「悲しい」とは
「悲しい(かなしい)」とは、不幸な出来事などを体験した時に感じるつらい気持ちや苦痛を形容する言葉で、心が痛む、泣きたくなる、つらくて切ない、胸が張り裂ける、残念、あるいは、そのような気持ちを起こさせることという意味を持っています。
この「悲しい」という気持ちは、喜怒哀楽の「哀」に相当する感情の一つであることから、「哀しい(かなしい)」とも書きます。
また、古典では、見事、あっぱれ、心をひかれる、残念という意味で「愛しい(かなしい)」が使われていました。しかし、現在は、「愛しい(いとしい)」という読み方で、恋しい、かわいい、かわいそうといったことを表す言葉として使われています。
「悲しい」の使い方
人生には、「悲しい」出来事がたくさんあります。身近な人との死別や離別・挫折や裏切り・災害で被災したり、事故にあった時など、誰しも心が沈んだり、泣きたくなるようなことがあります。そのような時に「悲しい」を使います。
「例文」
「悲しいときは身一つ」
「悲しい時は身一つ」ということわざがあります。「身一つ」というのは、自分ひとりということを指しています。仕事や生活が順調な時には親しくしていた人も、うまくいかなくなって困窮すると離れていくことが往々にしてあります。
そこから、本当に苦しく悲しいときは一人で乗り越えるしかない、最後に頼れるのは自分だけということを教えることわざです。似たことわざに、「悲しいときは身一心」「苦しい時は身一つ」などもあります。
「悲しい」の類語
「悲痛」
「悲痛(ひつう)」は、あまりに大きな悲しさや苦しさに耐え切れないこと、または、そのようなさまのことです。「悲しい」よりも程度の大きな「悲しい」気持ちを表しますが、残念といった気持ちは含んでいません。
【例文】
- 霊安室の中から遺族の悲痛な叫び声が聞こえてきた。
- この本は悲痛な運命に翻弄(ほんろう)された一人の男の物語です。
「切ない」
「悲哀」
「悲哀(ひあい)」は、文字通り、悲しくて哀れなことです。「哀」は、胸中に悲しい気持ちを留めていることで、「悲」と相まって心痛を強調し、人の雰囲気や様子を表す時にも使います。なお、「悲しい」のように残念という気持ちは含まれていません。
【例文】
「悲しい」の対義語
「嬉しい」
「嬉しい(うれしい)」は、自分の希望が叶ったり、目的を達成した満足感や喜ばしい、楽しいといった気持ち、あるいは、感謝の気持ちを表す言葉です。心が痛む、つらいという「悲しい」とは、正反対の言葉ですね。
「嬉」の「喜」は、ごちそうを盛りつけた様子に「口」を組み合わせたもので、にぎやかに楽しく笑って食事することを表しています。「嬉」は、この「喜」に「女」をつけて、女性と楽しみながら、または女性たちがにぎやかに笑っている様子を表しています。
このような成り立ちから、満足感や楽しい、喜ばしいという上記のような意味に転じたものが「嬉しい」です。
【例文】
- 前から欲しかったネックレスを、彼がクリスマスにプレゼントしてくれたので、すごく嬉しい。
- 席替えで、好きな子の隣になってとても嬉しい。