「しれっと」の意味とは?
「しれっと」とは、人の様子を表す副詞で、何かが起こった場合でも平然としている、もしくは、驚くようなことがあっても何もなかったかのように振る舞うさまをいいます。
地名の「シレット」
ちなみに、カタカナ表記の「シレット」(英語表記:Sylhet)であれば、「バングラディシュ人民共和国」の地名を指す場合もあります。首都の「ダッカ」(英語表記:Dhaka)から北東に200km離れた場所にあり、お茶の生産地として有名です。
「しれっと」の使い方と例文
「しれっと」は第三者の様子や印象についていう言葉です。普通の人であれば、非常に驚いたり、冷静さを欠いて動揺したりする場面であるのにも関わらず、平静な状態を保つ、もしくは、平常と同じように落ち着いて行動する様子である場合に使います。
その場の状況により、「しれっと」している人物について普段と同じ様子で大物だと感心する印象を持つこともあるでしょう。また、周囲の人の前で平然としていて恐れ入ることもないところから驚き呆れ返ってしまうことを表す場合もあります。
トラブルに巻き込まれても平然とする
多くの人は、何か困ったことに巻き込まれて矢面に立ったり、人から追及を受けたりする場合、動揺して取り乱すこともしばしばです。「しれっと」はそのような場でも動じずに、いつもと変わらぬ様子で対応している人のさまを表す時に使えます。
【例文】
- 汚職事件で取り沙汰された政治家は、記者会見でいつものようにしれっと受け答えをしていた。
- Aくんは何度も授業中に居眠りをして、幾度となく先生に注意されてはいるが、しれっとして反省することがない。
- 不倫問題が週刊誌に掲載された大物芸能人は、しれっと反省と笑いを交えた記者会見をしてダメージを最小限にとどめた。
- 大勢の敵に取り囲まれたが、正義の味方はしれっとした顔でやっつけていた。
何もなかった様子で振る舞う
「しれっと」で表せる人の様子は、何かいつも通りではないことがあったとしても、普通の場合と同じように振る舞えることです。
例えば、たくさん飲み食いした場合でも満腹だったり、酔っ払ったりしていないように見られる場合もありますね。他に、その人にとって決まりが悪いこと、都合が悪いことなどがあった場合でも、気にせずに行動したり、堂々とした様子でいたりするケースなども挙げられます。
【例文】
- 一人で日本酒を2瓶ほど空けたくせに、彼はしれっとしているよ。
- ケーキでバイキングで元を取るために、10人前以上食べた彼女だが、しれっとしてコーヒーを飲み干している。
- 元カノと今カノとのデートでばったり鉢合わせをしても、Bくんはしれっとしたままでいた。
- Cさんは風邪で会社を休んだはずなのに、出張先でばったり会ってもしれっとしていた。
「しれっと」の類語
けろっと・けろりと
「けろっと」もしくは「けろりと」は、何もなかったように平気でいるさまを表す副詞です。「しれっと」と似ている言葉ですね。
【例文】
- あの人は何か注意されてもけろっとしていて、本当に理解しているかどうかわからない。
- 彼女は涼しい顔をしてけろりと大ぼらを吹くので、信じて良いのかどうか迷う。
「けろっと」「けろりと」は、他に「後に何も残らず消去されていること」を表す場合もあるため、文脈で判断する必要があります。
- Cさんは言った先からけろっと忘れるから、しっかりメモを取らせた方がいいよ。
- あれだけ注意したのに、もう頭の中からけろりと抜けている。
素知らぬふり
「素知らぬふり」(そしらぬふり)とは、実際は知っているのだが、表向きは何も知らないふりをする様子をいいます。「しれっと」の何もなかった様子で振る舞うのと似ています。
【例文】
- 彼女の素性については見聞きしたことはあるが、彼の手前素知らぬふりを通した。
- 同僚が仕事で困ったことがあるようだったが、素知らぬふりをして帰路を急いだ。
すまして
「すまして」とは、動詞「すます(澄ます/清ます/済ます)」の連用形「すまし」に接続助詞「て」が付いた形です。
この場合の「すます」はある物事について、無関係であるような素振りをして平然としているさまをいい、「しれっと」と似たような意味で使います。
【例文】
- 社長秘書はあれこれ内情を聞いてもすましていて、なんの感情も出さないね。
- 彼は何食わぬ顔ですましているが、昔から相当な遊び人なんだよ。
他に、「すまして」は真面目そうな表情をする、気取った態度でいることを表す場合もあります。
- あの子、ツンとすましてやけにお高く止まっているね。
- 彼は贅沢な着物を身にまとって乙にすましているけど、なんだかボロが出そうだね。