「概ね」とは
「概ね(おおむね)」とは、だいたい(大体)、おおよそ、概略、あらましといった意味で、名詞と副詞の用法があります。別表記で「大旨」とも書きます。「大旨」は、大まか、大体を表す「大」と、物事の内容や主旨を表す「旨」からなり、上記のような意味を表しています。
「概」は、「木」+「既(「旣」の略字)」からなります。まず、旧字「旣」の左側の「皀」は、器に盛りつけたご馳走(一説には「米」)を表し、右側の「旡」は、ごちそうを食べて満腹な人の様子を表しています。
次に、器に盛り上げた米を平らにならす棒「木」を「既(旣)」に付けて、米を器全体に行きわたらせるとともに、器の外にあふれ出るさまから、おおむね、欠けたところがないように全体をならすという意味を表す「概」という漢字が生まれたと言われています。
「概ね」の使い方
名詞としての「概ね」
名詞としての「概ね」は、物事を厳密にとらえるのではなく、その概要・大体の趣旨、あるいは大部分ということ表す場合に使います。したがって、例外が存在するという含みのある使い方をすることもあります。
【例文】
副詞としての「概ね」
副詞としての「概ね」は、全体を見渡せばある一定の状態にあると考えたり、判断したりすることができ、その考えや判断を覆したり、再考を促すような例外的なもの(無視できないもの)はないという含みがあります。
また、「概ね」がかかる動詞に対して、肯定的、あるいは、中立的な判断をする場合に多く「概ね」が使われますが、「概ね満足できない」というような否定的な使い方はあまりしません。
【例文】
- 今回モデルチェンジしたミニバンは、概ねユーザーの評価が高いという記事が車雑誌に掲載された。
- 主治医から「術後の経過は概ね順調です」と言われ、安心した。
「概ね」の類語
「概ね」の同義に近い類語はたくさんあります。大体・およそ・おおよそ・大方・ざっと・ほぼ・概要・概算・概略・あらかた・総じてなど数え上げたらきりがありません。この中から、およそ・ほぼ・総じてを以下でご紹介します。
「およそ」
「およそ(凡そ)」は、名詞・形容動詞としては、大体のところ、おおよそのところ、大筋ではや、いいかげんなことを表し、副詞としては、大体、約、一般的という意味で使われます。全体として一定の状態にあるという含みがあり、「概ね」の類語と言えるでしょう。
【例文】
- 向こうの出方はおよそ見当がついている。
- 会場までは、車でおよそ20分ぐらいで到着します。
- 彼は、およそ恋愛とは無縁な男です。
「ほぼ」
「ほぼ」は、口語でよく使われる副詞で、(完全に近い状態で、かつ、例外がないという含みが希薄な)大体、おおかたという意味です。「概ね」は、否定的な場面では使いにくいのですが、「ほぼ」は、否定的な場面でも使うことができます。
【例文】
「総じて」
「総じて(そうじて)」は、多少の違いはあるものの全体としては~である、一般的には、大体のところではという意味の副詞です。「総じて」も「ほぼ」と同様、否定的な場面でも使うことができます。なお、「ほぼ」には、全体で、全部でという意味もあります。
【例文】