「希望」の意味と使い方
「希」の字には「めずらしい」や「ねがう」という意味があります。「望」の字には「まちのぞむ」や「遠く見わたす」、「あおぐ」などの意味があります。この「希」と「望」がくっついた「希望」という言葉には、大きくわけてふたつの意味があります。
- こうあってほしいとのぞみ願うこと。また、その願い。
- 将来に対する明るい見通し。
希望:願うこと
「願うこと」という意味の「希望」は、サ行変格活用(~する等)で動詞として使われます。「願いそのもの」を表すときは、「自分の希望を述べる」などとして名詞として使用されます。
- 進学を希望します(動詞)
- ご希望どおりにいたします(名詞)
この意味での「希望」は、他の単語と結びついて新しい意味を形成することもあります。たとえば「希望的観測」は、「こうだったらいいな」という希望を反映させた見通しのこと。「希望者を募る」の「希望者」は希望する人間を意味します。
希望:明るい見通し
- この調子なら希望がもてる
- 夢も希望もない
「希望」には「将来に対する明るい見通し」という意味がありますが、どの程度の明るさかが文脈によって大幅に変わってくるのが特徴です。
たとえば「希望がもてる」「一筋の希望の光」「一縷の希望」などとする場合、思わしくない状況に僅かながら好転の可能性が見えた状況を表します。一方「希望を抱く」や「希望に満ちる」といった慣用句は、物事を始めるにあたり見通しを明るくしている様子を表します。
また「希望の星」など、他者に将来の望みを託すときにも「希望」が使われます。
「希望(願い望むこと)」の類語
- 願望…そうなって欲しいと願い望むこと。「願望を抱く」「多年の願望を達した」
- 願い事…願い望むこと。「願い事を聞き届けてあげるよ」
- 志願…自分から望んで申し出ること。「女優を志願する」「入学志願者」「志願兵」
- 心願…心の中で掛ける願い。または心からの願い。「永年の心願がかなう」「心願をたてる」
- 念願…常に心にかけて願うこと。「長い間の念願が届く」「念願のタイトルを手に入れる」
- 宿願…前から持ち続けていた願いのこと。「十年来の宿願を果たす」
- 悲願…実現を心から念じている悲壮な願いのこと。「全国制覇の悲願を達成する」
- 本懐…本来の願い。「これぞ男子の本懐」「めでたく本懐を遂げる」
「希望(当てにして待ち望むこと)」の類語
- 期待…実現することに望みをかけて待ち受けること。予期して待っていること。「人々の期待に添う」「期待通りの活躍をする」
- 所期…そうしようと心に決めていること。また、期待している事柄。「所期の目的を達する」
- 待望…待ち望むこと。「待望のアユ解禁」「帰国の日を待望する」「待望の大型新人」
- 嘱望…その将来や才能に望みをかけること。「将来を嘱望されている新人」
- 望み…望むこと。将来よいほうに進みそうな見込み。「子供に望みをかける」「それが彼女の最後の望みです」
- 当て…頼りにして待ち望むこと。「お土産をもらう当てが外れた」「他人を当てにはできない」
- 期する…確かなものとして期待すること。また、そうなるようにはかること。「再会を期して別れる」
- 見込む…当てにすること。有望だと思うこと。「将来を見込む」「彼が回復するという見込みはほとんどない」
- 光明…逆境のなかで見いだす希望や解決のきざし。「前途に光明を見いだす」
「希望(未来に望みをかけること)」の類語
- 夢…将来実現させたいと思っている願い。「大きな夢をもつ」「夢がかなう」
- 志望…こうしたい、こうなりたいと望むこと。「外交官を志望する」「第一志望校」「画家志望の学生」
- 切望…熱心に望むこと。「出場してくれることを切望しているファンがいます」「早期解決を切望する」
- 熱望…熱烈に望むこと。その望み。「平和を熱望する」「読者の熱望にこたえる」
- 本望…かねてからの望み。また、本来の望みを達成して満足であること。「本望を遂げる」「決勝まで進めれば本望だ」
- 野望…身分不相応な大きな望み。「野望を抱く」「野望に燃える」
- 野心…分不相応な大きな望み。大胆な新しい試みに挑戦しようとする気持ちのこと。「野心家」「野心作」
「希望」の反対語
「こうなってほしいと願うこと」「将来に対しての明るい見通し」という意味を持つ「希望」の反対語となれば、当然のように暗い言葉が並びます。
「希望」の反対語:失望
「失望」とは「期待がはずれてがっかりすること。またその結果、将来への希望を失うこと」です。「大学の授業に失望した」とか「実物を見て失望した」とか「君には失望したよ」など、普段の会話で案外よく使う言葉かもしれません。
「失望」と似た言葉には「失意」「期待外れ」「すか」「待ち惚け」などがあります。「晩年を失意のうちに送った」「収穫は期待外れだ」「すかを食う」「待ち惚けを食う」というふうに使います。
「希望」の反対語:絶望
「絶望」は「希望がまったくなくなること。望みが絶えること」をいいます。「自分の才能に絶望する」「優勝は絶望的だ」「絶望視される遭難者」などが例ですね。
「絶望」と似た意味で「目の前が暗くなる」という言葉があります。「父親の急死の知らせに目の前が暗くなった」というふうに使い「失神しそうなほど絶望する」ことをいいます。
「希望」の名言
- 希望とは、目覚めている人間が見る夢である。(哲学者/アリストテレス)
- 愛とは、誰かの心に、希望の灯をともすことです。(医学者/日野原重明)
- 泣きたい時には、遠慮しないで泣きなさい。涙が乾いたら、代わりに希望の芽が出てきます。(『3年B組金八先生』/坂本金八)
- 貧乏と希望は母と娘である。娘と楽しく語らっていれば、母のほうを忘れる。(作家/ジャン・パウル)
- 努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る。(作家/井上靖)
- 希望は朝食としてはよいものだが、夕食としてはよくない。(哲学者/フランシス・ベーコン)
- 最後まで…希望を捨てちゃいかん。あきらめたら、そこで試合終了ですよ。(『SLUM DUNK』/安西光義)
- 健康を持つ人は希望を持つ。希望を持つ人はすべてを持つ。(思想家/トーマス・カーライル)
- 人類が最後にかかるのは、希望という病気である。(作家/サン=テグジュペリ)
- 過去から学び、今日のために生き、未来に対して希望を持つ。大切なことは、何も疑問を持たない状態に陥らないことである。(理論物理学/アルベルト・アインシュタイン)