「記す」とは?意味や使い方をご紹介

「記す」には2通りの読み方があることをご存知でしょうか。やや文語的な表現の言葉ですから、日常の会話ではあまり使う機会がないかもしれませんね。この記事では「記す」の意味や使い方、間違えやすい同訓異義語についても紹介します。

目次

  1. 「記す」とは?
  2. 「記す」の使い方
  3. 「記す」の類語
  4. 「記す」の同訓異義語

「記す」とは?

「記す」の読み方

「記す」の読み方は、「しる-す」「き-す」の2種類です。現在では「しる-す」で読む方が多いでしょう。サ行変格活用の動詞「記する」(き-する)が、五段活用に変化して「き-す」となりました。

「記す」の意味

「記す」の意味は以下の2つです。「しる-す」と「き-す」のどちらの読み方でも同じ意味を持ちます。

  1. 文字及び文章を書きつける、記録する
  2. 忘れないように覚える、記憶する

「記」は形声文字(音読みと文字を組み合わせた漢字)です。言葉を表す「言」、「キ」の読みを表す「己」という字で構成されています。言葉を整理してしるすという意味で、文字として書いて残しておくような意味合いです。

書き留めて残すことから、頭の中に記録させること、つまり「覚える」という2の意味が派生しました。

「記す」の使い方

1.書きつける

「記す」は、何かに文字を書き付けておく整理して記録する時に使うことができます。「書き残す」というニュアンスを含んでいるでしょう。たとえば、重要な書類に署名する、忘れないようにメモを取るといった場面が挙げられます。

【例文】

  • 契約書類に名前を記して、実印を押した。
  • 後で思い出せるように、気になったことはメモ帳に記すようにしている。
  • 上司から後で役に立つように、それまでの過程を記してまとめておいてほしいと頼まれた。

2.忘れないように覚える

「記す」は、忘れないよう頭の中に留めるという意味でも使えます。単に覚えるというよりも、意識してしっかりと記憶させるようなイメージの言葉です。「胸」や「心」などの言葉を伴って用います。

【例文】

  • 皆様から受けた温かいお言葉をを、しっかりと胸に記しておこうと思います。
  • 悔しさを心に記して、いつの日か見返してやろうと決意した。

「記す」の類語

書く

「書く」は、文章や文字を記入するある程度長さのある文章を作ることの意味です。「記す」とほとんど同義で使うことができます。

あえて違いを挙げるとするならば、「書く」は単に文字や文章を記入することを指しますが、「記す」には上述の通り「記録する」ような意味合いがあります。

また、小説や記事、論文などを執筆することは「書く」と表すことが多いですが、これらに対して「記す」を使う例はあまり見られません。

【例文】

  • 『平家物語』の卒業論文を書き終えた。
  • 入園グッズに子供の名前を書いた。
  • 時間切れとなり、最終問題の答えが書けなかった。

したためる

「したためる」には複数の意味がありますが、その中の「書き記す」という意が「記す」の類語にあたります。やや文語的な表現ですが、「手紙をしたためる」などの形で用いられます。

「したためる」は「認める」と書きますが、漢字で表すことは少ないでしょう。現在では「みとめる」と読むことのほうが多いかもしれませんね。

【例文】
遠方に住む友人にあてて、お祝いのお礼の手紙をしたためた。

「記す」の同訓異義語

「しるす」と読む言葉は、「記す」以外にもいくつか挙げられます。ここではその一部を紹介しておきます。

「印す(標す)」は何らかの痕跡や、マークなどの符号や記号をつけること、つまり「しるしをつける・目印を残す」意味で使われます。

また、「徴す」と書く場合には、何かの兆しを示すという意味があります。ただし、この言葉は現在ではほとんど使われることはないでしょう。

【例文】

  • 生地にチャコペンシルで出来上がり線を印しておいた。
  • 通りがかった誰かが気づくように、道に目印を標した。
  • アンケートで該当するところにチェックマークを印した。


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