「贅沢」とは?
「贅沢」は、(ぜいたく)と読みます。「贅」の漢字は少々難しいですが、広く使われる馴染み深い言葉のひとつです。
「贅沢」は、大きくわけて次の2つの意味があります。①必要なレベルをこえて、金銭や物などを惜しまず使うこと、また、そのさま。②限度やふさわしいレベルをこえること、また、そのさま、豪華、高級であること。
「贅沢」の使い方
「贅沢」という言葉は、辞書によって微妙に使い方が異なる場合があります。意味そのものが異なるというより、解釈の問題と考えられます。今回は、上で紹介した①②の意味にそって使い方を解説します。
意味①は、必要を越えたレベルで金銭や物品を使うこと、それのみが意味の重心です。そこに非難めいたネガティブな意味はこもりません。たんに贅沢な使いっぷり、という中立の意味です。
一方、意味②は、ふさわしいレベルを越えている、という点に留意しましょう。そこには、「ふさわしくない」という非難のニュアンスがあります。ただし、意味①②の差は曖昧な場合もあり、つきつめればほとんど同じというケースもあります。
意味①「贅沢」の文例(中立の意味)
- 今日は結婚記念日なので、贅沢なディナーで祝う予定だ。
- 苦労した商売がやっと軌道にのり、贅沢な暮らしもできるようになった。
意味②「贅沢」の文例(批判のニュアンス)
- まだ貯金もできていないのだから、銀座にブティックを開きたいなどは贅沢な望みだぞ。
- 子どもにトリュフ、フォアグラつきのコースディナーとは、贅沢にもほどがある。
「贅」と「沢」の字義
「贅沢」を字義から探ってみましょう。「贅」は、音読みが(ぜい、せい)、訓読みが(むだ、いぼ、こぶ)。意味は、①むだ、役に立たない、よけいなもの。②いぼ、こぶ。③むこ、いりむこ。
「贅沢」の意味からきらびやかな意味をイメージをもつと、字義のギャップに呆然としますね。豪華、というニュアンスを強く抱きますが、実のところ「贅沢」の元々の意味は「日常には不要なもの」だったわけです。「贅肉」(ぜいにく)という言葉もありますね。
「沢」は、音読みが(たく)、訓読みが(さわ、うるお・う、つや)。意味は、①さわ、湿地帯。②うるおう、うるおい、めぐみ。③つや、かがやき。「贅沢」の「沢」は、めぐみ、という字義によります。
字義から見えてくること
以上の説明から、「贅沢」を字義からみれば、「日常には不要なめぐみ」というところでしょうか。しかし、これはあくまで字義のストレートな当てはめです。日常の必需性がなくとも、分をわきまえた「贅沢」であれば心の栄養にもなるでしょう。
「贅沢」の類語
「豪奢」
「豪奢」は、(ごうしゃ)と読みます。非常に贅沢なこと、並外れて派手なこと、また、そのさま、を意味する言葉です。この言葉も中立で、それ自体に批判的ニュアンスはありません。その豪奢っぷりを書き手がどう捉えているのかは文脈で判断しましょう。
文例①:資産家の田中さんは豪奢な生活だが、他者にも施すので人徳がある。
文例②:浪費家の鈴木氏は、その豪奢な生活のあげくに破産となった。
「奢侈」
「奢侈」は、(しゃし)と読みます。度をすぎて贅沢なこと、身分不相応な金の使い方をすること、また、そのさま、を意味する言葉です。この言葉は中立ではなく、批判的なニュアンスを含んでいます。
ネガティブな意味があるため、言い回しにも「奢侈に流れる」という表現があります。間違っても、賛辞のつもりで「奢侈なご生活を送られていますね」などと言わないようにしましょう。
文例:創業家三代目の林社長は、奢侈な生活に流れて経営を顧みず、結局会社をつぶしてしまった。
「贅沢」のまとめ
「贅沢」やその類語には、身分不相応に、限度を超えて、などの意味が含まれる場合が多いため、使う場合には注意が必要です。
他者の生活などを誉めるときは、豪華ですね、素晴らしいですね、センスがよいですね、もしくはカタカナ語となっている、デラックス、リッチ、などを用いたほうが無難かもしれません。