「はっきり」とは
「はっきり」の使い方
1の意味「物の輪郭や形状などが明瞭に認識できること」
物を見たり、触ったりして、その形状や様子がまわりの物と区別できる場合に「はっきり」を使います。
【例文】
- 霧が晴れて、向こうの山の姿がはっきりと見えてきた。
- 水を求めて森をさまよっていると、遠くに聞こえていた水の音か次第にはっきりと聞こえてきた。
- 嵐が去って海が穏やかになると海底の美しいサンゴ礁がはっきりと見えた。
- 彼の絵に描かれている人物は、人か動物かはっきりしないものが多い。
2の意味「意見や物事の事情が明らかなこと」
自分の意見や考えをきちんと話さず、他人の意見などに迎合したり、ただ反対したりする人がいます。そのような時に、「はっきり意見を言ってもらいたい」と言うことがあります。
また、物事の原因や事情を調べてもよくわからなかったり、逆に調べるまでもなく明らかであるような場合にも「はっきり」を使います。
【例文】
3の意味「気分や体調がよく、すっきりしていること」
気分がすぐれない時や、心にわだかまりがあってすっきりしないことは誰にでもあることです。そのような心身の状態を表す時にも「はっきり」を使います。
【例文】
- 術後の麻酔がまだ残っていて意識がはっきりしない。
- 二日酔いで気分が悪かったが、熱いブラックコーヒーを飲んで頭がはっきりした。
4の意味「露骨に意見などを言うこと」
相手の気持ちを考えずに、思ったことや言いたいことをずけずけ言う人がいます。そのような人のことや発言に対して「はっきり」を使います。
【例文】
- 歯に衣を着せないはっきりした物言いの彼は周りから疎んじられている。
- はっきり言って、私はあなたのことが大嫌い。
「はっきり」の対義語
「ぼんやり」には、いくつかの意味がありますが、「はっきり」の対義語としては、物の輪郭や形状、色などや物事の事情がはっきりしないさま、活気がないという意味です。
【例文】
- 黄昏時の向こう岸にぼんやりと人影が見える。
- 昨日の夕食の献立を思い出そうとしても、ぼんやりしていて思い出せない。
- 最愛の人を亡くし、日がな一日ぼんやりと過ごす父が心配だ。
「うっすら」
「うっすら(薄ら)」は、色の濃淡や明暗、ものの厚みの程度がわずかであること、かすかなことという意味です。「うっすら」も、はっきりしないという点で「はっきり」の対義語です。
【例文】
- 同窓会で30年ぶりにあった彼女に高校時代の面影がうっすらと残っていた。
- そういえば、あの時そんな話をしたような記憶がうっすらと蘇ってきた。
「はっきり」の類語
「くっきり」
「くっきり」は、物の輪郭や形状が他と区別できるほど明らかという意味で、「はっきり」の1の意味の類語です。
【例文】
- 雨上がり地面にくっきりとクマの足跡が残っていたので、慌てて町へ戻り、みんなに知らせた。
- 寝不足の彼女の目元にくっきりとした隈ができていた。
「明瞭」
「明瞭」は、物事がはっきりしていて、曖昧なところがないことです。「はっきり」とほぼ同義の言葉として使えますが、4の意味のように露骨というニュアンスは薄い言葉です。
【例文】
- 彼がどうしてそんなことを言ったのか理由は明瞭だと思います。
- 晴れた日には海岸から、かなたの島を明瞭に見ることができる。
- 身体は麻痺して動かなかったが、意識は明瞭で、周りの人の話は全て聞こえていた。
「一目瞭然」
「一目瞭然(いちもくりょうぜん)」は、一目で物事の様子や状況がはっきりわかることです。中国の思想書『朱子語類』の一説「高きより下を視れば、一目瞭然たり」に由来しています。
【例文】
- 彼女が、彼に思いを抱いていることは日ごろの様子から一目瞭然だ。
- チャンピオンと挑戦者の実力の違いは一目瞭然だが、本番では何が起こるかわからない。