「成長」と「進化」「発展」
「成長」と「進化」、そして「発展」。この3つの言葉には次のような違いがあります。
- 成長:大きくなること
- 進化:複雑化、高度化すること
- 発展:活発になり、範囲が広まること
「成長」とは
意味
「成長」とは育って大きくなることや規模が拡大することという意味です。動植物から事業や経済、組織など広い範囲に使われます。枝葉末節に変化が生じてもその本質や性質までは変わらずに大きくなる時に限って用います。
必ずしもポジティブな意味とは限らず、好ましくないものであっても「成長」が使われることがあります。
使い方
「成長」は、会話文から科学論文までフォーマル・カジュアルのどちらでも使われます。
使用例
- 「しばらく見ない間に大きくなったな。子供の成長は早い。」
- 「この不況の中でもわが社は順調に成長を続け、ここまでやってきた。君にも期待しているよ。」
- 前回の検査時よりもがん細胞が成長している。例の薬は効かなかったようだ。
「成長」と「進化」の違い
意味
「進化」は生物が世代交代を重ねるにつれて新たな種へと変わることという意味です。また、技術や社会が段階的に優れたものや複雑なものへと変わっていくことも意味します。
生物学においては何世代も重ねることが重要視されますが、それ以外では時間の経過については考慮されないこともあります。より高度に、より複雑になることを表す言葉なので、ネガティブな意味で用いられることは基本的にはありません。
「成長」が単に大きくなることを指すのに対し、「進化」は新たな技術の獲得や新しい分野への進出など能力そのものの変化、革新を伴います。また、「成長」が連続的で緩やかなものである場合に多く使われる一方で、「進化」は不連続で飛躍的であるニュアンスが強くなります。
『ポケットモンスター』の「進化」がわかりやすいかもしれません。「進化」は姿が変わる大きな変化です。それに対して、「成長」は単なる能力値やステータスの上昇です。
使い方
「進化」は生物学の用法から離れ、現在では社会や組織、個人の変化にも使われます。フォーマル・カジュアルの区別なく使える表現です。
使用例
- 人間はサルから進化したというダーウィンの主張は多くのキリスト教徒に理解されなかった。
- 情報技術の進化に追いつかない。
「成長」と「発展」の違い
意味
「発展」は物事が伸び広がっていくことを表します。規模が大きくなるだけでなく、人数が増える、分野が広まるなど勢いが大きくなることも意味します。また、活動の範囲が広まり、活発化される意味から、男女関係や放蕩などを揶揄する意味もあります。
あくまでも同じステップ内に留まる「成長」に比べ、段階や次元が次の水準に進んだという側面が強くなります。その点で「進化」と同じです。しかし、「進化」は複雑化や高度化を本質とします。一方、「発展」の本質は勢いが大きくなることです。「進化」は「専門化」、「発展」は「多様化」と呼べるかもしれませんね。
使い方
「発展」はややフォーマルな表現ですが、日常会話でも見られます。
使用例
- この10年であの国は大きく発展した。一度視察に行ってみたいものだ。
- 部長が時間の無駄だとぼやいている。発展的な会議ではなかったのだろう。
- 「今では愛妻家と評される専務も、独身時代はたいそうご発展だったそうで。」
「成長」のその他類語
これらの言葉の類語は他にもあります。最後にいくつかご紹介しましょう。
発達
「発達」は「成長」と同様大きくなることという意味で使われます。台風や交通網などであればこの意味です。
しかし、生き物について使われる場合には別の意味があります。それは、子供から大人へと、未熟な姿から完全な状態へと変わっていくことという意味です。
進歩
「進歩」はより良いものになっていく、より望ましい形に近づいていくことを指します。「進化」と基本的には同じ意味です。
進展
「進展」は時間が経つにつれて状況が変わっていくことを表す言葉です。類語と異なり、必ずしも良い方向とは限りません。悪化した場合も「進展」を使えます。