「大変」とは?
「大変」(たいへん)は、馴染み深い言葉ながら実に多義的であるため、いざ説明するとなると手こずるのではないでしょうか。品詞も、名詞、形容動詞、副詞と三種類に分かれます。それぞれの意味は下記の通りです。
【名詞】
- 大きな事件。一大事。非常な凶変。
- 大がかりな出来事。大げさなことがら。
- 変化がはなはだしいこと。
【形容動詞】
【副詞】
非常に。たいそう。はなはだしく。
「大変」の使い方
品詞ごとに意味を書き出すと複雑に感じてしまうかもしれませんが、大きく分け、かつ、端的に意味を表せば、重大であること、苦労が大きいこと、程度がはなはだしいことという三つの種類に集約されると言えます。
名詞としての「大変」は、「天下の大変、国家の大変」などと使われますが、現代ではほぼ見聞きしない言い回しです。
上記の三つの意味は、それぞれ「大変だ」「大変な」という形容動詞として使われることがもっとも一般的です。これらの点を踏まえて、意味ごとに使い方を考察し、例文を挙げていきます。
重大さを表す「大変」
重大さを表す「大変」は、ネガティブなニュアンスが含まれていることがほとんどです。重要できわめて大切というポジティブな意味よりは、対処に困り、手こずるような大事などの感覚で使われることが多い言葉です。昔の使い方の「凶変」の名残があるのかもしれません。
例えば、「大変なことが起こったぞ!」と聞いたとき、どのようなイメージが浮かぶでしょうか。「素晴らしい出来事?」と期待するよりは、どんな困りごとかと身構えるのではないでしょうか。
ポジティブな場合であったとしても、「大変だ!売れるわけないと思っていたのに、注文が殺到している!」などのように、予想外であったり、準備が追い付かないといった嬉しい悲鳴といったような、単純な喜び以外のニュアンスが含まれる場合もあります。
例文
- のどかな小村で、村長一家が失踪するという大変な事件が起こった。
- エースの投手が右手首を骨折するという大変な事態になった。
- A社とB社が合併する?これは大変だ。
- お嬢様が明日米国に発たれるという大変なときに、恐れ入ります。
苦労を表す「大変」
例文
- 双子の子育ては、実に大変なものだ。
- 鈴木さんは、さまざまな病気を抱えたうえに離婚するという大変な人生だが、実に前向きに明るく生きている。
程度のはなはだしさを表す「大変」
ネガティブな意味で使われることが多い「大変」ですが、程度のはなはだしさを表す「大変」においては、ポジティブな意味でも用いることが可能です。例えば、「大変汚い部屋」とも「大変きれいな部屋」とも使うことができるのです。
例文
- 大変美しいバラですね。
- 大変失礼いたしました。
- 大変ゆかいに過ごさせて頂きました。
「大変」の類語
「重大」
「重大」(じゅうだい)は、まさに重大さを表す「大変」に置き換えることができる類語です。尋常ではない大きな変化や結果を引き起こすような状態、大事な物事、重要、深刻といった意味を持ちます。
「大変」と同様に、名詞としても形容動詞としても使うことができ、重要という意味ではポジティブ、深刻という意味ではネガティブな意味合いも持つ言葉です。
【例文】
- 我が社の将来にかかわる重大な方針を発表します。
- 赤字を二年連続で計上した事実の重大さを真摯に受け止めるべきだ。
「困難」
「困難」(こんなん)は、物事をするのがきわめて難しいこと、または、そのさま、苦しみ悩むこと、苦労することを意味する言葉です。苦労を表す「大変」の類語足りえます。
【例文】
一度傾いた経営を立て直すのには、たいそうな困難が伴うものだ。
「非常に」
「非常に」(ひじょうに)は、おおいに、とても、すこぶるなどの意味を持つ副詞(または、形容動詞)で、程度のはなはだしさを表す副詞(形容動詞)「大変」の類語足りえます。
【例文】
非常に複雑な手続きだったが、なんとか終えることができた。