「沈着冷静」の意味とは?
「沈着冷静」(ちんちゃくれいせい)とは、何事があっても動転することなく非常に落ち着いている様子のことです。なお、熟語の語順を入れ替えた「冷静沈着」という四字熟語もあり、意味は「沈着冷静」と同じです。
「沈着」は、物事に動ぜずに落ち着いていること、軽はずみな様子が感じられないことを表し、「冷静」は、落ち着きがあり、その場の感情や人の思惑に影響を受けずにいられることを言います。同じような意味の熟語を重ねて落ち着きがある様子を強調しています。
「沈着冷静」の使い方と例文
「沈着冷静」は、人の落ち着き払った様子や、その場の感情に流されない理性的な性格を表せます。
例えば、不意に起こったこと、トラブルなどにも動揺せずしっかりと対処する、苦情が入っても淡々と処理する態度、問題を客観的に見て偏ることなく公平に分析し、改善しようとする様子などが挙げられます。
どちらかと言えば、ポジティブな意味で使うことの多い「沈着冷静」ですが、ポジティブな例とネガティブな例に分けて使い方を紹介します。
「沈着冷静」:ポジティブな意味で使う例
「沈着冷静」:ネガティブな意味で使う例
「沈着冷静」な人の態度や性格について、人によっては、感情を交えない性質が行き過ぎている、ビジネスライクであるといった印象を与える場合もあるようです。「冷たい性格」「機械的で人間味が感じられない」などのネガティブな意味で使う例も見られます。
【例文】
- Bさんの沈着冷静な様子は時として周囲に不快感を与える。人の気持ちを無視して合理的に対応しようとするのは考えものだ。
- 常日頃、詐欺師という者は、沈着冷静に獲物を罠にかける計画を立てているに違いない。
- かの国の独裁者は、鉄のような固く冷たい心を持った沈着冷静な男として知られている。
「沈着冷静」と似た意味の四字熟語
泰然自若
「泰然自若」(たいぜんじじゃく)は、非常に落ち着いていて何事にも動じないという意味です。「泰然」は落ち着きがあり、堂々としている様子、「自若」は、何事にも驚かずに慌てることなく落ち着きがある様子です。同じ意味の熟語を重ねて強調しています。
【例文】
- さすが国民的大スターだ。大勢の人に取り囲まれても、泰然自若として散歩を楽しんでいた。
- 彼は大物だね。近所で大きな事件があっても、泰然自若として昼寝をしているとは。
余裕綽々/余裕綽綽
「余裕綽々/余裕綽綽」(よゆうしゃくしゃく)とは、ゆったりとしていて落ち着きが感じられる様子のことです。
「余裕」は、ゆとりがあるさま、もしくは、焦ることなくゆったりとしている様子のこと、「綽々/綽綽」は、ゆとりがあることで、同じような意味の熟語を重ねて意味を強めています。
【例文】
- 彼は余裕綽々といった様子で、バスを待つ間に難問のパズルを解いてしまった。
- 鉄壁なアリバイを作った犯人は、見破られることはないと余裕綽綽としていたそうだ。
「沈着冷静」の反対の意味に近い四字熟語
軽佻浮薄
「軽佻浮薄」(けいちょうふはく)とは、考えや振る舞い方に落ち着きがなく、浮ついていることです。
「軽佻」は、よく物事を考えずに軽はずみなことを言う様子、「浮薄」は、浅はかで浮ついていること、軽々しく愚かな様子という意味です。「軽はずみ」といった同じような意味の熟語を重ねて強調しています。
【例文】
- あの子は遊ぶことや着飾ることしか考えていない、軽佻浮薄な人間です。
- よく「今どきの若い人は」と、軽佻浮薄のように言うけれど、自分だって若い頃があったのにね。