「見下す」とは
人間関係を表す言葉として、上下関係と言う言葉がありますよね。職場での上司と部下の関係など、立場は、上や下、高いや低いといった言葉で表されます。
「見下す」は、相手を自分より下の存在と考えて、過度に、あからさまに、軽く見たり、侮蔑する心や態度を表しています。「見下す」について、類語や似た言葉と比較して詳しくご紹介します。
「見下す」の意味
「見下す(みくだす)」の意味は、おおまかに二つに分けられます。
- 下の方を見る。下を見下ろす。
- 相手を劣った者としてこばかにする。軽蔑した態度で接する。
1.は使われることはあまりなく、用法としては2.の意味で使われることがほとんどです。
「見下す」の例文
上から下を「見下す」例文
- 山の頂上に到達すると、喜びもなく、眼下に見下す町をただ眺めていた。
- 断崖の上から下を、見下しているその男の形相に、不穏なものを感じた。
上記の例文は「みおろす」と読んでもかまいません。しかし、「みくだす」と読めば、ネガティブなニュアンスがより強く表現されます。
「見下す」心や態度の例文
- あの男を心の中で見下していたが、態度には出さないようにしていた。
- 見下すような態度に腹が立っていたが、いつか見返してやると我慢していた。
- 気弱な性格のせいなのか、誰彼となく見下されているような気がする。
- 人を見下すことによって、僕は体面と自信を得ている。
- 普段見下している人間から見下されると、非常に腹が立つ。
「見下す」の類語
軽蔑 | 軽侮(けいぶ)する | 軽んじる |
蔑(ないがし)ろにする | 侮辱 | 侮(あなど)る |
侮蔑 | 蔑(さげす)む | 蔑視 |
卑しむ | 見貶(おと)す | 見下げる |
見下ろす | 見くびる | 下目に見る |
甘く見る | 軽く見る | なめる |
尻目に懸ける | 屁とも思わない | 虚仮(こけ)にする |
以上は人を「見下す」の類語です。たくさんあるので驚かれたのではないでしょうか。
「見下す」の対義語
敬う・尊ぶ・貴ぶ、など、相手を尊敬する言葉が「見下す」の対義語になります。
「見下す」(みくだす)と「見下ろす」(みおろす)」の違い
「見下す」と書いて、「みおろす」と読むこともできます。
現在は、「みおろす」は、「見下ろす」と、送り仮名に「ろ」がついていることが多いので、読みの違いに気を使う必要はあまりありません。ただ、昔の作品・作家の場合、「みおろす」の読みでも、「見下す」と書いている場合があるので注意してくださいね。
【みおろす】
夏目漱石『行人』
【みくだす】
坂口安吾『吹雪物語』
使用法の違い
「みおろす」にも、「見下す」と同じく、「下の方を見る」と、「人を見下す」と二つの意味があります。読みは違えど漢字と意味が同じなので、少しややこしいのですが、文脈で判断することができます。
- 下の方を見る:「みおろす」が主に使われる。
- 人を下に見る:「みくだす」が主に使われる。「みおろし」も使われているが、ニュアンスや使用法の違いがある。
「みおろす」は、「人を見下す」などの心理的な意味で使われる時でも、高い所から下を見る、低い場所にいる人物を見る、など高低の描写が必要です。それに対して「みくだす」は、心理や態度を意味する場合、高低の描写は特に必要ありません。
「見下す」人はどう見られるか
見下される人や他の人から見て、「見下す」人はどう見えるのでしょうか。
- 偉そう
- 上から目線
- 横柄
- 何様
- 思い上がり
- 尊大
- 傲慢
- 高圧的
人から見下されると、負けず嫌いや、見返してやろうという気持ちにつながり、悪いことばかりではありません。ただ、人を「見下す」行為は、態度に出さなくても、なんとなく相手に伝わり、のちのちトラブルに繋がったりします。
対人関係で、過度に上下などが気になる方は、少し考え方を変えてそこから脱却すると、肩の力が抜けて気楽に生きられるかもしれませんね。