「喜び」とは?意味や使い方を類語を含めてご紹介

「喜び」は、誰もが持つ感情です。人生の様々な局面で感じた幸福感や精神の高揚は、身近な「喜び」です。「喜び」を感じる基準はきわめて個人的なものですが、探ってゆくと万人に共通する深いものもあります。今回は「喜び」を類語も含めてご紹介します。

目次

  1. 「喜び」とは?
  2. 「喜び」の尺度
  3. 「喜び」の使い方
  4. 「喜び」の類語と使い方
  5. 「喜び」と「慶び」の違い

「喜び」とは?

「喜び」は、きわめて一般的な日本語でありつつ、奥の深い言葉です。心理学的なとらえ方としては、情動の一種で、幸福感や成功の充足感など、ポジティブな体験によって引き起こされる、快適で幸福な興奮にみたされる状態悲しみと対比される感情です。


まずは、その辞書的な意味を列挙いたします。

  1. 嬉しく思うこと。満足し、喜ぶこと。
  2. 祝い事。おめでたい出来事。
  3. 祝いの言葉。
  4. 謝礼・謝辞・お礼。

「喜び」の尺度

「喜び」がどのような感情であるかを定義することはできますが、どのようなものが「喜び」であるかを定義することは、きわめて困難であると言えます。人それぞれに、なにをもって喜びとするかの尺度が異なるためです。

喜びの定義

たとえば、ミュージシャン志望の若者が路上ライブを行ったとします。足を止め、その歌声に聞き惚れ、思いがけず素晴らしい時間をもらった、と喜ぶ人もいるでしょう。

その反面、近くの路上で屋台を営む音楽嫌いの人物は、ひたすら苛々とし、怒りの感情さえ湧いてくるかもしれません。

同じ歌声が、人によって喜びを呼び起こすものになったり、怒りの元になったりするのです。

宗教的な喜び

仏教やヒンドゥ教などの教義で、最上の喜びに位置するのが、「至福」すなわち悟りや解脱の際に訪れるとされる、一切の感情、感覚を脱する「喜び」です。

この「喜び」は世俗の感情とは異なり、無=ワンネス(すべてはひとつ)という、個を超えた、揺らぐことのないものです。

「喜び」の使い方

「喜び」の使い方の例を、様々な角度から挙げてみます。

  • 筋力トレーニングに励んだ結果、東京マラソンで見事10位に入った私は、苦労が報われた喜びに浸った。
  • 夕暮れの浜辺で波音に耳を澄ませているうちに、心が洗われてゆくような静かな喜びに包まれた。
  • 今年の鈴木家は、主人の役員昇格、長男の結婚、長女の出産と、喜びごとの連続だった。
  • 新年のお慶び(よろこ)びを申し上げます。
  • 山にこもって修行を続けていた僧侶は、すべての感覚を超越する、至福ともいえる無上の喜びをついに体験した。

「喜び」の類語と使い方

満悦(まんえつ):満足感をおぼえ、喜ぶこと。現代では、「御」をつけて「御満悦」として用いることが多い。(文例:長年監督として携わってきた地元の少年野球チームが、ついに区の大会で優勝し、山田監督は御満悦だ)

愉悦(ゆえつ):心から喜ぶこと。(文章語)(文例:幸子は、ピアノを演奏しながら、愛する楽曲を自らの手で奏でてゆく深い愉悦に酔いしれた)

喜悦(きえつ):きわめて嬉しく思うこと。(文例:待ち望んだ孫の誕生に、祖父は喜悦の表情でひとり酒を飲んでいた)

「喜び」と「慶び」の違い

「よろこび」は複数の異なる漢字をもつ言葉です。基本的には「喜び」が使われますが、次に用いられる頻度が高いのが「慶び」です。この二つの漢字がもつ意味から、その使い分けを解説いたします。

由来の違い

「喜」という漢字の由来は、「楽器を鳴らして神に祈りをささげ、神を楽しませる」、ということです。その背景から、よろこぶこと、よろこび、めでたいこと、を表すようになりました。

「慶」の由来は、「裁判に勝った者を祝いに出向く」ことにあります。そこから、よろこぶ、という意味のほかに、祝う、縁起がよい、幸い、賜る、などの派生的な意味をもつこととなりました。

使い分け

上記のような由来の差から、「喜ぶ」は心の喜び、すなわち私的な背景をもつ喜び全般に用いられます。もっとも基本的かつ汎用性の高いものです。

「慶ぶ」は、公的な祝儀や祝い事にふさわしく、「慶事」における使い方はもとより、最も目にすることが多いのは、年賀状においてでしょう。「慶賀」「新年をお慶び申し上げます」など、一年の始まりの慶びを表すにふさわしい漢字です。


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