「発展」の意味
「発展」の意味はおもに以下の通りですが、多くの場合は1の意味で用いられます。
- のび広がること。展開。栄えゆくこと。(事態のー。経済のー。)
- (色事などにおいて)手広く活動すること。
「発展」は「低次の段階から高次の段階へと転化すること」を表します。言葉としては難しいですが、簡単に言えば「物事が良い方向へとステップアップすること」です。
例えば、強盗事件の捜査中に犯人の指紋が発見されたとしましょう。この指紋をもとに事件解決に向けて次の段階に進むことが出来ますね。このような動きを「捜査の発展」と呼びます。
他にも、教科書にある「発展問題」は「基礎」から次の段階へ進むことですし、「街の発展」は「街が栄えて今よりも利便性などが良くなること」ですね。
「発展」の使い方と例文
1.「のび広がる」などの意味の場合
1の意味の「発展」は、「事業の発展(事業が色々な分野に展開すること)」や「都市の発展(都市が栄えること)」のように用いられます。また、「恋仲に発展する」は、「友達→恋人→夫婦」と関係が移り変わることを表す言い回しです。
この意味においては、「発展」は良い方向へステップアップするというポジティブなニュアンスを表します。
[例文]
- 小さな街で始めたラーメン屋だったがその味が万人に認められ、今では都内に数店舗を構える有名店へと発展した。
- 手掛けていた事業が思わぬ発展を見せ、私たちだけでは手が足らなくなったため従業員を募集することにした。
- 入社式でなんとなく気になっていた女性と偶然にも同じ部署に配属され、お互い仕事について励まし合っていたらいつの間にか恋仲に発展していた。
2.「手広く活動する」という意味の場合
2の意味の使用頻度は高くありませんが、「最近ご発展のようですね」のように使われます。「色事や遊蕩(しまりなく遊びにふける人・道楽)において積極的に活動すること」を指しますので、あまり良くないイメージの言葉です。
[例文]
- 最近お隣の旦那さんを見かけないと思っていたら、随分ご発展らしいとの噂だ。
- 彼も若い頃はだいぶご発展だったが、今ではすっかり落ち着いたようだ。
「発展」の類語
ここでは、「発展」の1の意味「のび広がる」などと同じような意味を持つ言葉について見ていきます。
「発達」
「発達(はったつ)」のおもな意味は以下の通りです。
- 発育して完全な形態に近づくこと
- 進歩してより優れた段階に向かうこと。規模が大きくなること
主に「発展」と同義となるのは2の意味です。「交通機関が発達する」「文明の発達」など「発達」を「発展」に置き換えても意味が通る場合もあります。「発展」と「発達」はともに「高い次元へと移り変わる・規模が大きくなる」という意味を供えているからです。
しかし、「発展」は「物事が勢いよくのび広がること」、「発達」は「物事が完成の形に近づくこと」が前提にあり、そこに使い分けのポイントとなります。
例えば「会社」は「発展」するもので「発達」するものではありません。また「骨格」は「発達」するもので「発展」するものではありません。このように「発展」と「発達」は使い分ける必要があります。
「進歩」
「進歩(しんぽ)」の意味は以下の通りです。
- 進み歩むこと。
- 物事が次第に発達すること。物事が次第に良い方向、または望ましい方向に進み行くこと。
「進歩」には「歩を進める」ことを意味する1以外に2のような意味があります。「科学の進歩」「技術の進歩」など使い方はさまざまです。物事が良い方向に進むという点は「発展」にも通じますから、「進歩」は「発展」の類語と言えます。
「発展」と「進歩」の違いは物事が良い方向に進むスピードにあります。「発展」は「勢いよく」広がっていくのに対し「進歩」は、「次第に・時間をかけて」進むという意味です。「進歩」には長い時間がかかると覚えておきましょう。
「繁栄」
「繁栄(はんえい)」の意味は「さかえること。繁昌(はんじょう)」です。「国家の繁栄」や「子孫繁栄」などに使われる言葉です。また「さかえて、発展する」という意味を含むため「発展」につながる言葉と言えます。
ビジネスメールなどでは、「ますますのご発展を」という言い回しを使うことがあります。これは相手のより一層の発展(活躍や成功)を願ったものですから、代わりに「繁栄」を使うことも可能です。
ただし、「繁栄」は、経済的、生物学的、あるいは物理的に豊かになる、栄えることを指しますから、「恋仲に繁栄する」といった使い方は出来ません。