「前向き」とは
前向き(まえむき)という言葉には、大きく二つの意味があります。
- 正面(前方)に向くこと、正面(前方)に向いていること、真向き
- 物事への気持ちや姿勢や態度などが積極的・発展的であること、進むべき方向に向かうこと
「前向き」の使い方
1. 正面に向くことの意味での「前向き」
- 昔の路線バスは横向きに座ることが主流だったらしいが、安全面を考慮して、現在は前向きに座ることが一般的になった。
- お店の駐車場に行くと前向き駐車の看板がよくあるが、近隣住宅地への排気ガス防止のためという理由をつい最近知った。
- 学校の机の並び方は前向きが当たり前と思っていたので、海外の語学学校でコの字型の机の並び方を見た時は新鮮だった。
2. 物事への姿勢などが積極的な意味での「前向き」
- 上司が好む部下の特徴の一つとして、前向きな態度で仕事に取り組むことが挙げられる。
- アスリートとしての彼の武器は、身体能力ばかりでなく、どのレースも前向きな姿勢で臨むことだ。
- 何度失敗しても、前向きな気持ちを持ち続けて事に当たった彼は、遂に自分が望む成功を手に入れた。
「前向き」の類語と対義語
「前向き」の類語と対語を例文とともに紹介します。
物事への姿勢などが積極的な意味での「前向き」の類語
- 建設的…物事を積極的・発展的に進めよう、また良くしていこうとするさま。(例:今日の会議は建設的な意見がかなり出て有意義だった)
- 意欲的…積極的な気持ちで、物事を成し遂げようとするさま。(例:ある作家は自分の小説を映画化するのに意欲的だ)
- 積極的…物事に対し進んでしようとするさま。(例:ボランティア活動を積極的に行う)
- 肯定的…価値があると判断すること。積極的に認めること。(例:彼女は誰に対しても肯定的な言葉をかけるので人気がある)
- ポジティブ…積極的なさま。肯定的なさま。(例:部署を異動してから、彼はポジティブ思考で仕事に取り組めるようになった)
「前向き」の対義語
「前向き」の対義語は「後ろ向き」です。「後ろ向き」は、こちらに背面(背中)を見せていること、また考えや取り組み方などが消極的で、発展や進歩などに逆行することを表します。
【例文】
- 呼びだされた会議室に入ると上司が後ろ向きで立っていたので、声をかけにくかった。
- 業績が下がっていることに比例するように、会議では後ろ向きの施策案ばかり出た。
「前向き」の英語表現
複数の意味をもつ英単語もありますが、ここでは「前向き」(物事への姿勢が積極的)と使い方が同じ場合に限って紹介します。
- positive…(人・言動が/人に)前向きの、建設的な、肯定的な、積極的な
- forward-looking…前向きの、進歩的な
【用例】
- a positive response(前向きな・肯定的な意見)
- a forward-looking attitude(前向きな姿勢)
「前向き」の解釈
「前向き」という言葉を使用する場合、ポジティブな意味で用いることがほとんどですが、状況により逆の意味で使われることもあります。以下にビジネスシーンにおいての例を挙げてみましょう。
X社の営業マンが顧客であるY社の担当者から、「前向きに検討します」と言われて商談を終えました。Y社の担当者の真意は以下の可能性があります。
- 社内で更なる確認などした上で、商談を進めていきたい(前向きの意味の場合)
- 商談は断りたいが、取引の関係性など考え即答を避けたい(前向きと逆の意味の場合)
- 他社も検討するなど、結論を先延ばししたい(前向きの意味でも逆の意味でもない場合)
このようなシーンにおいては、本来の意味とは逆の2の意味で、「前向き」という言葉が使われることが多いとされています。しかし、商談中に詳細な説明を求めるなど、相手に積極的な態度が見られたら、肯定的なニュアンスである可能性もあります。大切なのは、言葉の裏にある相手の意図を正確に読み解くことです。
「前向き」という言葉は、時と場合により真逆ともなる複数の解釈ができることを、まずは心に留めておくといいですね。