「一部抜粋」の意味
「一部抜粋」(いちぶばっすい)とは、文章を書くときに参照した資料や書物などに掲載されている図やグラフなどの内容や、書かれている文章のある部分をそのまま抜き取ることです。
「一部抜粋」をする場合、抜き出す文章や、図・グラフなどは内容を変更することなく、もともと書かれたそのままにしなくてはいけません。
抜粋した文章を書き直し、要点だけを簡潔にまとめて分かりやすいようにした場合は、「一部抜粋」ではなく「要約」(ようやく)となりますので、注意しましょう。
「一部抜粋」の使い方
「一部抜粋」は、主に資料や論文などを作成する際に、参考になる部分だけをそのまま写したり、抜き書きしたりするときに行われます。期待できる効果は、「読み手への説得力が増す」、「内容が簡潔にまとめやすくなったりする」などです。
「一部抜粋」の使い方を、いくつかの代表的な場面について紹介します。どの場合にも共通することですが、抜粋元の著者や製作者が内容の利用を認めていない場合があることには注意が必要です。
「一部抜粋」を行う際には著作権者から許可を取ったり、適切な方法で記載したりと、細心の注意を払う必要があります。
ビジネス文書の参考資料として
ビジネスにおいて、会議をしたり、報告書をまとめたりする際に、参加者や相手に理解してもらえるように資料を添付することはよくあります。
文書内に、顧客へのアンケート結果や研究者の講演などのうち、必要な所だけを抜いて記載する際に「一部抜粋」という言葉を使います。
【文例】
- アンケート結果の必要な部分を一部抜粋して、報告書を作成した。
- 紙面の都合ですべてを掲載することができず、〇〇先生のセミナーの内容を一部抜粋しております。
学生のレポートや論文の参考文献
学生がレポートや論文を作成する際には、研究者や専門家の文献を参考にして書くことがほとんどでしょう。文章の全てを紹介するのは難しいので、必要な箇所を切り取って記載します。これも「一部抜粋」です。
【例文】
- 卒論で一部抜粋した資料の署名と著者、発行年月日を参考文献に記載した。
- 有力な説として、〇〇先生の著作を一部抜粋して例に挙げた。
ネット記事をブログなどに転載
「一部抜粋」は資料や論文などだけでなく、ブログ記事などにネット上の記事や書き込みの一部を転載したときにも使えます。
媒体によっては、リンク先を埋め込みして入れたり、元の記事の出典が分かるようにして本文から引いて入力したり、いった方法があるので、元記事の作者や運営元に確認が必要です。
【例文】
- 感銘を受けた記事を一部抜粋して、ブログで紹介した。
- SNSで気になった書き込みを、本人に確認を取ってから一部抜粋して拡散した。
「一部抜粋」の類語
「抄出」・「手抄」
「抄出」(しょうしゅつ)は、「一部抜粋」と同様に書物などから一部を抜いて書くこと、もしくは、書き抜いた文章自体を指します。「抄」の字は「写す」、「抜き書きする」などの意味で使われます。
「手抄」(しゅしょう)は自分の手(直筆)で抜き書きをすることです。厳密に言うとウェブで一部抜粋して利用する状況にはそぐわないでしょう。
【文例】
- 著名な作品から抄出して記載した。
- 図書館で原本から手抄した。
「引用」
「引用」(いんよう)は、論文などを書く際に自説の裏付けや、正しいことを証明して説得力を増すために、他の人が書いた文章や事例をそのまま記載して利用することです。他者の文章を紹介する際にも使われる言葉です。
【例文】
- 自説の論拠を分かりやすくするため、著名な先生の説を引用した。
- ベストセラーの一節を無断で自社サイトに引用して、著者から警告を受けた。
「転載」
「転載」(てんさい)とは、他ですでに書かれた物を別の媒体に載せることを意味する言葉です。
対象は、書籍や新聞、雑誌などの書物の形で発行された物だけでなく、サイトや電子書籍などの電子データも含みます。文章だけでなく、図やグラフ、写真画像などを利用した場合にも使われる言葉です。
【文例】
- 仕事の資料のために、許可を取って新聞記事を転載した。
- 文章だけでは理解しにくいため、雑誌の説明図を転載した。