「気持ち」の意味と使い方
「気持ち」には、大きく分けて五つの意味があります。それぞれの意味について、その使い方とともに見ていきましょう。
「気持ち」の意味と使い方①
「気持ち」は、ある物事に接したときの心の状態や感情・考え方を意味します。
【例文】
- 朝からヘビの映像、みちゃった。気持ちが悪い。
- 憧れの先輩から初めて映画に誘われたときの気持ちは今でも忘れられない。
- 家具職人になるため、大学に進学せず高校卒業後すぐに弟子入りしたいという息子の気持ちを尊重し、応援することにした。
「気持ち」の意味と使い方②
「気持ち」は、物事に対する心構えという意味もあります。
【例文】
- 今日から新学期。気持ちを新たに頑張ろう。
- 授業中に居眠りするなんて、気持ちがたるんでいる証拠だ。
「気持ち」の意味と使い方③
「気持ち」は身体の具合によって起こる快、不快という感覚も意味します。
【例文】
- バスに酔ってしまったようでさっきから気持ちが悪い。
- 温泉につかると日ごろの疲れがとれて気持ちがいい。
「気持ち」の意味と使い方④
「気持ち」には「ほんの少し」という意味もあります。この場合、副詞的に使われます。
【例文】
- このスープ、薄味だね。気持ち塩を足した方がいいかも。
- 気持ち右にハンドルを切ってください。
「気持ち」の意味と使い方⑤
「気持ち」は、人に物を渡す際に、相手に対する感謝の念などを表す場合にも使われます。慣用的な使い方で、「つまらないものですが」のように、普通は謙遜した態度を表すものとして用いられます。
【例文】
- これ、ほんの気持ちです。よかったらどうぞ。
- 気持ちばかりのものですが、どうぞご査収ください。
「気持ち」の類語
「気持ち」の類語をいくつか挙げてみましょう。
- 感情
- 考え
- 思い
- 心地
- 気分
それぞれ少しずつニュアンスは異なりますが、どれも「心の状態」や「考え方」に関係する言葉となっており、「気持ち」という言葉とそのまま置き換えることができる表現も多くなっています。
ただし、この中でとりわけ「心地」と「気分」については「気持ち」と使い分けが必要な場合があります。もう少し詳しく見ていきましょう。
「気持ち」「心地」「気分」の使い分け
「気持ち」「心地」「気分」の三つの言葉は、物事に接したときの心の状態を表す際には共通して用いられます。特に、下記の例文のように、「〇〇がいい(よい)」「〇〇が悪い」が付く表現の場合は、どれも同じように使うことができます。
【例文】
- このカフェは木々に囲まれていて静かで気持ち(気分、心地)がいい。
しかし、これらの言葉には以下のようなニュアンスの違いがあり、それぞれの言葉でしか表現できない場合があります。
気持ち
物事に接したときの考え方を表す際は「気持ち」しか用いません。また、「ほんの少し」という意味も同様であり、「ほんの気持ちです」という慣用的な表現も「心地」「気分」と言い換えることができませんので、注意してくださいね。
【例文】※「気持ち」しか用いない
- 彼と結婚したいという気持ちは、誰に何といわれても変わらない。
- 前髪を気持ち短く切ってください。
心地
「心地」は、「心地よい風」のように、外から刺激を受けた際の、心や身体の感じをとらえて表現する言葉です。「何らかの状態にある時の感じ」を熟語で表す場合(居心地、夢心地など)は、「心地」だけが用いられます。
【例文】※「心地」しか用いない
- この車は乗り心地がいい。
- この部屋は散らかっていて居心地が悪い。
気分
「気分」は、「気分がのる」のように、その時々の物事への心の向かいようや、快・不快などの漠然とした感じを表現する言葉です。その場の雰囲気など、「あたり全体に醸し出される感じ」を表現する場合には、「気分」だけが用いられます。
【例文】※「気分」しか用いない
- オリンピックを目前にして、町はお祭り気分で沸き返っていた。
「気持ち」が含まれる慣用句
気持ちが傾く
「気持ちが傾く」は、徐々にある物事にひきつけられ、そちらを選ぼうと思うようになる、という意味です。
【例文】
- 夏休みの旅行は沖縄がいいと思っていたが、北海道の雄大な自然について熱心に語る夫の話を聞いているうちに、次第に気持ちが傾いていった。
気持ちを汲む
「気持ちを汲む」は、他人の気持ちや事情などを相手の立場に立って解釈したり共感したりする、という意味です。
【例文】
- 派手なことはしたくないという友人の気持ちを汲み、結婚祝いのパーティーは開催せずお祝いの品だけ贈ることにした。