「経験」とは?
「経験」の意味
「経験(けいけん)」には次のような意味があります。
- 直接触れたり、見たり、実際にやってみること。または、それによって得た知識や技術。
- 実験。
- [哲学用語]思考や想像によってではなく、感覚や知覚によって直接与えられて体験される物事。
「経験」と「体験」「見聞」の違い
「経験」と「体験」「見聞」の使い分け
「経験」の 類語に「体験」、「見聞」がありますが、それぞれのニュアンスや使い方には次のような違いがあります。
経験 | ほかの2つに比べて広く用いられる。実際に行ったことを通じて、身に付くもの、血肉となるものがある場合に使われることが多い。 |
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体験 | 実際に見た、聞いた、行った行為自体に重点があり、その行為の内容よりも、それ自体が印象が強かった場合に使われる。 |
見聞 | この3語の中で最も用途が狭い。「見聞を広める」、「見聞が広い」という時以外はあまり使わない。 |
特に、「経験」と「体験」は似ていますが、上記の違いに着目すると「経験値」という言葉はありますが、「体験値」とは言わない理由が分かるでしょう。「経験」は積み重ねていくものですが、「体験」はその行為にフォーカスされているので値は付けられないという訳なのです。さらに、それぞれの用例をいくつか挙げます。
「経験」「体験」「見聞」の例文
「経験」の使い方
- 日本語を教えた経験がある。
- 海外留学を経験する。
- 経験を積む。
- 人生経験。
「体験」の使い方
- 子供の頃に奇妙な体験をした。
- 先輩の留学の体験談を聞いた。
- 体験学習
- 戦争体験
「見聞」の使い方
- 見聞を広めるために留学する。
- 現地で見聞したことを手記にまとめる。
- 見聞録
「経験」の類語
「体験」や「見聞」以外にも「経験」の類語にはシーン別に次のような言葉があります。
- 初めての経験:「洗礼」
- 苦しくて辛い経験:「苦汁」、「苦杯」
また、「経験する」、「経験した状態」を表す場合は、次の言葉で置き換えることができます。
- 精神、身体の状態:「被る」、「帯びる」、「感じる」、「味わう」、「舐める」
- 直接の体験や知識がある:「分かる」、「知る」
- 経る、乗り切る:「知る」、「活きる」、「くぐり抜ける」
「経験」の英訳
「経験」が「experience」の訳語に
「経験」の意味3、哲学用語における「経験」という言葉は、英語の「experience」の訳語として当てられた言葉で、中村正直・訳『自由之理』(1872年)に記述されています。「経験」は「experience」と英訳されますが、経緯を考えると、「experience」→「経験」と訳されたのが先なのです。
「経験」と「experience」
「経」には「へる、たつ、経過する」 という意味があり、「験」には「試す、調べる」という意味があります。つまり、「experience」の「experi-(試す、調べる)」の部分が「経験」の「験」に相当し、派生語で付け加えられた「繰り返して」というニュアンスが「経験」の「経」に相当しているのです。
「experience」の語源
「experience」の「experi-」は、印欧語の祖語の「per(向こうへ行く)」から「向こうへ行く行動をとる」→「試す、調べる」と転じて生まれたラテン語の「experiri(試す、調べる)」を語源としています。
ラテン語「experiri」 から派生して、古フランス語「experientia(繰り返して試したことで得た知識)」が生まれ、そのまま英語に取り入れられたのが「experience(経験)」です。
「experience」の用例
- I have experience teaching Japanese.(私は日本語を教えた経験がある。)
- He ezperienced studying abroad.(彼は海外留学を経験した。)
- It's better to hace experience while young.(若いうちに経験を積んだ方がいい。)
- Life experience(人生経験)