「わがまま」とは?
「わがまま」は、漢字では(我儘、我が儘、我侭、我が侭)など様々に表記されます。たとえ「わがまま」の意味を知らなかったとしても、漢字を見ると、すべて「我」がついていますから、自分に関することだという推察はできますね。
「わがまま」は、代名詞「わ」・助詞「が」・名詞「まま」が結合して構成された連語で、名詞、形容動詞です。意味は、大きく3つに分けられますが、意味3は現代では使われず、その意味は1のニュアンスの中に含まれています。
- 自分の思うがまま、思い通りにすること、また、そのようになること。
- 他者や周囲の事情などを考慮せず、自分勝手、身勝手にふるまうこと、また、そのさま。
- 思いどおりに贅沢を尽くすこと、また、そのさま。
「わがまま」の使い方
「わがまま」の上記の1と2の意味は、辞書によって一つにまとめているものもあります。つまり、自分の思うままに行動することの中に、結果として他者への考慮の欠如が含まれるということです。
とはいえ、現代日本語で「わがまま」は、2の意味の、他者や周囲への配慮がない身勝手さを指すことがほとんどで、「我がままをいく」(自分の思い通りにやる)という1の意味ではほとんど使われません。
基本的に、「わがまま」は、迷惑を被る他者がいて初めて成立します。例えば、好き放題な行為でも、それが他者のためになるなら、むしろ歓迎されます。また、道徳的に非難されるような内容でも他者に迷惑がかからず完結する場合は、「わがまま」とは言いません。
「わがまま」の文例
- A子はわがままで、まわりの状況を考えずに好き勝手にふるまうため人望がない。
- これは観光ツアーのバス旅行なのだから、集合時間を変えろと言うのは君のわがままだよ。
- わがままな言動をする人ほど、他者のわがままには我慢できないものだ。
「わがまま」と「自分軸」の違い
昨今は、「自分軸で生きる」ことの大切さが説かれます。ネガティブなニュアンスを持つ「わがまま」と、ポジティブなニュアンスのある「自分軸」は、どちらも自分を中心とする生き方のようでもありますが、どこが異なるのでしょうか。
他者を考慮せず、自分中心を押し通すのが「わがまま」です。一方、「自分軸」の基本は、まず自分を大切にすることにあります。他者からなにかを言われたとき、それが自分の心に添わないなら、私はそう思わないと言えること。同時に他者の意見も尊重する姿勢を持ちます。
自分を真に大切にすれば、他者もそうであることがわかります。相容れない時は、「自分軸」を持つ人間同士、話し合ったり譲り合う試みを経て調和します。「I(アイ)メッセージ」とも言いますが、他者をジャッジするのではなく、「私は~です」が「自分軸」の基本の姿勢です。
「わがまま」の類語
「利己的」
利己的(りこてき):他者や周囲のことを考えず、自己の利益や快楽のみを追求するさま。他者の迷惑をかえりみず、わがまま勝手、身勝手にふるまうさま。それが、生き方、主義主張となっている場合は、「利己主義」とも表現されます。
「わがまま」は、時に偶発的にそういう行動となってしまう場合にも使いますが、「利己的」「利己主義」は、その傾向が常態化していたり、個性、人格となっている場合に用いることが一般的です。
【文例】
つねに自分のことだけしか考えないあなたの利己的な生き方に、これ以上ついていけません。
「勝手気儘」
勝手気儘(かってきまま):他者のことは考えず、気にせず、自分のしたいように行動すること、また、そのさま。自分の思ったように、わがままにふるまうこと。
定義上は「わがまま」とほぼ同義ですが、他者に迷惑をかけても身勝手にふるまうというネガティブなニュアンスはかなり薄い言葉です。「勝手気儘」な生き方の中にそのような状況が含まれることもあるとは言え、どちらかというと自由人というニュアンスがあります。
「わがままに生きる」「利己的に生きる」と宣言すると、批判的に受け取られることが多いかもしれませんが、「勝手気儘に生きる」の場合は、それは自由な生き方だとポジティブに捉えられる場合もあるのではないでしょうか。
【文例】
子育ても終え、家のローンも完済して退職したのだから、これからは勝手気儘に生きていくよ。