「淡々と」の意味とは?
「淡々と」(たんたん-と)には、2通りの意味があります。
- 味や色などがしつこくなくあっさりした感じである
- 人の様子や態度、振る舞いなどがこだわりがなく冷静、もしくは、冷淡に感じられる
「淡々と」の「淡」は、色味や物の味、香りなどが薄く、あわいことを表しています。転じて、人の態度や振る舞いについて、こだわりがなくあっさりしていること、落ち着いていることを意味します。また、それをマイナスに捉えて、冷たくつまらないように思える様子もいいます。
「淡々と」使い方と例文
1.味や色などがしつこくなくあっさりしている
「淡」という漢字の字義は、「あわい」「うすい」ということです。食べ物なら、薄味でこってりしていない、匂いなら香りが鼻につかずにしつこくない、色なら派手なところがなく柔らかく穏やかな色合いや配色であることを表します。
【例文】
- この冷製スープは、暑くて食欲が無い時でも食べやすい淡々とした味付けだ。
- アロマオイルの中でも柑橘系の物は淡々とした香りで、部屋の消臭スプレーにぴったりだ。
- パステルカラーや淡々としたペールカラーは、派手な色合いが苦手な人に好まれる。
2.人の様子が冷静である、冷淡に感じる
「淡々と」は、ポジティブな意味でもネガティブな意味でも、人の様子を表すのに使えます。どちらの意味であるかは、前後の文脈で判断する必要があります。
ポジティブな用法である場合、「淡々と」は肩入れせずに誰とでも公平に対応するさま、冷静に対処する様子を好意的に表せます。
ネガティブな用法である場合は、その特徴が行き過ぎて温かみが感じられない様子や、そっけなく事務的で冷たいような印象を与えるという意味で用いられます。
【例文】
- 事務長はどんなに仕事が立て込んでいても淡々とした様子で事に当たるので、皆からの信頼が厚い。
- 彼女はつらかっただろう出来事についても、私情を交えず淡々と説明してくれた。
- 受付の人は質問に淡々と答え、笑顔もなくよそよそしい。
- あの人は言葉遣いは丁寧でも淡々としていて、機械と話しているみたいだ。
「淡々と」の類語
さっぱり
「さっぱり」には様々な意味がありますが、嫌味がなく、しつこくなくあっさりしている様子・感情的なこだわりやしつこさのない性格を表す時に使えます。
「淡々と」と同様に、味などがあっさりしていることを表します。人の印象について使う場合には、ネガティブな意味ではなく、好意的な評価として使われることが多いです。
【例文】
- 心太(ところてん)はさっぱりした味わいで、暑い夏にピッタリのおやつだ。
- 制汗剤はさっぱりした香りを選ぶと周りの迷惑になりにくい。
- ミントチョコの色合いはさっぱりしていて、涼感を誘う。
- 彼はさっぱりした気性なので、付き合いやすい。
ビジネスライク
「ビジネスライク」(英語:businesslike)とは、仕事を中心に考えている様子、言い換えると、限られた時間内で仕事がはかどるやり方を重視するさまをいいます。「淡々と」の人の態度を表す時と同じような意味を持つ場合があります。
ただし、人との付き合い方をビジネスライクにすると、ネガティブな意味に転じることも。仕事をする上で能率よく進められるのは良い点ですが、普段の接し方に取り入れると、冷たい印象を与え、人としての温かみがないと感じられることがあります。
【例文】
- 課長はビジネスライクに話を進めるので、余計なことに気を使ったり忖度したりしなくて済む。
- Aさんは顧客に対してビジネスライクに接するあまり、冷たくて感じが悪い人と思われている。
無愛想・愛想がない
「無愛想」(ぶあいそう)・「愛想(あいそ)がない」とは、そっけない態度を取ること、つまり、人に対して冷たく、好意や親しみのある様子を見せないことをいいます。「愛想」はにこやかに接する様子のことです。
「淡々と」で、人の様子をネガティブな印象でとらえた場合、「無愛想」や「愛想がない」と同じように使えます。
【例文】
- あの店の大将は無愛想だが、女将さんは感じが良い人だ。
- 私は人との付き合いが下手で、多くの人に愛想がないと注意される。