「準備」とは?
「準備」(じゅんび)とは、ともに「そなえる」という意味を持っている「準」と「備」という二字から成る熟語です。
「準備」は、物事にとりかかる前に必要なものをそろえたり、態勢を整えるという意味です。「準備」は、目的達成やより良い結果を得るために必要な手順と言えます。
「準備」の使い方
「準備」の要素は、大きく三種類にわけることができます。それぞれについて、文例を含めて説明します。
①物理的な「準備」
たとえば、「運動会の玉入れの準備」であれば、籠つきのポールを運んで立てる、赤白にわけた玉を置くといったことを指しますね。「準備」から一番イメージしやすいのは、このように、必要な物品を前もって置いておく、買っておくことなどでしょう。
②技能・事務的な「準備」
「入学試験の準備」であれば、多くの場合、単語の暗記や計算の練習や過去問題対策などを指します。また、「採用試験の準備」ならば、面接の練習、履歴書の作成や書類提出などですね。
このように、あるものごとに必要な技能を習得しておく、事務手続きを進めておくことも「準備」の一要素です。
③精神的な「準備」
精神的な「準備」とは、一言で言えば「心構え」のこと。つまり、なにかを行う前に覚悟したり緊張をほぐすなどして、心の状態を整えることです。しばしば「心の準備」という言い回しで用いられます。
複数の要素を含むこともある
ここまで①~③の要素に分けて説明してきましたが、「準備」に複数の要素が含まれるケースもあります。たとえば次のようなケースです。
「運動会の準備」は、物理的な用具を整えることなど(①)に加え、プログラムの用意など事務的な仕事(②)も含みます。
また、「入学試験の準備」であれば、勉強すること(②)だけでなく、受験票や筆記用具をカバンに入れること(①)、心を落ち着けること(③)などを含む場合もありますね。
「準備」にどの要素が含まれるのかは、その都度、文脈やシチュエーションから判断するしかないでしょう。
「準備」の文例
上で説明したとおり、「準備」の①~③要素のうち複数の要素を含む場合もありますが、おもな要素を下の文例の注釈として添えました。
[文例]
- 昨夜のうちに、遠足の準備はしておいた。(①)
- 彼は、シェフが料理の準備をするところから、よく見て学んでいた。(①②)
- 彼女は子供の頃から英語の勉強に力を入れて、海外留学の準備を進めていた。(②)
- 衆院の補欠選挙の準備に追われて、みな疲れ切っている。(①②)
- 明日の第一希望の会社の役員面接にそなえて、準備をしっかりしておこう。(①②③)
- 彼は突然、代打を任されたが、大一番への心の準備はできているようだった。(③)
「準備」の慣用句
【準備体操・準備運動】
怪我防止などの目的で、スポーツや仕事前に筋肉などをほぐす体操のことです。「プロアスリートは、計算されつくした準備体操を入念に行うものだ。」のように使います。
【準備万端】(じゅんびばんたん)
「万端」は「あるものごとの事柄の全部」を指します。「準備万端」は、ものごとへの準備が問題なく完璧に整っているという意味です。「講義資料は準備万端だ。」のように用いられます。
【準備金】
なんらかの目的のために準備しておく金銭という意味です。「結婚式のための準備金がようやく貯まった。」のように使います。
「準備」の類語
「用意」
「用意」は、行為や行動をするにあたり、前もって必要なものをそろえ、備えておくことという意味です。「準備」にくらべて「必要なもの」の備えに重点があります。
とはいえ、行動や目的に対する全体的な準備を指すときは、物理的な準備や技能・事務的な準備、精神的な準備をひっくるめていることがあります。「用意はいい?」のような問いかけは、これに相当する用例です。
[文例]
- 明日の会議はとても重要だから、役員に説明するための資料はもれなく用意した。
- いよいよ開演時間だ。用意はいいか?
「支度/仕度」
「支度/仕度」(したく)とは、予定されている物事や行動を実行するために必要なものをそろえること。また、服装や身なりを整えること、という意味です。「準備」と違い、心構えをすることなどには用いられません。
[文例]
- 夕食の支度が早々にすんだので、デザートのケーキを買いに行くことにした。
- そろそろ出掛ける支度をしないと待ち合わせに遅れてしまう。