「原因」とは
意味と使い方
「原因」は、ある物事や状態が生じるもとになること。またその事柄をいいます。
「原」は、もともと崖の下に泉がわきでる所という意味があり「みなもと(源)」をさす字でした。現在では高く平らな所(平野)の意味に使います。「因」は「口」と「大」を合わせたもので「口」は一定の区域を表し、区域を大きく広げることの意になります。または「大」は「人」の形を表しており、囲いの中に人がいることによって安心していられることをさすという説もあります。
【使用例】
- 現在当局で出火の原因を探っています
- 彼は原因不明の難病にかかっています
- ドライバーの過信に原因する事故といえます
これらの使用例のように良くない物事に対して使うことが多い言葉です。「成功の原因」のように使うことはまれな表現になります。また発音は「げんいん」で「げいいん」は誤りになります。
「原因」の類語
類語:因(もと)
「もと」は「元」や「本」という字でも間違いではありませんが、原因という意味を表す場合には「因」の字がよく使われます。
【使用例】
- 失敗は成功の因
- 酒が因で健康を損なうことになってしまった
類語:種(たね)
「種(たね)」はこの場合、ある物事の原因となるものをいいます。
【使用例】
- それが唯一の悩みの種なんだよ
- 苦労の種が絶えないよ
- そろそろ種を明かしてください
類語:起こり(おこり)
「起こり(おこり)」は物事の始まりや起源という意味もありますが、ここではある物事の原因のことをいいます。
【使用例】
- 事の起こりはつまらない誤解からだったんだけれどね
- 争いの起こりは遺産相続だよ
さまざまな「原因」
「原因」には物事が起きた状況や様子に応じてさまざまな言葉の使い分けがあります。原因が一つであったり一つの原因をいうときには「一因(いちいん)」といいます。「先制攻撃が勝利の一因となりました」などと使います。
主な原因、必要な因子のことを「要因(よういん)」もしくは「ファクター(factor)」といいます。「失敗の要因は私の未熟さにあります」「二つのファクターが平衡を保っています」という使い方をします。
それが原因で何かが起こること、事の起こりを「起因(きいん)」といいます。「原因」は心理的な要素を含めていることが多いのに対して「起因」は関係そのものについていう傾向があります。「食糧不足は人口過剰に起因する」と使います。
事件を起こす直接の原因のことを「動因(どういん)」といいますが、これと同じ意味の言葉で「動機(どうき)」「導火線(どうかせん)」「口火(くちび)」「モチーフ(motif)」などの言葉があります。「大戦勃発の動因となった」「犯行の動機を調べる」「土地問題が導火線となった」「少女の呼びかけが口火となった」「母の死が政治参加のモチーフとなる」などのように使います。
直接的な原因を「近因(きんいん)」といい、間接的で遠い原因を「遠因(えんいん)」といいます。また内部的な原因やそのものに内在する原因を「内因(ないいん)」といい、それ自体ではなく外部から生じた原因を「外因(がいいん)」といいます。
戦いや競技に勝てた原因を「勝因(しょういん)」といい、逆に敗れた原因を「敗因(はいいん)」といいます。病気の原因のことを「病因(びょういん)」といい「病原(びょうげん)」や「病根(びょうこん)」も同じ意味です。死亡の原因を「死因(しいん)」といいます。「勝因を分析する」「敗因がどこにあったのか反省する」「病因がわからない」「死因が判明しました」のように使います。
結果(ある物事が原因となって生じた状態)
「結果」はある物事が原因となって生じた状態をいい、「原因」の反対語になります。
【使用例】
- 試験の結果を発表します
- 手術の結果が良くて安心した
- あなたの言っていることはいつも結果論ばかりだ
「結果」とよく似た意味の言葉で、行為の結果を表す「所為(せい)」という言葉があります。「なんでも人のせいにする」「気のせいか少しやせたみたいだ」というふうに使います。
良い結果やまとまった結果は「成果(せいか)」「賜物(たまもの)」といい、戦争や戦闘によって得た結果は「戦果(せんか)」といいます。「研究の成果を期待してるよ」「成功したのは努力の賜物である」「輝かしい戦果をあげた」という使い方をします。
因果(原因と結果)
原因と結果のことを「因果(いんが)」といいます。仏教では、前世の行為の結果として現在の幸不幸があるということ。特に前世の悪行の報いが不幸になって現れることをいい「因果応報(いんがおうほう)」ともいいます。
善い行いには善い報いがあるということを「善因善果(ぜんいんぜんか)」といい、反対に悪い行いには悪い報いがあるということを「悪因悪果(あくいんあっか)」といいます。「彼の行為は善因善果をもたらす」「こんな目に遭うのも悪因悪果だ」と使います。