「得てして」とは?意味や使い方をご紹介

「得てして」は、日常生活で頻繁に見聞きするフレーズではないため、意味をしっかりと把握している人は少ないかもしれません。「得てして」の意味は、「とかく」や「ともすると」と表すこともできます。今回は「得てして」の意味と使い方を類語を含めてご紹介します。

目次

  1. 「得てして」とは?
  2. 「得てして」の使い方
  3. 「得てして」の類語

「得てして」とは?

「得てして」(えてして)と読みます。ある傾向や事態になりがちなさまという意で用いられる表現です。言い換えもさまざまで、とかくともするとややもすると、などと表すこともできます。

「得てして」は文中で他の言葉を修飾する副詞です。しかし、古い日本語の複数の品詞が組み合わさって構成されているため、この言葉単体で意味をつかもうとするのは難しいかもしれません。「得てして」の前後の文脈を確認し、理解することが大切でしょう。

「得てして」の使い方

「得てして」の「得(え)」は、古い日本語における可能の意味の副詞「え」に由来しています。そのため、「得てして」には、~になる可能性がある」という意味が含まれています。

たとえば、「高額な宝くじが当たると、得てして散財ぐせがつく」という文章を「高額な宝くじが当たると、散財癖がつく可能性がある」と置き換えると分かりやすいのではないでしょうか。

辞書上の「ある傾向や事態になりがちなさま」という解説も、「~になる可能性がある」と解釈することもできるでしょう。

また、「得てして」が文頭にくる使い方もあります。この場合は、「得てしてそういうものです」という定型の言い回しとなり、ある文章や会話のあとに、その内容を受ける形で続けて用います。

「得てして」の文例

  • 睡眠時間が少ないと、得てして日中の集中力が欠けてしまう。
  • 英会話が上達してくると、得てして海外に行きたくなるものだ。
  • 厳しく子どもに教育を施してきた親でも、孫には得てして甘くなる。
  • 芸術家は奔放でルールにとらわれない。得てしてそういうものです。

「得てして」の類語

「とかく」の意味と使い方

「とかく」は多義的な副詞です。おもな意味を挙げると、①あれやこれや、いろいろと。②ともすると、ややもすれば。③いずれにしても。「得てして」の類語としては、②の意味が該当します。

「得てして」と同様に、ある状況や傾向になりやすい、というニュアンスがありますが、「とかく」においては、ネガティブな状況を指すことがほとんどです。

【文例】急速な店舗拡大は、とかく失敗に終わる。

「ともすれば」の意味と使い方

「ともすれば」もしくは「ともすると」は、どうかすると、ややもすると、などの意味をもつ言葉です。しばしばそうなる傾向がある、というニュアンスをもち、「得てして」とほぼ同じ意味で用いられます。

【文例】

  • 最高権力者は、ともすれば最高に孤独な存在である。
  • 同級生同士で結婚したカップルは、ともすると幾つになっても友達感覚の夫婦になる。

「ややもすれば」の意味と使い方

「ややもすれば」もしくは「ややもすると」は、どうかすると、ともすれば、など、状態がとかくそうなりがちであることを表現する言葉です。

「得てして」「どうかすると」「ともすれば」などとほとんど同じ意味で使われますが、そのような状態になる頻度は他の類語に比べて頻繁であること、ネガティブな状態が起こることを予想して用いられる表現であることに留意しましょう。

【文例】高圧的な上司は、ややもすればパワハラ発言を連発するものだ。

「往々にして」の意味と使い方

「往々にして」(おうおうにして)と読みます。「ややもすれば」と同様に、物事が頻繁に起こる傾向にあることを意味します。

ポジティブな状態にもネガティブな状態にも用いることのできる言葉ですが、どちらかというとあまり起こってほしくないことについての表現に使われる場合が多いようです。

【文例】なにごとにおいても、過度な緊張は、往々にして失敗に結び付いてしまう。


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