「往々にして」とは?意味や使い方をご紹介

「往々にして」は、改まった場面に登場することが多い表現です。少々古めかしく感じるかもしれませんが、ネガティブな意味で使われることが多いだけに、若い人も理解しておくことが大切です。今回は「往々にして」の意味と使い方を、類語を含めてご紹介します。

目次

  1. 「往々にして」とは?
  2. 「往々にして」の使い方
  3. 「往々にして」の類語

「往々にして」とは?

「往々にして」は、「おうおうにして」と読みます。日常会話に登場することもありますが、改まった場面で使われることが多い表現です。

「往々にして」は、物事がよくある、しょっちゅうある、ひんぱんに起こる、ということを表す副詞です。

とはいえ、「よく起こる」といっても、その頻度には明確な定義はありません。「頻繁」の感覚も人によって異なります。そのため、「往々にして」における物事が起こる頻度は、かなり幅があると考えた方がいいでしょう。

使い方の項目で詳述しますが、「往々にして~」の「~」の部分は、ネガティブな状況であることが多いので注意が必要です。

「往々」の意味

「往々にして」をより深く理解するために、その根幹となる副詞、「往々」の意味をご紹介します。

「往々」は、物事のよくあるさま、そうなる場合がしばしばあるさまを表します。多くは、「往々に」「往々にして」のかたちで用いられます。

「往」という漢字は、大きく分けて次の3つの意味を持ちます。

  1. 行く、進む。(例「往来」:行ったり来たりすること)
  2. 昔、かつて。(例「往年」:過ぎ去った年)
  3. あと、おり。(例「以往」:以後)

「往々」は、3.の意味からできた言葉です。「そのあと」が繰り返される、というところから「何度もある」という意味を持つに至りました。

「往々」正式な表記は「往往」です。「往々にして」も「往往にして」と表記されることがあります。

「往々にして」の使い方

先述したように、「往々にして」を使う際に注意すべきポイントは、この言葉はネガティブな意味をもって用いられることが多いということです。

「往々にして、このような企画は成功を収める」でも間違いではありませんが、「往々にして、このような企画は失敗する」のように、失敗したり、問題があったりするという場合に用いることが一般的です。

また、「往々にして」は、そうなりがちである、そのような傾向があるという意味でも用いられます。

言い回しとしては、「往々にして~だ」というかたちと、「~は、往々にしてある(往往にある)」の2つが使われます。

「往々にして」の文例

  • 親は子どもに対して、往々にして支配的な立場をとる。そのため、親の方が間違っていると自覚した場合でも、なかなか子供に謝ることができない。
  • いざ本番という時に限って緊張のあまり失敗、というのは往々にしてあることだ。
  • 現在、中国の当社工場が生産中止のため、納品の遅れが往々にして発生いたします。ご容赦のほどお願い申し上げます。

「往々にして」の類語

「往々にして」は、起こることの頻度が高い、というのが基本的な意味であり、その場合の類語の代表的なものが「しばしば」です。

また、「そうなりがち」「~のようになる傾向がある」というニュアンスで使われる場合は、「得てして」が類語に挙げられます。

「しばしば」の意味と使い方

「しばしば」は、同じ行為や状況、状態が繰り返されるさまを意味する副詞です。「往々にして」に比べると、「同じ行為や状況が繰り返される」という点に重きがあります。

また、「往々にして」があまり起きてほしくないことについて使われることが多いのに対して、「しばしば」にはそのようなニュアンスはありません。

【例文】

  • 小学生の息子があまりにしばしば宿題を忘れるため、とうとう教師から呼び出されてしまった。
  • 海沿いの風景を気に入った画家はしばしばその町を訪れて、たくさんの作品を残した。

「得てして」の意味と使い方

得てしては、ある傾向や事態になりがちであることを意味する副詞です。「往々にして」とほぼ同じ意味で使われます。

【例文】

  • 英語が流暢に話せることでちやほやされる人物は、得てして肝心な仕事での努力を怠りがちだ。
  • 名を成すスポーツ選手は、得てして精神年齢が高く、自分を律する能力に長けている。


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