。