「しっかり」とは
「しっかり」には、がっちり、がっしり、はっきり、堅固、断固、確実に、しゃっきり、はっきりなど、たくさんの類語や似た言葉・表現があります。「しっかり」の類語を知るためには、まず「しっかり」の意味を把握することが必要です。
「しっかり」という言葉は、多義的な言葉で、おもな意味は次の通りです。
- 対象物のつくりや基礎が安定して確固としているさま。ゆるがないさま
- 人の性格、考え方、人格などが堅実で信頼できるさま
- 行為などを確実に行うこと
- 心身健康なこと。意識が明瞭であること
- 量などが十分にあること
「しっかり」の使い方
- 学校で今日習ったことは、家に帰ってしっかり復習しよう。
- 離れ離れになった恋人同士が再会し、しっかりと抱き合うシーンが涙を誘った。
- 混雑していますから、子供から目を離さないようにしっかり見ていてください。
- 水道栓をしっかり閉めた。
- まだ小さな子供なのに、自分の考えをしっかり話したので驚いた。
「しっかり」の類語とは?
「しっかり」には、上記のようにたくさんの類語などがあります。このうち代表的な類語を説明します。
「がっちり」の意味と使い方
「がっちり」は、大きくわけて次の3つの意味を持ちます。
- 頑丈なさま。つくりがしっかりと安定しているさま
- ゆるみや隙間なく、しっかり組み合わさっているさま
- 抜け目なく、計算高くなにかをするさま
3つの意味ごとに文例を挙げてみます。どの文例も、「がっちり」と「しっかり」を入れ替えてもまったく同じ意味合いの文章となります。
文例①:鈴木君の体形は実にがっちりしているが、かつて甲子園に出場したと聞いて納得した。
文例②:犬猿の仲と言われた二人の専務は、会社の赤字転落を避けようとがっちり握手をかわした。
文例③:真由美さんは、遊んでいるようにみえて、実はがっちりと預金している。
「がっしり」の意味と使い方
「がっしり」は、「がっちり」と言葉もよく似ていて、意味もほぼ同じですが、「しっかり」にはあって、「がっしり」にはない、「抜け目なく、計算高い」という意味があります。また、下記の意味が「がっちり」と重なります。
- 物の構造や人の体形などが頑丈で安定しているさま
- 隙間(すきま)なくしっかり組み合わさっているさま
言うなれば、「がっしり」は、建造物や体格など物質としての頑丈さを表す言葉です。「しっかり」の意味としての堅実さや抜け目なさなど、心や行動などの性質を示すニュアンスは見られません。
文例①:ブルドッグは、がっしりした体形をもつ犬種だ。
文例②:ピラミッドを見ると、遥か昔に巨石をがっしりと積み上げる技術があったことに驚く。
「しっかり」と似た表現
「しっかり」は、多義的な言葉ですので、多々ある意味の一部分は同じという意味での似た表現はたくさん存在します。
類語とまでは言えなくとも、一部同様の意味を持つ最初に挙げた言葉群から、「しっかり」と同じ意味を持つ言葉と文例をいくつか紹介します。
「はっきり」の意味と文例
「はっきり」は、「明確な」「(意識が)明瞭な」という意味において、「しっかり」と同じ使い方ができる言葉です。
文例①:麻美さんには、自分の意見を人前ではっきりと述べる強さがある。
文例②:祖父の混濁していた意識が戻り、はっきりと自分の状況が認識できるようになった。
「堅固」の意味と文例
「堅固」は、①物のつくりや意志などがきわめてしっかりとしていること。②健康で頑丈なからだという意味において、「しっかり」と同様の意味を持ちます。
文例①敵から守るという役目を持つため、どの城の城壁も実に堅固なつくりとなっている。
文例②佐藤君の堅固な肉体は、日ごろの筋力トレーニングのたまものだ。
「確実に」の意味と文例
「確実に」は、間違いや変更がなく、確かなことという意味の言葉です。
文例:納期までに顧客に確実に商品が届くように、数量と配送スケジュールを再確認しておくこと。
「しっかり」の類語のまとめ
「しっかり」の意味をあらためて確認してみると、実にさまざまな使われ方をしていることに気づきます。
「しっかり」は、日常生活で頻繁に登場する言葉。それだけに、類語や似た言葉や表現を入れ替えてみると、会話や文章のちょっとした変化の楽しみも味わえることでしょう。