「豪奢」とは?
「豪奢」は、<ごうしゃ>と読み、「贅沢(ぜいたく)で、派手なこと」「華々しい贅沢」という意味です。
「贅沢」や「派手」という言葉は普段の生活でも口にすることがありますね。それを文語(書き言葉)にした表現が「豪奢」です。そのため、口語ではあまり用いられません。
対義語は、「質素」「倹約」などの言葉です。それらの反対の意味であると考えると、少し身近に感じられて、意味が取りやすいかも知れません。
「豪奢」の字義
「豪奢」という言葉をより深く理解するために、漢字の意味を1文字ずつ確認してみましょう。
- 「豪」…荒い毛の生えた豕(いのこ:猪の子)を表し、強い、優れる、猛々しいなどの意。
- 「奢」…「大」と「者(多い)」から成り、多すぎる、おごる、ぜいたくなどの意。
「豪奢」の使い方
「豪奢」とは、基本的には「暮らしぶり(の贅沢さ)」について用いる言葉です。「暮らしぶり」とは、例えば贅沢な生活の様子や、豪華な邸宅の様子などが該当します。
では、一着だけの高級な衣服や、一品だけの華やかな家具はどうでしょうか。これらを「豪奢」と呼ぶことも誤りとまでは言えません。ですが、それらの要素が「暮らし全体の贅沢さ」を連想させるに足る文脈は必要です。
「暮らしぶり」と関係が薄いものについては、「豪奢」を用いることはできません。「豪奢な映画を見る」「豪奢な本を手にする」などは誤った用法です。
「豪奢」のイメージ
「豪奢」には、「過度にお金を使う」というネガティブなニュアンスがある一方で、「華やかで立派」というポジティブなニュアンスも含んでおり、一概に悪い意味で使われるわけではありません。
華やかで立派な暮らしにお金がかかることは当然の道理ですから、費用について気にせず、その華やかさのみに注目すれば誉め言葉です。一方、明らかに過度に費用をかけているという点に重点を置けば、悪口や非難となります。
本来は、暮らしぶりが豪華・派手であるという事実のみを表す言葉です。よって、中立的な視点に立って「華やかな暮らしぶりだ、お金がかかっているだろう」と形容する表現の中でも「豪奢」を使うことができます。
用例
- 金銀をちりばめた豪奢な応接間に招き入れられ、私は感動のあまりため息をついた。
- 現在は見る影もないが、かつてあの丘の上には、地元の富豪が住まう豪奢な邸宅が建っていたという。
- 成金社長の豪奢きわまる暮らしぶりには、社員みんなが辟易している。
- 大財閥のお嬢様は、今日も豪奢をつくしたドレスを身にまとって街を闊歩(かっぽ)していた。
「豪奢」の類語
「豪奢」の類語としては、以下のような語が挙げられます。
- 豪華
- 豪勢
- 派手
いずれも「贅沢、立派」という意味は共通していますが、わずかなニュアンスの差や、対象となるものの違いがあります。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
豪華
「豪華」は、「贅沢で、派手やかなこと」「華やかで立派なこと」という意味です。対象となるものを選ばず広く使用できるという点で、暮らしぶりのことを指す「豪奢」とは使い方が異なります。
また、「過度にお金を使う」よりは「華やかで立派」というプラスのイメージのほうが強く、基本的には良い意味で使用されるのも「豪華」の特徴です。
【用例】
- 彼のために豪華な誕生会を開こう。
- 豪華俳優陣が勢ぞろいで舞台挨拶を行った。
- 昔集めていた漫画シリーズが「豪華版」になって現代に蘇る。
豪勢
「豪勢」は、「すぐれた勢い」「贅沢で立派なさま」という意味です。「勢い」という字がつくだけあって、盛大さや、急激な盛り上がりを感じさせる贅沢さについて用いられます。
【用例】
- 結婚記念日くらい、豪勢な食事をしよう。
- 運転免許を取得してからというもの、彼はあちこちで豪勢に遊びまわっている。
派手
「派手」は、「彩り、装い、行動などが華やかなこと」「すべて物事が華やかで人目をひくさま」「けばけばしいこと」などの意味です。
「豪奢」と異なるのは、人間の態度や行動にも使えるという点です。また、「けばけばしい」という意味から、「品位なくきわだって、良くも悪くも目立つ様子」を表すこともあります。
【用例】
- 先月は派手に金を使ったので、今月は節約生活だ。
- 派手な色のドレスだが、夜会の照明にはよく映えることだろう。
- 昨夜の飲み会で派手に暴れたらしいが、酔っていて何も覚えていない。